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第三話『偽リノ平穏』


 薄雲から顔をのぞかせた月が、気持ち穏やかに地上を照らしている。

 時刻はもう夜である。街から昼のような賑やかさは消え、夜特有の喧噪があちこちで起こりつつあった。日の光が及ばないこの時間帯は、現世の生気が弱まり、常世から流れ込む邪気の影響がひときわ濃くなってしまう。

 そのため、一般の人々は知らぬことだが、夜中は破邪の血族が巡邏を行い、少しの異常にも目を光らせているのである。それは今日だけではない。昨日も、その前の日も、ずっと日を遡ってもそうだ。

 そしてこれからもずっと、それは変わらないだろう。常世と現世の関係は平行線を辿ったままだ。劇的な何かが起こらない限り、この表裏一体の関わりに終わりはない。

 しかし、どうやらそれにも変化が訪れそうな予感があった。直江龍生が提起した、常世側の陰謀。そしてそれに大きな関わりを持つとされる、二人の人物がいた。

 影生栄斗と四季冬莉。両者ともに、破邪の血族である四季家の縁者である。四季家当主の実の妹である冬莉に関しては、周囲からは穏便な意見が相次いだ。血族側で保護をすれば問題ないだろうという結論に達するのに、そう時間はかからなかった。

 だが、影生栄斗はそういうわけにはいかなかった。

 彼は四季家に養われているというだけで、破邪の血筋を引いているわけではない。それに彼は、元を正せば影生一族に連なる者だ。彼らに敵意を向ける血族は、決して少なくなかったのだ。

「総代のお気持ちを鑑みるに、此度の決定は承伏致しかねるものでありましょう。ですがよもや、会議で決まったことをないがしろにするおつもりではございますまいな?」

 それは、忠告に見せかけた恫喝であった。四季一門の中でも一番の古株の老人に詰め寄られるが、春陽は徹底して明言を避けた。

「まだ議題は続いております。今回の決着は、あくまで暫定的なもの。仮のものでしかない。まだ性急に動くべき時ではありません」

「それはお甘い考えでしょう。直江殿があれだけ自信を持って公表に臨んだのです。信憑性は極めて高い。ぐずぐずしていたら取り返しのつかない事態となりますよ」

 春陽に真っ向から反対の意見をぶつけてきたのは、一門で新進気鋭の飛躍ぶりを見せる若者である。どうやら彼の者は四季一門を踏み台にして、血族の上層に上り詰めたいらしく、春陽は快く思っていなかった。

「それでは、事が何も起こらぬ内に、何も知らない少年を捕らえろというのですか? そのような人道にもとった行為に、四季家が積極的に荷担したと思われたくありません」

 春陽の言葉に、怒号に似た意見が次々と重ねられていく。

「明日の脅威を未然に防ぐためには、荒療治も時に必要です」

「そうだ! もし仮に処分を遅らせて、最悪の事態を招いたりしたら、かえって四季一門にとって、取り返しのつかない汚点となる!」

「総代。ことは四季家のみで済む話ではないのです。重ねてご再考を要求いたします。……影生栄斗の処分、なにとぞご決断くださいますよう」

 四季一門という身内の中にあって、春陽は孤独であった。唯一の理解者である夏凛は、ここでもやはり子弟扱いで、議場である料亭に入ることを許されていなかった。今頃は店の外で、不安な顔をしながら佇んでいるに違いない。

 方々から浴びせられる否定的な意見を聞きながら、春陽は家族のことを思いだした。

「そういえば、お夕飯も作れないわね。あの子達、今頃どうしてるかしら……?」


※※※


「いやー。やっぱ、めいっぱい運動したあとってのは気持ちいいわね。栄斗もそう思うでしょ?」

「はいはい、そうだね。秋良の言う通りだと思うよ」

「何よぅ。その適当な受け答えは」

「だって僕は秋良を待ってただけだから。秋良の気持ちはいまいちわからないよ」

「まーたそんなこと言って! だったらアンタも一緒にやればいいじゃないの、よ!」

「い、いてて!? そんな急に、首を極めないで! し、死ぬから」

 夜の帰り道。栄斗の答えが気に入らなかった秋良は、おもむろに栄斗の首を腕でぐいぐいと締めあげた。栄斗はたちまちのうちに白旗をあげるが、ほのかに香る汗の匂いと、火照った秋良の体を離すのは、少しだけ惜しいと思った。

