13話「ショッピングデッド①」
【4月7日木曜日9:30】
俺らはただいまガソリンスタンドにいる。
「なんでこの車こんなにガソリン入ってないのよ・・」
みことの呆れ顔は、俺のことを見ていた。
確かに俺の家の車だが、これは俺と関係ないだろうが・・。
お金の手持ちはなかったのでガソリンスタンドの横のコンビニに向かった。
「ガチャ・・ン」
レジを開けて中のお金を取り出す。
「なんか、一万円札が一枚もないな~」
「レジの中に一万円は基本入れないのよ・・使うことないから、お客から受け取った時点で別の場所に入れるのよ。
でも一万円は、自動販売機とかで使えないからいらないわ・・。」
そういって、コンビニを荒らしまくってそこで手に入れたお金でガソリンを入れた。
* * * * *
【11:00】
俺らは大通りを先に進み、橋を越えて東京につく予定だったが、そうもいかないらしい。
大通りの道路をみことが運転しているが、周り中のコンクリート地面がヒビだらけで、近くのマンションなどに車が刺さっている。
「さっきの信号を越えたあたりから妙だぞ・・」
少しずつ東京には近づいているが、おかしい。
車が大通りなのに一台も見当たらない。
そしてたくさんの車やトラックが、マンションやビルなどに刺さっている。
そんな時・・
真横を、通り過ぎていく車が一台いた。
「少し後ろから追いかけてみましょう。」
この一本道で、いかにもスピード違反の車を後ろから追いかけていた。
そのまま、大きな橋をわたろうとする瞬間・・
いきなり前の車が急ブレーキをしてとまった。
俺らも、20メートルほど離れて止まった。
「車の中の連中が、車から出てきたぞ・・」
八柳がそういった後、デカい手のようなものが出てきた。
「あぁ・・なんだよあの手・・」
体中の寒気が、声を震わせた。
「ガァァァァァァ~・・・、ガチャ・・・ドン」
デカい手は車を思いっきり叩いて、突き飛ばした。
車が、野球ボールのように飛んで、さっきまでいた大通りのほうに飛んでいった。
車が消えた瞬間に見えた姿は、手のひらだけトラックサイズで、体のサイズは、病院にいた化け物とそう変わらなかった。
車から降りた人たちは、橋から飛び降りていたが、デカい魚に食べられて小さな叫び声が耳に届いた。
「橋の下の川?海?にも魚の化けものがいんぞ・・!!
まずいぜ・・、早くバックして逃げんぞ!!」
「わかってるわ!!」
「怖いです・・先輩・・」
みんながパニックになっている瞬間・・
橋の上にいるデカい手の化け物が地面を思いっきり叩いて、飛んだ・・
「まずい・・化け物が消えたぞ!!」
俺がそういうと、みことは思いっきりバックして、バックミラーを見ながら運転していた。
「ゴォォォぉぉぉぉ・・・・・ひゅ~・・ドン!!!」
目の前に、化け物が落ちてきた。
その衝撃で、車が動かなくなった。
「まずいまずいまずいまずいまずいわ・・・・・・・・・・・」
みことが恐怖のあまり、頭が追い付けていない。
車の外から、デカい目で車の中をのぞき込んでいる・・
「八柳!!!!後ろから武器持って車降りろ!!!!
みことと、ゆずりも早く!!!!降りろ~!!!!」
俺はそう叫んで車を降りて、地面を転がった瞬間・・
化け物の右手は、俺らの乗っている車を吹き飛ばした。
その衝撃で、地面に倒れこんでいるのに俺らは1mほど転がった。
俺は急いで立ち上がり、全員いることを確認して「逃げるぞ!!」、そう言って走った。
* * * * *
「はぁ・・はぁ・・はぁ・・{ゆずり}」
「なんなんだあいつは・・・{坂町}」
「八柳君、武器は全部・・はぁ・・はぁ・・、持ってこれたかしら?{みこと}」
「ばっちりだって~の・・ふぅ~{八柳}」
俺らが橋を出た瞬間、奴『化け物』は追ってこなくなり、俺らは橋から少し離れたデカいショッピングモールの入り口にいる。
あの橋を超えた先が東京だから、その番人というべきだろうか。
俺らは新しい移動手段を手に入れるために、ショッピングモールに入って行った。
* * * * *
【4月7日木曜日11:00】[ショッピングモール3階]
「俺の名は、菊岡 壮介だ!!
お前・・、助かりたかったら俺の奴隷になれ!!」
「は・・はい・・だから、私の命を助けてください・・菊岡様・・・」
「あっハハハハハ!!!!いいねいいね~、とっても可愛いよ~」
俺は菊岡壮介、高校2年だ・・。
いきなりの登場で悪いが、ゲームクリアー者の一人だ・・。
分け合って、東京入る前のショッピングモールを占拠している。
ここにいる奴らは、恐怖している・・。
あの化け物ゾンビどものせいでだ・・、だが倒せる手段を俺は持っている。
つまり、この世界の神だと言えるだろう。
だからこいつらを「助けてやる」と言って、雑魚ゾンビ一体殺せばみんな俺の言うことを聞くようになる。
こいつらの救世主さ!!
そしてこいつら全員俺の奴隷にして、奴隷ハーレムを作るのが俺の夢だ・・。
夢をかなえてからでも、東京のボスは遅くない・・。
俺以外にも、これで倒せると知っているやつがほかに6人もいる・・。
そいつらに任せるのも悪くない・・。
俺はそんなことを考えながら、恐怖で苦しんでる女どもをやさしく抱きしめた。
「大丈夫・・お前らは俺の奴隷だ・・、何が何でも死なせねぇ~よ・・」