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第七話『血肉ト魂』


『おい、お前。生きてるか?』

 どこか遠くから、男の声が聞こえてくる。目が眩しくて何も見えない。それでも、声の主を探そうと、懸命に目を見開いた。ぼやけた視界に男の輪郭が映っていた。

 すると、何かが眼前にまで伸びてきた。目が慣れてきたのだ。それが大きな手であることがわかった。たぶん、じっとそれを見つめていたのだろう。

『……つかまれよ。何も好きこのんで、ひとりでいるわけじゃないんだろう?』

 男の声は優しかった。それまで覚えたこともない感覚に、ひどく戸惑う。差し伸べてくれた手から先を、ゆっくりと見上げていく。眩しさはだいぶ薄れてきて、彼の全貌がわかってきた。一番最後に見たのは、男の雄々しくも優しい笑顔だった。

『俺がお前を変えてやる。呪われた運命の生まれ同士、仲良くしようぜ。家には可愛い娘が三人もいる。寂しくはないだろうぜ』

 それが、栄斗と四季春充の出会いだった。春充は、栄斗を影生一族の子と偽り、四季家でその身柄を引き取った。邪妖の主の血肉として転生した栄斗の運命を、自らの手で変えようとしたのである。

 しかし、その志半ばで四季春充は倒れた。本来ならそこで栄斗の枷が解かれ、邪妖の主の真正が現れるはずだった。そうならなかったのは、ひとえに四季家で過ごした日々の賜物であった。

 だがそれももう終わりだ。今や栄斗は、漆黒の虎狼の一部として存在しているに過ぎない。今はまだ意識が残っているが、それもそのうち消えてなくなるだろう。

 漆黒の虎狼と化した栄斗は、常世に舞い戻ろうとしている。そこで本来の力を取り戻すべく、常世の邪気をその身に集め、自らの魂とひとつになろうとしているのだ。

『もしそうなれば、私はお前達を一人残らず食らい尽くすだろう。そうなれば、お前が大事に思っていた人間も犠牲になる。わかっているのか?』

「……わかってるさ。けど、それはもうどうしようもないことだ。人は運命には逆らえない。ただそれだけのことだ」

『四季家で生きてきたお前にしては、随分とお粗末な答えだな。私は興味深くお前達を観察していたのだがな』

「もう僕には何もできない。身体の支配権は、全部お前に移ってしまった。しょうがないじゃないか!」

『……私はその状態であっても、屈することはなかった。己の存在理由を果たすためにな。お前はどうなんだ? 栄斗という名前をもらったお前は、自分が存在する理由もわからぬのか?』

 漆黒の虎狼の問いかけに、栄斗は言葉を詰まらせた。苦しい思いが全身を締めつける。なぜ生きているのか、四季家のみんなと過ごしたかけがえのない日々を思い返しては、苦渋に顔を歪めた。

『……目的地に着いた』

 その言葉で、栄斗は外界に意識を向けた。そこは、古くからの自然が鬱蒼と生い茂る深い山中であった。


※※※


 時刻は夕方を過ぎ、夜になろうとしていた。高速道路を走り続けて、早や一時間が経とうとしている。道中で身支度を整えた秋良は、深見にここ数日のことを話して聞かせていた。深見は秋良の話に興味津々で、ボイスレコーダーにそれを録音していた。

「ふーん。それじゃ、その栄斗くんが怪物に変身しちゃったってわけか」

「そうなんです。でも、どこに行ったかわからなくて……」

 秋良が不安を見せると、深見は元気づけるように笑ってくれた。

「大丈夫よ。宗ちゃんが、きっと栄斗くんを助けてくれるって。彼、普段はぐうたらだけど、やる時はやる子だから」

「深見さんは、その宗四郎さんって人のこと、すごく信頼してるんですね」

「そりゃそうよ。だって大好きな彼だもの」

 臆面もなく言ってのける深見が、秋良は羨ましかった。自分にもこれぐらいの積極性があったら、もしかしたら栄斗にあんな辛い思いをさせずに済んだかもしれない。もう過ぎたことだが、だからといってあきらめるわけにはいかなかった

 車が主道を離れ、高速から降りた。周囲の景色は、もうすっかり都市色が薄れて、自然豊かな様相を呈している。そのまま山間の道に入り、深い山中へと車を走らせていく。雨が降りしきる夜間ということもあって、深見の運転はかなり慎重になっていた。

「もうすぐ目的地よ。宗ちゃんが言ってたわ。彼を連れ戻すには、秋良ちゃんの存在が必要不可欠だって」

「……はい。アタシもそのつもりです。栄斗は、アタシが責任を持って連れて帰ります」

 秋良の強い決意がみなぎる横顔を、深見は眩しそうに見やる。それを見ると、何としてもその思いに応えてやりたくなる。それが人の素晴らしさだと、深見は改めて感じるのだった。