 二人は街灯と家々からこぼれ出る明かり、そして行き交う車のライトを頼りに歩いていた。栄斗が右側を、秋良は左側を、お互いがほぼ密着した状態で。

 おもむろにお腹をおさえながら、秋良が言った。

「それにしてもお腹すいたぁー。ねえ栄斗、今日の晩ご飯は何だと思う?」

「何って、そうだな……カレー、とか?」

「おお! カレーかぁ! 春陽姉の作るカレーは世界一美味しいもんね」

 栄斗の適当な推量に、秋良は単純に乗った。微笑ましい秋良の言動である。それに実際、春陽お手製カレーは絶品だった。歓喜のあまり舌が踊り出すとか、口の中が幸せ天国になる、などという賛辞では追いつかないほどの美味しさなのだ。

「カレー、食べたいね。でも、春陽さんは本当に料理が上手だよなあ。同じ姉妹でも破壊的に駄目な人と、壊滅的に終わってる人がいるってのに」

「ん? 破壊とか壊滅とか、それって誰のこと言ってるの?」

「……いや、それはまあともかくとして。僕もあんまり得意じゃないからさ。料理を美味しく作るコツって、何かあるのかな?」

 壊滅的な人の怖い視線から顔を逸らしながら、栄斗は話題の方向性を変えることに必死だった。ちなみに破壊的な人は誰かというと、冬莉でないことだけは確かである。

「う~ん。コツかぁ……コツ、コツ、コツねえ……」

 どうやら話題の矛先を変えることに成功したらしい。指をあごに当てて、かわいらしい声をあげながら唸る秋良を見つめながら、栄斗はほっと胸をなでおろした。

 やがて、秋良は答えを導き出せたようである。きらきらした目を栄斗に向けて言う。

「わかった! 料理を美味しく作るコツ。……それは、愛よ!」

「……愛?」

 うさんくさそうに見返す栄斗にかまわず、秋良は鼻息荒く言い募った。

「そうよ、愛なのよ! だってさ、春陽姉は絶対にアタシ達のこと愛してくれてるでしょ? それによく言うじゃない。愛情こそ至高の調味料だ、って!」

 と、自信満々の秋良に対し、栄斗は全然腑に落ちない気分だった。確かに、誰かのために作ってあげようという気持ちがあれば、作り出す時点で美味しくできるように考えて作るだろう。それがひいては愛情という表現に変わっても不思議ではない。

「それじゃあ、夏凛さんや秋良は、僕達に全くこれっぽっちも何にも愛情の欠片すらない、っていうことにならないか……?」

 以前に栄斗は、別々に二人の料理を食べさせられたことがある。といっても、だいぶ昔の話だ。夏凛は見た目をやたらと気にする性質で、できあがったものはすごく綺麗だった。

 しかし食べてみると、その日から三日間、腹痛と下痢が止まらなかった。

 秋良にいたっては、もはや料理ではない。公園の砂場で作ってくれた、泥まんじゅうだ。それは食べられないとやんわり断っても彼女は聞かず、しまいには大泣きをしてしまった。背に腹は代えられず、栄斗は覚悟を決めて泥まんじゅうを口に入れた。目がくらんだ。

 気がついたら、どこかの病院のベッドの上にいた。泥の味が気持ち悪いと思っている隣で、秋良が母親にめちゃくちゃ怒られて泣いていたのを覚えている。でもそれは、怒られたのが原因ではなく、栄斗にひどいことをしてしまったという思いの方が強かったような感じだった。

「何よ? 人の顔見ながらニヤニヤしちゃってさ。ア、アタシの顔に何か付いてるの?」

 昔を思い出しているうちに、どうやら表情が緩んでしまっていたようだ。当時は最悪でも、今ではいい思い出だ。それに、照れている秋良はとてもかわいらしい。いつまでも見ていたい気分に駆られてしまう。

