表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

創造まで

作者: 稲波 緑風

空間と呼べるものがあった。それはいくつも存在し、隣り合ったり、重なり合ったり、遠ざかったりしていた。その空間の中にはたくさんの"何か"があった。そして、ある空間の中の、その中の空間の一つに、存在するものがあった。


それは混沌と呼ばれるものであった。


ただ混沌と呼ばれるものしか、その空間には存在しなかった。

混沌はすべてを持っているものであって、ひとつだけのものではなく、ひとつだけのものであって、すべてを持っているものではなかった。

有であって、無ではなく、無であって、有ではなかった。あるはずであって、ないはずはなく、ないはずであって、あるはずはなかった。

 暗闇くらやみであって、光明こうみょうではなく、光明であって、暗闇ではなかった。闇であって、光ではなく、光であって、闇ではなかった。暗いのであって、明るいのではなく、明るいのであって、暗いのではなかった。明暗めいあんのどちらかに別れているのであって、明暗のどちらかに別れていることはなかった。

透明であって、有色ゆうしょくではなかった。有色であって、透明ではなかった。白であり、黒であり、赤であり、青であり、黄であり、灰であり、紫であり、緑であり、橙であり、万色であり、無色だった。


時があって、時はなかった。

始まりであって、続きではなく、終わりでもなく。続きであって、終わりではなく、始まりでもなく。終わりであって、始まりではなく、続きでもなかった。

 進化があって、退化ではなく、退化があって、進化ではなかった。ただ、どちらの変化があり、どちらの変化もなかった。

こんがあって、はくがあり、いのちがあった。ひとつになっていて、せいなのである。しかし、死であるようにばらばらであった。

混沌は両極を持ち、中間を持っている。しかし、それらを見極めることは困難なほど、両極でもなく、中間でもなかった。


混沌は混沌のままである。しかし、長い時間であって、一瞬でもあった後、混沌は混沌ではなかった。

始まりと思われる時、静かに変化は訪れ、騒々しくはなかった。つまり、終わりと思われる時、落ち着きのもとに調和がなって、不調和ではなかった。いや、終わりと思われる時、騒々しく変化は訪れ、静かではなかった。つまり、始まりと思われる時、荒々しさのもとに不調和がなって、調和ではなかった。

調和はすべてをもって整うことであり、不調和はすべてをもって整わないことであった。

調和があって、不調和がなく、不調和があって、調和がなく、共にあって、表裏であり、別々であった。

すべては予定であり、計画であって、すべては確定であり、結果であって、ひとつが予定であり、計画であって、確定であり、結果であった。


混沌は存在するのであり、存在したのであった。

静かに、しかし騒がしく、混沌は混沌であることを止め、混沌というかたちを捨てようとし始めた。

一瞬、いや長い時の後、その変化は爆発によって起こった。爆発はすべてを、ひとつをばらばらに、散り散りにして混沌は終わった。

爆発は爆発を呼んで、すべては、ひとつは一瞬光に、闇に包まれた。

そして、ばらばらになったものものは、何かに引かれ合い、弾かれ合いして新たな形を成し始めた。やがて、引かれ合ったものものは、火花を散らしてひとつのものとなり、大きくなっていった。


偶然の形成か、必然の形成か。自然を保つのに適したのが、円であったのか。

空間の中に宇宙ができたのであった。

2015/03/25

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