※※※


 栄斗の前に、山の岩盤をくり抜いたかのような巨大な洞窟が、大きく口を開けて深淵の闇をのぞかせていた。人里を離れ、人が絶対に足を踏み入れない場所。そこに、常世への入口があった。この闇の向こうに行けば、漆黒の虎狼が待ち望む常世の景色が広がっているはずである。

 今だ降り止まない雨が、栄斗の巨体を濡らしていた。黒光りする体毛にたっぷりと水気を染みこませているが、鋭敏さは少しも損なわれていない。

 にわかに風が強くなった。横殴りの雨が乱暴に吹き荒れる。次第に混迷を増す悪天候が、ついに雷光を轟かせた。天空からほとばしった雷が、大地に根を張った巨木に突き立つ。真っ二つに引き裂かれた大樹が、轟音とともに山肌に倒れこんだ。

 その時、栄斗の耳に軽やかな笛の音が聞こえてきた。美しい音色だが、妖しげな旋律が聞く者の神経を逆なでする。栄斗は威嚇の唸りをあげながら、音の出所を探った。それは、思いのほかあっさりと姿を現した。

 黒の和装に、薄紫のヴェールで顔を隠した人物。しなやかな動作で笛を吹くのを止めて、栄斗を見上げてくる。青の唇が微笑の形を作る。妖しくて危険な、それでいて美しい微笑。影生葬死郎であった。

「……やはり無理だったようだね、栄斗クン。どうやらキミに期待したボクが馬鹿だったようだ」

 現れるなり、呆れて落胆を口にする葬死郎。栄斗は頭に血が上りそうになるのを抑える。葬死郎の言うことはもっともだった。恥じ入る漆黒の虎狼を見やる葬死郎の瞳は、少しも笑っていなかった。

「悪いけど、キミにはここで死んでもらうよ、栄斗クン。雇い主との約束でね。キミをこのまま常世へやるわけにはいかない。……ボクの計画では、それでも全然構わないんだけどね。あいにく、ボクにも義理とか人情とかいうものがある」

 葬死郎から発せられる殺気は、邪妖のモノに勝るとも劣らないものだった。栄斗は戦慄しながらも身構える。だが、葬死郎には遠慮だとか相手の都合に合わせるなどという、迂遠なものは持ち合わせていなかった。

 葬死郎が跳んだ。風よりも速い動きである。栄斗は横っ面を剣で殴りつけられるまで、それがわからなかった。鋭く重い一撃を受けて、身体が傾ぐ。機先を制された。

「真正を取り戻していないキミでは、ボクに敵うはずもない。……このままおとなしく殺されるしかないよ」

 葬死郎が紡いだ言葉通り、栄斗は繰り出される苛烈な攻撃に全く対応できなかった。頑強なはずの肉体も易々と斬り裂かれ、鮮血とともに激痛が悲鳴を誘う。その間、葬死郎は表情を全く変えなかった。氷のように冷たい、冷酷無比の威圧を放ったまま、容赦なく必殺の攻撃を命中させた。

 漆黒の虎狼の巨体が宙を舞う。多くの木々と草花を下敷きにした。全く手も足も出ない状況が、栄斗には信じられなかった。よろめきつつ上体を起こしたところで、その首筋に剣の切っ先を突きつけられた。

「……残念だよ、栄斗クン。ボクはキミに、若干の親近感を抱いていたんだけどね。仮初めの友誼もここまでだね」

 ほとばしる殺気が、葬死郎を包みこむ。このまま殺されるしかない。栄斗があきらめかけると、葬死郎は本気で失望したように舌打ちをした。そして、くいと剣を持つ腕を引いた。

 それが栄斗の喉を貫こうとした瞬間、夜の闇の中に閃光が走った。固く澄んだ音が、刃と刃がぶつかったことを物語る。栄斗は目の前で繰り広げられた光景に、息を呑んだ。

 鍔迫り合いをしながら、葬死郎はつまらなそうに息を吐いた。

「……今さらのこのこと何をしに来たんだい? キミの役目は、こうなる前に事態を処理することじゃなかったのか?」

 葬死郎の剣を受けながら、高科家の武威『蒼炎』で装備を固めた宗四郎が激しく言い返す。

「うるせえ! オレはお前みたいに偉そうに高見の見物ができる身分じゃねえんだ! そう都合良く事を運べるか」

「ふうん。なら、キミはここから事態を打開できるとでも思っているのかい?」

「ああ、そうだ。性格が最悪のお前よりは、まともに動ける自信があるからな!」

 あくまで小馬鹿にする口調で言ってくる葬死郎に本気で腹を立てて、宗四郎は強引に押し切った。それに付き合わず、後方に軽やかに宙返りをした葬死郎は、薄く笑いながら剣を鞘に収めた。宗四郎が思わず拍子抜けする。