「いや。秋良は昔から何も変わらないなって、思っただけだよ」

「……もしかして、バカにしてるでしょ? アタシのこと」

 秋良が目を細めながら栄斗に身を寄せてくる。実力行使も辞さないという構えだが、栄斗は腹の底からこみ上げてくるおかしさに耐えられそうもなかった。

 そのまま吹き出して笑い出す栄斗を、秋良は呆れ顔で見やったが、そのうちつられるようにして笑いだした。お互いに肩などを小突きあいながら、夜の街を歩いていく。二人の間は、隙間がないぐらいに密着していた。

 笑い疲れた頃になって、二人はようやく四季家に帰ってきた。門灯が点いている中、門をくぐって庭を通り、玄関までたどり着く。鍵を取り出そうとしたところで、中から鍵が外されて、ドアが開いた。そこには笑顔の冬莉がいた。

「おかえりなさい。秋良姉さま、栄斗くん。遅くまでおつかれさまでした」

「ただいま冬莉。お出迎えご苦労さんですっと」

「ただいま冬莉ちゃん。でも、よく僕達だってわかったね」

 栄斗が軽く驚いてみせると、冬莉は苦笑しながら二人を見やった。

「だって、あんなに大きな声で笑ってるんだもの。いやでも気がついちゃうよ」

「えっ? ウソ、そんなに声デカかった?」

「うん。秋良姉さまのは特に大きかったよ」

「マジか~……。ご近所さん迷惑になってたとは。これが春陽姉たちにバレたら、またお説教かな」

 わりと本気でへこんだ秋良は、そのままバスルームに直行する。部活でかいた汗を、一秒でも早く洗い流したいのだろう。気遣いの子である冬莉が、その後ろ姿にすかさず声をかける。

「秋良姉さま、着替えはもう用意してあるからね」

「ホント? サンキュー冬莉。愛してるよ」

 嬉しそうに投げキッスをして、秋良はバスルームに消えた。玄関にいるのは栄斗と冬莉の二人だけだ。家の中が妙に静かなことに、栄斗は気がついた。

「そういえば春陽さん達は? もしかして、まだ帰ってきてないのかな?」

 栄斗が聞くと、冬莉は少し寂しそうに頷いた。

「まだ帰ってきてないよ。お夕飯もないから、どうしようって思ってて」

「そうか。……僕達で何か簡単に作れたらいいんだけど」

「キッチン、見てみる?」

「うん、そうしよう。とりあえず着替えてくるから、冬莉ちゃんはリビングで待っててくれる?」

 栄斗が言うと、冬莉は少し表情を綻ばせてリビングに入っていった。栄斗は階段に向かおうとして、玄関脇に置かれた椅子の存在に気がついた。それは、普段ここにはない物だ。栄斗は手を伸ばして、座面に触れてみた。ほんのりと人肌の温かさが、手の平に伝わってきた。

「……もしかして冬莉ちゃん、誰かが帰ってくるまで、ずっとここにいたのか?」

 栄斗は冬莉がいるであろうリビングに、怪訝な顔を向けた。なぜだか部屋の明かりが、いつもよりもずっと暗いような気がする。気のせいかもしれない、自分をそうやって納得させながら、栄斗は階段を上がっていった。

「あ、栄斗くん。今ね、冷蔵庫の中を見てたんだけど、ちょっとわたし達には無理そうだよ」

 自室で着替えてきた栄斗に、冬莉が困った顔で報告してくる。冬莉は栄斗よりもずっと料理ができる。春陽に時々教えてもらっているみたいだから、そこそこの腕はあるはずだった。その冬莉が無理というのだから、栄斗にはもっと無理だろう。秋良となったら、もはや論外でしかない。

「どうしようか。これじゃ春陽さん達が帰ってきても、すぐに用意できそうもないね」

「うん。どうしよう……」

 栄斗と冬莉がお互いに頭を悩ませていると、ひとり完全にお気楽な家族が、さっぱりとした様子でリビングにやってきた。髪の毛をしっとりと濡らし、タンクトップとホットパンツという、とても健康的すぎる格好だった。

「どしたの? 二人して深刻な顔しちゃって。アタシも混ぜて混ぜて」

 語尾に音符を付けたくなるような調子で言ってくる秋良に、冬莉は手短に現状を説明した。すると秋良は、なんだそんなこととばかりに、得意げな顔をした。

「そんなことで悩んでたの? バカねえ。作れないんだったら、買ってきちゃえばいいじゃん。今の世の中に、コンビニという便利な存在があることを、よもやお忘れですか? ご両人」

