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第四話 人は神の子、悪魔の子

「人間ってさ、神と悪魔から作られたって、知っているかい?隼人君」

「??????」

この人は世間でよく言う不審人物という人だろうと、ひどく冷静な目で隼人は見た。

「あ、やだな〜俺のコトめっちゃ不審者だと思っているよね〜隼人くん」

見透かされていた事に気まずさを感じ、隼人は慌てて目を逸らした。

「まぁ、そんな事よりみんな神が造ったと思っているだろ?いや、確かに最初の人間を造ったのは神だ。自分に似せてある生物を進化させ、今の人間に近い形に完成させた。しかし、神が造った人間は、あまりに博愛主義の自己犠牲主義で、腹を空かせた他の生物の為に自らの命を差し出してしまい…一瞬で終わった。そうたった一瞬でね」

男性はわざとらしく首を横に振り、あたかも残念ですといった顔をした。

「だから神は自殺を禁じた。それは、神自身の失敗、恥だからね。他の生物の様に自己防衛本能を持たせる事が出来なかった。そんな恥を見たくないから神は自殺者を易々と地獄に引き渡してしまうんだよ」

隼人は何も考える余地もなく、ただ黙って話を聞いた。この話は、きっと理解しようとして聞いては駄目なんだろうと理解しながら。

「神が人間造りに夢中になっているのを見た悪魔は、面白そうだと自分も人間造りを始めたんだ。やり方を盗み見ていたから、悪魔も人間を造る事が容易に出来た。しかも何人も。けれど、せっかく造った人間達は次々にお互いを殺し合い、更には悪魔そのものにも牙を向けてきた」

隼人はごくっと唾を飲む。

「だから悪魔は人を殺す事を禁じた。そして、もしその禁忌を破った者は自らの手で処分する事にした。悪魔は意外と律儀な奴だよ〜自分のケツは自分で拭くのさ」

そう言い終わると男性は椅子にふんぞり返り、顎をくっと上げた。

「そして、人間造りに行き詰まった神と悪魔。普段滅多に口を聞かないが…珍しくお互いに協力して造り上げたのが…」

「この俺、神と悪魔が造った最初の人間だ」

かなり誇らしげな顔をして男性は自身にステッキを向けながら言った。

(よくネットゲームばかりしていると現実とゲームの世界の区別が出来なくなると父さんが言っていたが、この人はそのいい例なんだろうか?)

「凄い」や「カッコいい」などという言葉を期待していたのだろか。男性は目を閉じて隼人の反応を待ったが、予想外に隼人は冷静だった。片目を開けて男性は隼人の表情を確認するとチェっと舌打ちをした。

「ううん、ま、とにかく…と。神と悪魔に最も近い存在である俺自信の体の一部を使って出来たのが君たち人間だ。と言っても、今の人間達はもう人間同士のみで繁殖を続けたから、俺は殆ど残ってないけどね」

ポカンと口が開けて隼人は黙って男性を見た。こんな突拍子もない話を自信満々に話す男性に対してのものなのか、その話のスケールに対してなのかは分からないが。

「あ、そうそう、自己紹介が遅れたね〜俺は幽静、三途の川の門番だ」

「三途の…川…?」

三途の川というのは知っているが、この真っ白い部屋はあまりにも想像と違いすぎて隼人は目をぱちぱちとさせた。

「あ、川が無いのに三途の川って?って思っただろ〜?」

男性は勝手に期待している答えを言ってきた。むしろそう思ってなくても強制的にその答えを言いたげだった。

「面白いものを見せてあげるよ」

そう言うとステッキで床をコンコンと叩き、そのままを振りかざすと、隼人の右後にある水槽の一つが急にガタガタと揺れだした。地面が揺れているのではなく、それ自信がまるで身震いをしているかの様だった。暫く揺れると、側面のガラスの1つがバタンと大きな音を立てて倒れ、それと同時に大量の緑色の水が勢い良く流れ出した。部屋の左端に向かって水が流れて行く。その様子はまるで

「川みたいだろ?」

幽静がニヤッと笑った。


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