「お前、どういうつもりだ?」

「どうもこうも。キミがこの後の責任を取るっていうから、お任せするだけだよ。それに、ボクのサービスもここまでが限度だ。あとはキミ達でどうにかするんだね」

「葬死郎? おい、ちょっと待てよ?」

 宗四郎の呼びかけに応えず、再びヴェールで表情を隠した葬死郎は、飄然としてその場から姿を消した。山林の闇の彼方に溶け込むかのように、あっという間に見えなくなってしまった。

「……相変わらず得体の知れない奴だ。あんなのと因縁があるオレは、たぶん、現世でいちばん不運な男だぜ」

 憮然として呟くも、全ての危機が去ったわけではない。宗四郎の背後では、弱りかけていた邪気が再び勢いを取り戻しつつあった。どうやら、栄斗の内で眠っていたモノが、葬死郎との戦いで目覚めてしまったようである。

『破邪ノ血族ドモニ死ヲ……。我ガ行手ヲ遮ル愚者ニ死ヲ……!』

 邪気を撒き散らしながら立ち上がる漆黒の虎狼を、宗四郎は緊張の顔つきで見上げた。

「厄介な宿題を残していきやがった。これは本気でかからないとマズいかもな」

 宗四郎が剣を構える。一度は捨てた高科の破邪剣術を用いなければならない自分の運命に、皮肉な思いを抱きながら。



 両者の激突は一度や二度では終わらなかった。夜の闇を斬り裂く閃光。飛び交う影と影。そこでは、他の誰も立ち入ることができない応酬がなされていた。

 宗四郎の剣が漆黒の虎狼の肩口に打ちこまれる。力よりも速さを感じさせる攻撃である。が、刃は肌にまで届かない。一本が一本が鋼鉄の繊維かと思われる漆黒の剛毛が、斬撃の威力を限りなく減殺するからであるた。

 漆黒の虎狼の攻撃は、重い腕撃と鋭い蹴打の連携だ。圧倒的なパワーを感じさせる攻撃は、回避に成功しても嫌な残像を宗四郎の脳裏に残すのであった。その不安が呟きとなって、ある事実を宗四郎に認めさせた。

「コイツ、慣れてきてやがる……!」

 最初はばらばらだった動きも、今ではだいぶ繋がりを見せ始めている。一本調子で戦っていたら、間違いなく手痛い反撃を被るだろう。宗四郎になくて、漆黒の虎狼にあるもの。それは堅牢なる防御と、無尽蔵の邪気であった。。

 自分が次第に押されつつあることに、宗四郎は焦慮していた。速さではひけをとらないが、パワーがあまりにも違いすぎる。表面上は余裕を見せているが、それは空余裕に近いものになっていた。

「分が悪すぎるぜ、こいつはよ!」

 たまらず宗四郎が飛び退く。それを漆黒の虎狼がが追いかける。時間を稼ぐこともままならず、またも乱打戦に持ち込まれる。すでに二人は洞窟の前を離れ、山中全体を戦場として戦っていた。木をなぎ倒し、草を蹴散らして回る。

『口程ニモ無イ。ソレガ貴様ノ全力カ?』

 漆黒の虎狼の嘲弄に、宗四郎は腹を立てた。思いきり睨みつけてやるが、それで戦況が劇的な変化を迎えるわけがない。こうなってはもう仕方がない。宗四郎の目つきが変わった。

「仕方がねえ! 使いたくはなかったが、奥義を見せてやる! 死ぬんじゃねえぞ、栄斗!」 

 そう叫ぶなり、剣を強振して漆黒の虎狼を弾き飛ばす。そして敵が起き上がるより早く、それまで右手に構えていた剣を、左手に持ち替えた。篭手に覆われた右手を、他の剣に比べて厚く頑丈に補強が為された峰に置く。

「行くぜ……!」

 宗四郎が突進をかける。左手に持ち替えた剣は、右手の時と比べて、かなり緩やかに構えている感じだ。重い斬撃が放てるとは思えない。そう判断した漆黒の虎狼は、自分が愚弄されたと怒り、真正面からそれを受け止めた。

『死ニニ来タカ! ナラバ望ミ通リニシテクレルゾ!』

 漆黒の虎狼を取り巻く邪気が膨れあがり、防御態勢を完璧なものにした。そこに宗四郎の一撃が見舞われる。が、邪気の鎧を打ち破るには遠く及ばない。漆黒の虎狼がゆっくりと反撃の態勢に移ろうとするも、宗四郎は平静だった。そして、それが一連の動作であるかのように、右手を剣の峰に押し当てた。