 言われて、栄斗と冬莉は異口同音に「なるほど」と感嘆の呟きをもらすのだった。



 そろそろ季節は初夏に差しかかる頃だが、夜の空気はまだひんやりとしていた。風呂上がりの格好のまま外に出てきた秋良が、寒い、と思わず肩を抱きすくめる。

「そんな格好じゃ寒いに決まってるだろ。ほら、これを羽織ってなよ」

 栄斗は呆れながら、着ていたジャケットを秋良の肩に掛けてやった。秋良はきょとんとさせたが、すぐに顔を神妙なものにした。

「でもそれじゃ、栄斗が寒いでしょ?」

「平気だよ。湯冷めしないように気をつけないと。秋良ももう子供じゃないんだしさ」

 そう言ってから、少し言いすぎたかもしれない、と栄斗は内心で冷や冷やとしていた。だが、意外なことに秋良は何も言ってこなかった。それどころか、もじもじしながらジャケットの前を合わせ、上目遣いに栄斗を見てきた。その可愛さたるや、もはや反則級である。

 栄斗が何も言えずに挙動不審になっていると、先に歩き出していた冬莉が、もたもたしている年長者達に、ひかえめながら非難をしてきた。

「二人とも何してるの? 早く行こうよ」

「あ、ああ。ごめん、冬莉ちゃん。秋良、行こう」

「うん。あ……栄斗」

 冬莉を追いかけようとした栄斗の腕を、秋良がそっとつかんできた。振り返った栄斗の目に、はにかみながらも嬉しそうに微笑む秋良の姿があった。ドキッとする間もなく、同い年の少女はそのまま腕を抱きすくめるように絡めてきた。

「これ、ありがとうね。すごくあったかいよ」

「そ、そうかい? それより早く行こうよ。冬莉ちゃんがひとりで先に行っちゃうよ」

 秋良の直の温もりを感じて、栄斗はどきまぎと落ち着かなかった。お風呂上がりのいい匂いが、混乱をさらに助長しているようだ。目線を下げると開いた胸元があって、確かな谷間と膨らみが男を悩ませる。秋良は着痩せするタイプだった。

「栄斗、照れてるの?」

「よせやい。誰が秋良なんかに……!」

 悪戯っぽく囁く秋良に、強がってみせる栄斗だったが、声が上擦ってしまっては何の意味もない。栄斗はあさっての方を見上げて、にまにまと笑う秋良から視線を逸らし続けたのであった。

「いらっしゃいませこんばんはー」

 目当てのコンビニに入ると、カウンターの中にいたアルバイト店員が、やる気のない挨拶で迎えてくれた。どこかぼんやりとした表情の彼は、栄斗達と同じくらいの年齢に見えた。

「さてさて。何にしよっか、冬莉」

「そうだね~。せっかくだから、美味しそうなのがいいなぁ」

 秋良と冬莉はうきうきと買い物カゴを手に取ると、栄斗を置いてさっさと売り場に直行した。おいてけぼりにされた格好の栄斗は、慌てて二人の少女の後を追いかけた。

「あ。これ、美味しそうだね」

「ホントだ。でもさ、冬莉。コッチもなかなか捨てがたいと思わない?」

「どれ? わ、本当だ。でもちょっと量が多いかも。わたしじゃ食べきれないなあ」

「だったらアタシと二人で分けようよ。そしたら、二つの味が同時に楽しめるじゃん」

「そっかぁ。秋良姉さま、頭いい~」

 女子高生と女子中学生による、きゃっきゃうふふとしたやりとりが店内に響いた。その軽やかなさえずりに、他の客の目線が集まる。時間が時間なので、仕事帰りの男性客が多かった。仕事に疲れた男達にとって、年若い少女達の瑞々しさは、何にも勝る癒しのようであった。

 しかしそうなると、居心地の悪い思いをするのは栄斗である。行き交う男達の羨望と嫉妬の視線が、所在なげに立ち尽くす少年に容赦なく突き刺さった。「リア充め」などというやっかみも聞こえたような気がする。いたたまれず、栄斗は即時の撤退を二人に求めた。

