9話「ホスピタルデッド〈ラスト〉」
[4月7日(木曜日)03:18]
「ギャアァァァァぁァぁ」
外からものすごい声が聞こえた・・。
みんなが目を覚ます。
「何の声だ・・?」
俺が言うと、八柳とみことは、窓の外を見ていた。
「外の化け物が動き出したわ・・、裏から逃げるわよ」
自分でも忘れていた、木の上にずっといた化け物のことを。
外を見ると、化け物の乗っていた木は枯れていて少し大きくなっていた。
どうやら、木を吸収したらしい。
「中に入ってきましたよ・・」
ゆずりが震えた声で、そういった。
夜の間に武器の弾の補充は完了していたので、俺とみことは自分の銃を持って、八柳がみことの刀を持って移動を開始した。
〔病院廊下2階〕
下の階からたくさんの叫び声が聞こえる。
「だ~ずげでぇ・・・アァァァぁぁぁぁぁ~」
俺らのいる二階も走ってる奴がたくさんいた。
どうやら昼間、こっちの建物は襲われていなかったらしく、600人以上の患者や職員がいる。
俺らはゾンビの化け物が上に上がるまで待ってから、下のゾンビを倒して脱出することにした。
「はぁ~?やだよ・・、下の奴{化け物}は俺が殺す」
そういって八柳は、走って下に向かった。
「あの馬鹿・・、私たちも行くわよ・・」
初めて、みことが怒ったところを見た。
〔病院廊下1階〕
「これはひどい」
俺の周りには噛みちぎられた後の死体が山のようにあった。
「ぎゃっはっはっはっはっは!!!!これお前がやったのか!!??」
八柳の声が聞こえた。
廊下に出た瞬間・・
化け物の舌がピストルのように、伸びた・・。
「八柳!!大丈夫か!!!?」
俺は大声で叫んだ。
八柳は体を後ろに90度倒して、その態勢のまま一回転回って舌を切り落とした。
「何て野郎だ・・」心底思った、完全に人間離れした動体視力と運動神経。
まさに無敵だ。
「いいねいいね~楽しくなってきたじゃね~か!!」
八柳はそういって地面に倒れこんでる化け物に接近した。
「何か変だわ!!八柳君離れなさい!!!」
八柳は、止まらない。
俺は化け物を見ると、表面の一か所だけ小さなとげがあって、それを八柳に向けていた。
「とどめだ!!くたばれ!!」
八柳が飛びかかる。
「仕方ね~な・・」
俺はそういうと銃を向けた瞬間・・
とげがすごい勢いで伸びた。
それと同じタイミングで、俺はとげに銃を撃った。
「ぐちゃ」
とげは、少し方向をずらして八柳のもう無い右腕の方に飛んだ。
そして八柳は化け物の首を真っ二つにした。
「よし・・」
八柳がそういうとみことは、八柳の股間を思いっきりけっ飛ばした。
「ふざけんじゃないわよ!!、坂町君がいなかったらあんた死んでたんだからね??」
「うぅうぅ・・、ごめんなさい・・」
お腹を押さえこんで悶絶している・・。
見るからにいたそうだ。
その瞬間・・
体中からとげが浮かんできた・・。
「まずいわ・・」
悶絶中の八柳を引きずって、曲がり角の、階段前まで来た。
「ハぁハぁ・・死んでるのに面倒な奴だ」
俺がそういうと、
「シュン・・・、ザクザクザク・・・」
ハリセンボンのように廊下中が刺さっていた。
そしてそのあと、飛んできたとげの表面からまたとげのようなものが出てきた。
「これってまずくね・・・」
大慌てで、階段を上った・・。
[病院廊下2階]
「シュン・・・ザクザクザク・・・」
「やばいぜ!!何度も何度も、とげが飛んでくる。」
必死に4人で逃げているがとげからとげへと、ドンドン追ってくるため逃げるしかない・・。
「怖いです先輩ハぁハぁ・・」
ゆずりちゃんには体力が少しキツイらしい。
一階は、とげが廊下中に刺さっているので逃げる場所がもうない・・・
「まずいぞ、前もとげだらけだ・・。」
逃げ場が無くなった。
いや、一つだけある。
俺は窓を開けて外に飛び降りた。
「いって・・、だがいけるぞ!!お前らも来い!!」
八柳とみことが飛び降りた。
「ゆずりちゃんもはやくおりてきて!!」
「怖いですぅ・・ヒクヒク・・」
泣きながら見えるピンク色のパンツは、これまたエロかった。
「支えてやるから降りてこい!!」
そういって、三人で支える態勢をとった。
ゆずりちゃんは目を閉じながらジャンプして、俺らがキャッチした。
「よし行くぞ!!」
そういって、俺らは走って病院を抜け出そうとした。
途中からとげが追ってくるがまっすぐ直線に進んで周りのゾンビには、目のくれず病院を抜け出した・・。
[03:50]
病院の外から、とげが飛んでくることはなかったが、ひどいことになっていた。
とげだらけで、一つのアートのようだ。
そして少しみんなが落ち着くと、
「これからどうしましょう・・?」
「私も思います・・、みこと先輩」
みことやゆずりは困っていた。
俺は急いで東京に行く為に、一つ案を出した。
「武器をたくさん手に入れる為に、俺の家に行かないか?」
俺がそういうとみんなが納得してくれたのか俺の家に行くことになった。
そして残念だが、病院での生存者は俺らだけだろう・・運が良かったとしか言いようがない。
今までは逃げるのに必死っで考えてなかったが親も心配だ・・、もしもゾンビになっていたら・・・
俺は、打てるだろうか。
そんな不安や絶望感を抱えながら俺らは、坂町康介の家に向かった。