「くらえ! これが高科流破邪剣術奥義『衝破』だ!」

 宗四郎の右手が強く光り輝き、漆黒の虎狼に食い止められていた剣に伝播した。爆発的に膨れあがった破邪の気が、剣撃の威力を何倍にも引き上げた。それは邪気による防御をいとも簡単に押し切り、黒き獣が誇る肉体の奥深くまで斬り裂いた。

『ウ、ウオオオォォォ? 馬鹿ナッ! コンナ事ガ……!』

「今さら遅いんだよ! お前はオレを苛つかせやがったからな!」

 絶叫を上げた漆黒の虎狼に、宗四郎はかさにかかって襲いかかった。この機は逃さないという意思の表れだった。

 衝破の二撃目が、漆黒の虎狼の腕を捉えた。爆発する衝撃。あらぬ方向に弾き折られた豪腕。顎下から突き上げた一撃は、巨体をはるか上空に吹き飛ばす。宗四郎も飛び上がり、空中で敵を追い越すと、上段からの振り下ろしに衝破をのせて、無防備となった胸部に叩きこんだ。

『……ガッ?』

 短い苦鳴を残して、漆黒の虎狼は地上に激しく叩きつけられた。地面を突き破り、深々とその奥に沈み込んでいく。決定的なダメージを与えたはずだった。

「聞こえるか栄斗? 今のソイツ相手なら、お前の力で跳ね返せるはずだ! お前がお前でいたいのならやれ! 他の誰でもない、お前自身のためにな!」

 宗四郎の呼びかけは、漆黒の虎狼ではなく、その内で眠っている栄斗に向けられたものだった。少年を闇の呪縛から解き放つには、この時をおいて他になかった。

「お前の出自を知ったところで、四季家の連中がお前を見放すとでも思ってるのか? 今でも彼女たちはお前のことを信じている。なら、お前がするべきことはひとつしかないだろう!」

 宗四郎の叱咤は、しっかりと栄斗に届いていた。周囲を闇に取り囲まれ、自分の存在を諦めようとしていた少年の心に、ほのかな火が灯った。小さく弱々しいが、確かな熱さがある。それは、希望という名の灯火だった。

「僕は自分だけじゃなく、四季家のみんなも信じていなかったのか。救いようのない大馬鹿野郎だ、僕は……!」

 小さな火は燃え上がり、すぐに猛る炎となった。闇を照らし、その中に埋もれていた栄斗の姿を明らかにした。栄斗は立ち上がった。決然とした表情の彼は、これまでの影生栄斗とは別人であった。

『……それでいい。お前は、ようやく自分の進むべき道を見出したんだ。四季家のみんなと生きるというな』

 聞こえてきた声には、安堵と惜別の響きがあった。姿が見えない声の主に、栄斗がすまなそうに告げる。

「お前はそれでいいのか? 僕が離れるということは、お前にすべてを背負わせることになってしまう……」

『そんなことは気に病むな。どうせ誰かが負わなければいけないんだ。今回はそれが僕だっただけの話さ。せいぜい常世で待つよ。……自分が、自分を滅しに来るのをな』

 栄斗の身体が、何かに引き上げられるかのように上昇していく。そのかわりに、上から何かが下降してきた。両者の距離は瞬く間に縮まり、やがて交錯した。二人の顔が合う。同じ姿をした影生栄斗が、それぞれの表情でお互いに笑いかけた。

『お前の選んだ道は辛く険しいぞ。……四季家のみんなと、仲良くな』

「今度会うまでに、僕はお前より強くなってみせる。……その時までお別れだ」

 自分との邂逅をすませた栄斗は、もう下を見ようとはしなかった。光の粒子に導かれるようにして、ただひたすら上だけを目指した。その先に、求めるものがあるから。

 天頂に小さな光点が見えてきた。もうすぐ、そう思った瞬間だった。

『ソウハサセヌゾ! 貴様ト我ハヒトツ! 例エソレガ小サナ欠片ニ過ギズトモ、失ウワケニユカヌノダ!』

 雷鳴のような声が、栄斗の動きを止めた。眼下の闇から何本もの触手が伸び、栄斗を絡め取る。凄まじい力で締めあげるが、栄斗に屈する様子は見られなかった。そればかりか、敢然と立ち向かう姿勢を見せたのである。

「ようやく正体を見せたな。相当焦ってるようだが、お前の好きにはさせない!」

 栄斗のこれまでにない強気に、闇はたいそう腹を立てたようである。だが栄斗を守る生気は、闇の呪縛を寄せつけないぐらい強力だった。自分の力が及ばないことに、闇は本気で焦りを見せ始めていた。