「あのさ、僕向こうで本読んでるから、終わったら声かけてくれる?」

 仲良し姉妹は、居候少年の意図するところがわからなかったらしく、揃って小首を傾げた。

「なんで? アンタまだ何にも選んでないじゃない」

「栄斗くんもちゃんと見ないとダメだよ?」

「い、いや、買い物は二人に任せたから。とにかく任せたからね」

 純真というべきか、鈍感というべきか。埒があかないと踏んだ栄斗は、強引に話を押し切った。二人の視線を背に、栄斗は逃げるように、その場から離れるのだった。

「栄斗~、終わったよ……って、何ソレ?」

 雑誌コーナーで二冊くらい流し読みをしたところで、秋良達が栄斗を呼びに来た。意外と早く会計を済ませたらしい。ほっと安堵したのも束の間、秋良の冷めた目が、手にした雑誌に釘付けになっている。運悪く、そのページは巨乳でスレンダーな水着美女のグラビアだった。

「……ふーん。そんなのがいいんだ、栄斗は」

「不潔だね、栄斗くん」

 不穏な空気が立ちこめる。たじろぐ栄斗に反論を許さず、少女達は追撃を浴びせた。

「どうせアタシは、ボン、キュッ、ボンじゃないわよ」

「わたしなんて、ただのお子さまだもの」

 二人とも目が据わっていた。そして声音も重低音である。栄斗は必死に弁解を試みた。

「ちょっと待った! 僕は何も、大きいのが好きだとか、ほっそりしてる方が好みだとかそういうのじゃなくて、綺麗な女性に憧れるのは単純に男の性であるわけで……」

「それだったら、春陽姉と姉貴にお相手してもらえば?」

「そうだね。姉さまたちの特徴と、完全に合致するもの」

 誤解を解くばかりか、余計に事態を重くしただけだった。栄斗は頭を抱えた。

「さ、バカは放っておいて、行こ。冬莉」

「うん。さよなら、栄斗くん」

 打ちひしがれる栄斗に三行半を突きつけると、仲良し姉妹はあてつけのように手を繋ぎ合って、さっさとコンビニから出て行ってしまった。重い溜息をつきながら栄斗が後を追おうとすると、その背中に追い打ちのように空虚な声がかけられた。

「ありがとうございましたー」

 月が綺麗な夜である。青空はあまり好きではなかったが、月夜となると話は別である。栄斗の五歩前で、秋良と冬莉は楽しそうに笑いあっている。本当に仲の良い姉妹だな、と栄斗が感心していると、そのままの笑顔で二人が振り返ってきた。

「なにひとりでたそがれちゃってるの。あんなの冗談に決まってるじゃん」

「そうだよ、栄斗くん。もう怒ってなんかないから、こっちに来て」

 天使が浮かべた微笑に救われた気持ちになって、栄斗は小走りに二人に追いついた。秋良の隣に行こうか、冬莉の隣に行こうか迷っていると、それまで手を繋いでいた二人が手を離し、その間に人ひとり分の空間を作ってくれた。

「栄斗はここ。アタシ達の間に決まってるでしょ」

「そうそう。そうすれば、みんなで繋がれるもんね」

 それぞれの笑顔に進められるまま、栄斗はその間に入り、両方の手で異なる相手の手を握る。右側の秋良はぎゅっと強く握ってきて、左側の冬莉はおずおずと、でもしっかりと握り返してくれた。

「……なんというか、その、少し恥ずかしいね」

「なに言ってんのよ。アタシ達は昔からこうだったじゃない。アタシがいて、栄斗がいて、冬莉がついてくる。今も昔も変わらない、アタシ達の関係だよ」

「……なんか、わたしがおまけみたいな扱いにされてるのは、気のせい?」

 冬莉が拗ねてみせるが、秋良は快活にそれを笑い飛ばす。

「んなワケないじゃん! 冬莉はとっても大事な存在だよ。だってアタシひとりじゃ、このトーヘンボクをどうにかするなんてこと、できないしね」

「……相変わらず僕の扱いはひどいままだね、秋良」

 三人は手を繋ぎながら、他愛もない話で盛り上がった。小さい頃の話や、家では言えない姉達への苦言。そして面と向かっての栄斗に対する文句などなど。少年少女達の悲喜こもごもが、もうすっかり夜に閉ざされた街の風景に溶け消えていった。