『馬鹿ナ! 何故ココマデノ力ガ貴様ニ備ワッテオルノダ? タカガ依代の分際デ!』

「違う! 僕はお前の依代なんかじゃない。僕は……僕は四季栄斗だ。四季春充を父とする破邪の血族、四季家の一族なんだ!」

 それは、栄斗が初めて四季家の家族を名乗った瞬間であった。生気が膨れあがり、例えようのない高揚感と幸福感とが栄斗を包みこむ。栄斗は、それを自分の意思で破邪の気へと昇華させた。忌まわしき黒き戒めが、いとも簡単にほどけていく。。

『ハ、破邪ノ気ダト? 認メヌ、認メヌゾ! コノヨウナ茶番、認メラレルモノカ!』

「お前が茶番と笑うこの力で、僕はお前を消し去ってみせる。人を甘く見るなよ、邪妖の主!」

『イイ気ニナルデナイ! 小僧ガアアァァ!!』

 逆上した雄叫びを擦り抜けて、栄斗は再び飛び上がった。邪妖の主の妄執は凄まじく、それでもなお栄斗に食らいつく。振り切ろうとするも、そうはさせじとばかりに、闇の舌が伸びてくる。

「くそ! こんなことで邪魔されてたまるか! 僕は戻らないといけないんだ。みんなのもとへ……秋良のもとに!」

 叫んだ栄斗に、ひときわ大きな闇の束が絡みつく。闇に引き戻されそうになり、光に向かってもがく。この局面を打開するには、大きな何かが必要だった。そう、決定的な何かが。

『……と……えいと……栄斗……栄斗ぉー!』

 その時である。栄斗の耳に、聞き覚えのある声が聞こえてきた。天頂の光からだった。そこから、あの時と同じように手が差し伸べられている。

 それに気づいた栄斗は、脇目もふらずにそれを目指した。闇の妨害に構わず、全力でそれに向かう。そして、伸びた手に懸命に腕を伸ばし、つかんだ。

 懐かしい匂い。懐かしい感触。暖かい心。戻るべき場所に戻ってこられた安心感。それらのすべてが栄斗を優しく包みこんでくれた。光が広がり、闇を消し去っていく。

『ウ、ウオオオォォォ? オノレ、口惜シヤ! カクナルウエハ、我ガ血肉ダケデモ常世ニ連レテユク! 常世デ待ッテイルゾ、栄斗ヨ……!』

 邪妖の主の断末魔の叫びが、光の渦に呑まれて消えていく。栄斗はつかんだ手に引っ張り上げられてそのまましっかりと抱きかかえられた。やわらかい胸に抱かれて、栄斗は一抹の安堵に身を委ねるのだった。


※※※


 まるで奇跡を目の当たりにした気分だった。宗四郎は疲れきった身体を深見に支えられながら、徐々に緩やかになっていく光を見つめていた。その中にいるのは、栄斗と秋良の二人だった。

「……いや、しかし。まさか本当にこんなことが起こるなんてな」

 呆然と葬死郎が呟くと、深見は素っ頓狂な顔をした。

「何よそれ。宗ちゃん、その自信があったから、私にそうさせたんじゃなかったの?」

「期待したさ。神頼み程度にな。だけどこれは想像以上だ。愛の力ってやつは偉大だな」

 宗四郎がしみじみ言うと、隣に寄り添う深見はほんのりと頬を染めた。余計な言質を与えてしまったことに気付いた宗四郎の顔が、疲労以上の渋面となった。

「そうね。それは間違いないと思うわ。宗ちゃんも私で試してみる?」

「……まあ、ひとつの峠は越したってところか。本命はまだ、どデカいのが控えていやがるが」

 宗四郎が答えをはぐらかしたので、深見はひどく気分を害したようだ。恋する乙女が癇癪を起こさなかったのは、光がおさまった中で、秋良が栄斗を愛おしみながら、強く優しく抱きしめているのが見えたからだった。


※※※


夜の町は静けさに包まれていた。この辺りが、もともと閑静な住宅街ということもあるが、向かう先がそもそもの問題であった。

 しとしとと雨が降り続く中、街灯が寂しく照らす道を、着物姿の女がひとり歩いている。

 夜の闇のような色合いに、桜色満開に咲き誇る桜が刺繍されている。長い髪の毛をまとめ上げているため、白くほっそりとしたうなじが露わになっている。着物は元来、体の線を隠すものだが、女の色香をこれでもかと感じさせるいでたちである。

 しかし、ひとつだけ異常なことがあった。化粧が施され、赤く差した唇は艶っぽさを感じさせたが、アイラインによって縁取られた瞳は、全く笑っていなかったのだ。

 その凍えるような瞳が見つめているのは、たったひとつ。前方に見えてきた大きな門構え。そして、その奥にある純和風の建物。それは城と形容しても問題ないかもしれない。厳かに閉じられた門の向こう側に、彼女は用があった。

 門の前には、黒服を着た男達が四人も立っていた。このご時世で、見上げた警備体制である。個人宅でこれはやりすぎの感があるが、ここはそれに見合うだけの、尋常ならざる家だった。

「そこの者、止まれ。ここは直江様のお屋敷だ。用がなければとっととここから去るんだ」

 近づく暇もない。女の姿を見咎めた男のひとりが、高慢な警鐘を鳴らす目つきで、大股に歩み寄ってきた。

「用、ですか。用ならちゃんとありますよ?」

「何ィ? こんな夜更けに何を馬鹿な。明日にでも出直せ……」

 言いかけて、男がいびつに固まる。それ以上言葉を続けることができなかった。それはなぜかというと、女が顔を上げて彼を注視していたからだ。狂気の怒りに燃える、無表情な瞳を向けながら、四季春陽は笑った。

「冬莉ちゃんを返してもらいに来ました今すぐ取り次がないとあなたを惨たらしく殺してやりますからね」

 抑揚のない口調で告げる春陽。彼女の背後で、破邪の気が炎のような揺らめきをみせた。宵桜の袖の中から、するすると何枚もの霊符が滑り出て、春陽の周囲に展開された。

「さあ出てらっしゃい、子猫ちゃん。お話の一つや二つは聞いてあげるわ」

 すでに春陽は男など見ていなかった。射すくめられたように動けなくなった男の側を擦り抜けて、門の前に立つ。他の三人の男が脅え竦む中、内側から重々しく門が開かれた。ゆっくりと明らかになっていく直江邸の中。春陽の表情は変わらない。その視線に立ちはだかるかのように、ひとりの人影が門の中央に立っていた。

 綺麗に切り揃えられた前髪。艶やかな黒髪を後ろで一つに縛り、そのまま背中に垂らした少女。直江龍生の娘、直江響だった。

「……四季殿」

「お久しぶりね、響ちゃん。でもね、今夜はあなたと友好を深めに来たわけじゃないのよ。その意味、わかるわよね?」

 春陽の質問に、響は答えない。苦しそうに唇を噛んだだけだ。だがそれはつまり、春陽の問いかけに答えたも同じだった。響を前に、ほんのわずかだけ和らぎを見せた春陽だったが、それも完全に消えた。

「冬莉ちゃんは家の子よ。他の誰のものでもない。……早く返しなさい。さもないと」

「さもないと、どうなさるおつもりですか?」

 冷や汗を隠すことなく、響が問う。その顔には覚悟が見てとれた。春陽と一戦を交えるも辞さないという覚悟である。

 春陽が笑う。口元を歪ませて、全く笑っていない目を向けながら。

「あなたたちを全員殺してでも返してもらうわ」

 春陽の声音に偽りはない。すでに戦闘態勢に入っていた春陽の破邪の気が、さらに高まっていく。直江家を震撼させるほどの脅威であった。



 急遽もたらされた情報に、彼は愕然とした。しかし次の瞬間には、それが激しい怒りへと変貌する。それだけの衝撃があった。

「なぜそんなことになった? それではすべてが台無しではないか!」

 いつもの冷静さはどこへやら、激しく取り乱す直江龍生に詰め寄られ、影生葬死郎は鬱陶しそうに秀麗な面を歪めた。

「そう言われましてもねえ。彼に出てこられたら、ボクとしてもおとなしく引き下がるしかありませんでしたので」

「なぜ奴があの場所に来た? 常世の中枢に続く邪風穴の存在など、知っている者は限られているのだぞ!」

「そのうちの誰かが彼に教えたのでしょう? だいたい想像はつきますがね」

「高科か桐生院だな。……余計なことを!」

 直江龍生は、御三家の両家を悪し様に罵った。彼らは破邪の血族の本質を理解していない。人の和が結束を深めると勘違いしている高科、限られた局面での戦闘しか能のない桐生院。直江家だけなのだ。破邪の血族の存在意義を理解し、それを忠実に行っている者は。

「まあ、ね。貴方が立てた計画とやらをおじゃんにされて、怒るのはわかりますけど、今回はその方がよかったんじゃないかと思いますよ、ボクは」

 憤慨する龍生をおもしろそうに眺めやりながら、影生葬死郎がからかい半分でそう言う。龍生のきつい睨みをものともせず、葬死郎はさらに続けた。

「貴方は人の力を過小評価してるんじゃないですか? 漆黒の虎狼の呪縛に打ち克ったあの少年は、家族の絆や好き合う男女の愛で、運命をねじ曲げました。さすがのボクも、あれには感服しましたよ。」