 コンビニから家に帰り着いたが、姉達の姿はなかった。三人は嘆息してリビングに集まると、買ってきた物で夕食を摂った。そこでも他愛のない話で盛り上がる。三人のテンションがいつもより高かったのは、寂しさを紛らわせるためだったのかもしれない。

 食べ終わり、しばらくくつろいだ後も、二人は帰ってこなかった。時計を見ると、もう遅い時間だった。そろそろ自室に戻ろうかという雰囲気になった頃、冬莉が急に声を上げた。

「あ! 忘れてた。わたし宿題があるんだった」

「ええ? それって、今からでも間に合いそうなの?」

 ソファでぐったりとしていた秋良が上体を起こしながら聞くと、やわらかなほっぺを少し膨らませた冬莉は、難しそうに眉根を寄せた。

「う~ん……ちょっと厳しいかも。でも、やらなきゃしょうがないよ」

「もしよければ、手伝おうか?」

 秋良の声にたいした熱意はこもっていなかったが、冬莉の反応はことのほか大きかった。

「嬉しい! ありがとう、秋良姉さま!」

「いや、そんなに興奮しなくても。……まあいいか。栄斗、アンタも付き合うのよ」

 秋良に頭をはたかれて、適当に雑誌を流し読みしていた栄斗は、目をきょとんとさせて秋良を見やる。

「え? どういうこと? 僕も宿題やるの?」

「当たり前でしょ。どうせエロ雑誌読む以外することないんだから。さっさと来る!」

「ちょ、ちょっと待った。言っておくけど、これは断じてそんな本じゃ……!」

 栄斗のささやかな抗弁は、またも不発に終わった。むんずと栄斗の襟首をつかんだ秋良は、そのままずるずると引きずっていってしまう。それを見ながら、冬莉は楽しそうに後を追いかけるのだった。

 冬莉の部屋は素朴に見えるだが、女の子らしい可愛さと、落ち着いた雰囲気が漂う空間だった。全体的に白と水色で構成された内装が、居心地の良さをさらに演出している。。

「相変わらず、冬莉の部屋は片づいてるね~。うわ、ほんと女子っぽいわ」

「秋良姉さまのお部屋は、少し男の子っぽいもんね。ダンベルとか置いてあるし」

 部屋の中を感心しきりで見渡す秋良に、冬莉は二人用のクッションを用意しながら、少しだけ照れくさそうに言う。一方で、誉められたと勘違いした秋良はどんと胸を叩いた。

「何と言っても、体は一番の資本よ。鍛える余地があるうちに鍛えておかないと! 冬莉も遠慮することないよ。その手のグッズならいくらでもあるから」

「あはは。……考えておくね」

 冬莉が乾いた返事をする間に、いったん自分の部屋に戻った栄斗がやってきた。感心なことに、参考書の類をかき集めてきたらしい。その点、手ぶらで来た秋良よりやる気があったのかもしれない。

 そして三人がかりで宿題を片づけにかかる。聖峰学院の宿題はさすがに難しく、高校生を二人加えても難解を極めた。それでも、どうにか日付が変わる前に終わらせることができたのだった。