 葬死郎の意見を、龍生は黙って聞いていた。その顔には苦渋の色が広がりつつあった。龍生とて人の子、人の親である。破邪の血族の宿命にのみ従って生きられるほど、完成した人格を有してはいない。人の信じ合う心が繋ぐ絆とやらに、希望と期待を抱いた時期が、彼にもあったのだ。

「こうなったからには、すべてを彼らに任せるべきだと思いますよ。いや、むしろそうせざるを得ない。そうでないと、貴方の立場が無くなりますからね」

 葬死郎が顎で示して見せたのは、壇上で眠る四季冬莉である。つられて龍生もそちらを見上げた。儀式の準備はすでに整っていたが、それを実行することはもはやない。

 巌のように剛直で、揺らぐことがないと言われている龍生を翻弄できて、葬死郎は満足したのかもしれない。愉快そうに喉を震わせて言った。

「四季家の繋がりは強いですよ。たとえ誰であっても、それを損なうことはできないでしょう。……その馬鹿みたいに奇跡な一家に、賭けてみてはいかがですか?」

 葬死郎は、完全に面白がりながら、だが真剣に龍生を促した。沈黙を続ける龍生の中で、様々な葛藤が渦巻いているのは、火を見るより明らかだった。だから、地上で起こっている異変に先に気がついたのは、葬死郎の方だった。

「ほら。あまり長考している時間はありませんよ。おそらく、彼女たちの中で最も過激で危険なお姉さんが、妹さんを取り返しに来ましたよ」

 地下にまで響いてくる物音。上で何が起こっているのか、想像するに難くない。龍生は決断を迫られた。差し示された方向に向かって歩くことを、半ば強要されたのである。

「……まったく。四季家の人間は、いつも私に無理難題を押しつける。親が親なら、娘も娘、だな」

 大きな溜息をついて、龍生はささやかな愚痴をこぼした。疲れきった顔と声だが、妙に晴れ晴れとした感がある。長年背負い続けていた肩の荷をようやく下ろせたような、虚しさと安堵がないまぜになっているようだった。


※※※


 春陽の攻勢は苛烈を極めていた。彼女の破邪法師の能力として最も特徴的だったのは、霊符を同時多面展開することによって、一度に複数の法術を発動することができるということだった。

 攻撃、防御、果ては術者の支援をも同時に行う春陽の戦法は、対峙する者にとって脅威以外の何ものでもない。響はそれをまざまざと見せつけられていた。

「これが実力の差よ。それがわかったら、早く通しなさいな。そうすれば、これ以上苛めないでおいてあげる」

 背後で舞わせていた護符を優雅に揃えつつ、非情にも春陽が告げる。冷酷無比な振る舞いに、片膝をついていた響は言葉を失った。

「冬莉ちゃんさえ返してくれれば、私は引き下がる。意固地になるのもいい加減になさい」

 直江邸の内部は、惨憺たる有様となっていた。門は見えざる手に握り潰されたかのように崩れ落ち、美しい景観を誇っていた庭園は、見る影もないほどに焼け落ちてしまっている。池の水面に炎の舌が舐めるように波打ち、地上を煌々と赤く染め上げていた。

 それらの惨状を目の端に留めながら、響は春陽の前に立ちはだかる。

「それはできない。四季殿が冬莉くんを想うのならば、私も父上の意志に従うまで。あなたが当家で狼藉を働くかぎり、私はそれを許さない……!」

 法威『叢雲』をはためかせながら、響は徹底抗戦の構えをみせた。年若いといえど、やはり破邪の血族である。確かな気概が感じられた。

 だが、春陽の冷ややかな眼差しは、さらに凄みを増していた。

「そう。それなら蹴散らして通るまでよ」

 春陽の周囲を舞っていた霊符が響に襲いかかる。響はよく防いだが、それにも限界があった。防御に張り巡らせた結界が打ち破られ、雷撃の法術によって全身の自由を奪われる。そこを拘束術に絡め取られて、響はむなしく春陽の虜となった。

「もう一度だけ聞くわ。……冬莉ちゃんはどこにいるの?」

 相手が心身ともにぼろぼろの状態であっても、春陽は情けをかけなかった。拘束を強めて、響にさらなる苦痛をもたらす。それに対し、響は痛々しい悲鳴をあげるものの、口を割ろうとはしなかった。

 その頑なな態度が、春陽の癇に障った。冷酷な無表情に苛烈な怒りが浮かび上がった。。

「そう。なら、ひと思いに殺してあげる。恨むなら、あなたの父親になさい」

 春陽の繊手が響の首を締めた。凄まじい力で喉を締めあげられた響は、窒息の苦しみに全身を痙攣させた。その様子を瞳に映す春陽の表情は、少しも変わることがなかった。

 それがあと少し遅かったら、響の首は春陽によってへし折られていただろう。そうならなかったのは、僥倖というほかない。惨劇の場に現れた者によって、無慈悲な処刑は止められたのである。

「……もう気は済んだろう。そこまでにしておけ」

 同情と憐れみを混ぜ合わせた声が聞こえてきて、春陽は動きを止めた。響の首に手をかけたまま、振り返ることなく、闖入者を詰問した。

「何しに来たの? まさか貴方まで、私の邪魔をする気なのかしら? 征璽さん」

 まさしく、背後にやってきていたのは桐生院征璽だった。だがそこにいたのは、気難しい顔をした彼だけではなかった。随行者がいることを、征璽は無情に告げた。

「お前を止めたいと思うのは俺だけじゃない。もう一人いるぞ」

「何ですって?」

 胡散臭そうに春陽が振り返る。征璽の長身の影から姿を現した妹の姿を見て、春陽は全身を硬直させた。夏凛は唖然とした顔で自分を見ている。瞬時に、春陽から酷薄な表情が消えた。

 姉の狂気を目の当たりにし、茫然自失となった夏凛は唇を震わせた。

「ねえ、さん……? どうしてこんな……」

「……違う! これは違うのよ、夏凛ちゃん? これは、私じゃ……!」

 妹の出現に春陽は取り乱し、すべての法術が効果を失った。響の戒めも解かれ、地に足が着くと、そのまま力無くその場に倒れこんでしまった。その後を追うように、春陽の宵桜の膝が地面に着いた。

「違うのよおおぉぉ……っ!」

 春陽の絶叫はそのまま慟哭となって、夜の闇に響いた。いつの間にか雨が止んでおり、分厚い雲には切れ目が見え始めていた。一日続いた悪天候も、どうやら終焉を迎えそうだった。

「どうやら事は、収束に向かっているらしいな。……様々な犠牲を払うことになったが、さもありなん」

 征璽の呟きは夜風に乗って、晴れ渡る空に広がっていった。崩れ落ちた春陽にすがりつく夏凛。征璽は、家の中から現れた気配に気がついて、そちらを見やった。神妙な顔で現れたのは、やややつれた様子の直江龍生だった。

「桐生院殿か……。貴公が我が娘を救ってくれたのだな。……礼を言う」

「分不相応な役だったがな。だが、これで貴公も年貢の納め時だ。描いた絵空事の全容をお聞かせ願おうか」

 あまり好意的でない声を発する征璽。龍生は苦しげに笑うと、その腕に抱きかかえた四季冬莉を見下ろしてから、観念したような溜息をついた。

「その話、私にも聞かせていただけるかな? 直江殿」

 そこへやってきたさらなる声。振り返るまでもない。ここに、破邪の御三家の三当主が一堂に会したのである。高科一心、桐生院征璽、直江龍生の三人は、互いを見やりながら、各々の思案に耽るのだった。

 雲間から見えた月は、ことのほか美しく輝き、矮小なる人間どもを悠然と見晴らしていた。


※※※


 秋良は栄斗を抱きしめた。体中で彼を感じるために、強く、激しく。

「ねえ、栄斗。何かアタシに言うことがあるの、わかってる?」

「……心配かけてごめん」

「違う」

「助けてくれてありがとう、かな?」

「それも違う」

「秋良のおかげで、こうしてみんなの元に帰ってくることができたよ。感謝してる」

「……」

「……えっ、と」

「……」

「……好きだ、かな……?」

「……それだけ?」

「……好きだよ、秋良。大好きだ」

「アタシも……栄斗のことが大好き」

「愛してる」

「うん。愛してる……!」

「もう絶対に離さないよ。愛してる、秋良……!」

 栄斗が秋良を抱き寄せる。彼女の温かさを決して失わないように、強く、激しく。

 自然と、栄斗と秋良の顔の距離が縮まっていく。二人は初めてキスをした。甘くてやわらかくて、すごく熱い感触。それだけで想いが伝わるような、そんな気がしていた。

「……あの、ものすごく居づらい雰囲気なんですけど。どう思います? 宗ちゃん」

「お前の言う通りだよ。……くそっ。なんて損な役回りだよ、こいつは」

 後部座席で少年少女が睦言を交わし合うさまを、宗四郎と深見は狭い車内の前部で見聞きする羽目になっていた。酸いも甘いも知った大人の彼らでさえ、二人の熱情な仕草に顔から火が出る思いだった。

「……オレはお前らが羨ましいよ。せいぜい純愛ってやつを貫き通してくれよ」

 後ろで幸せそうに抱き合う栄斗と秋良に、宗四郎は羨望の眼差しを向ける。運転席の深見が何か言いたそうにするも、結局口をつぐんでしまった。高速道を走っていた車を、都心に向けるためだった。

夜の明かりが、辺りをきらびやかにさせている。彼らが住まう街まで、もうあと少しだった。

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