「本当にありがとう、秋良姉さま、栄斗くん」

 感謝しきりの冬莉は、笑顔で協力者を送り出してくれた。目的を果たした栄斗と秋良も笑顔で末妹の部屋を後にする。廊下を歩きだしてから、秋良がぽつりと呟いた。

「少しは気はまぎれたかなあ? 冬莉、なんか元気なかったみたいだから」

「……なんだ。秋良も気づいてたのか」

 意外そうに言う栄斗に、たちまち目を怒らせた秋良が迫る。怒っていてもなお綺麗な顔立ちが間近になって、栄斗の目は軽く泳いだ。

「バカにしないでよ。アタシは冬莉のお姉ちゃんなんだから! ……学校で何かあったのかな?」

「さあ、ね。冬莉ちゃんが話してくれないことには、なんとも」

「冬莉はあれでなかなか頑固だからなあ。変なことにならないといいけど……」

 冬莉の部屋を振り返り、心配そうに顔を曇らせる秋良。どこまでも妹思いの姉だ。栄斗がそう感心するも、秋良の顔は忙しく巡った。今度は栄斗を気遣う様子をみせていた。

「栄斗は大丈夫なの? 体育の時にあんなことになって、アタシ、すごく心配したんだから……。今はどう? 何ともない?」

「大丈夫だよ。今は何ともない。秋良や冬莉ちゃんが一緒にいてくれたから」

 少し突いたら泣き出してしまいそうな秋良に、栄斗は嘘偽りのない笑みを浮かべた。だがそれは、あくまでも今この瞬間において、であったが。黒々とした暗い淀みは、今なお栄斗の奥深くで燻っていたのである。

 自分の部屋に戻ると、栄斗はそのままベッドに身を投げ出した。時計の秒針が時を刻んでいく。静かだった。自分以外には誰もいない。しかし、栄斗は自分の中に何かが潜んでいるという事実を知ってしまった。得体の知れない何か。自分の考えや行動が筒抜けになっているのかと思うと、気が気ではなかった。

 暗い部屋の中で仰向けになり、もうすっかり見慣れた天井に、栄斗は苛立った声をぶつけた。

「お前はいったい何者だ? 影生栄斗。……知っているなら、今すぐその答えを僕に見せてみろ」

 急速に意識が遠のいていく。視界がより暗く、深いものになる。家の外で車が止まる音が聞こえてきた。玄関の鍵を開ける音が聞こえたところで、栄斗の意識は深い眠りについたのであった。



 目が醒めたのは、いつもよりずっと早い時間だった。栄斗は起き上がってカーテンを開く。曇天だった。灰色に淀んだ雲は分厚く、もしかしたら雨が降るのかもしれない。

「嫌な天気だな……」

 身支度を整えた栄斗が一階に下りると、いつも通りの朝食の匂いがした。リビングに入ると、キッチンで動いている春陽が見えた。心ここにあらずという雰囲気がうかがえた。

「……あっ。おはよう、栄斗くん。今日は早いのね」

「おはよう、春陽さん。昨日は遅かったんだね」

 じっと見ている栄斗に気がついた春陽は、ぎこちなく笑った。栄斗はにこりともせずにそれをあしらうと、そのまま不機嫌さを隠そうともしなかった。

「ごめんね。もっと早く帰れると思ったんだけど。晩御飯、ありがとうね。美味しくいただいたわよ」

 栄斗の機嫌を取りなすように、春陽はすぐに朝食の準備を整えた。いつも以上のボリュームで、美味しそうな匂いが食欲を刺激するのだが、それさえ栄斗の気分を苛立たせた。

 朝食を食べる。美味しいはずなのに、美味しく感じない。ただ口の中に入れて、胃に流し込むだけの作業。気遣わしげに見てくる春陽が視界の端に映るたび、栄斗は胸がむかつくのだった。

「……おはよう」

 そこにやって来たのは夏凛である。春陽がほっとしたような笑みを妹に向ける。それで夏凛は異様な状況を察して、しかめっ面になった。

「夏凛ちゃん、もう少しゆっくりでもいいのよ? 昨夜は遅かったんだし」

「いや、そういうわけにはいかないよ。食べたらすぐに出るから」

「そう……」

 夏凛は席に着くと、自分を無視する栄斗を見つめた。その視線を鬱陶しいと感じたのか、栄斗が嫌そうに声を荒げた。

「さっきから何なの? 夏凛さん」

「いきなりご挨拶だな。お前は朝の挨拶もまともにできない、礼儀知らずだったか?」

「……おはよう。これでいいだろ」

「よくはないな。さっきからお前の態度には虫酸が走る思いだ。だが一応、おはようとは言っておく」

 ひび割れていびつになった会話。そこにいるだけで息苦しくなってしまいそうな、重々しくも寒々しい雰囲気が漂っている。夏凛の怒りが今にも爆発しそうなので、春陽は困惑しきりで二人を見比べていた。

「おはよー……って、どうしたの、みんなして」

「おはようございます。……どうして怖い顔してるの?」

 ほどなくして起きてきた秋良と冬莉は、入ってくるなり顔を強張らせた。挨拶もそこそこに、気まずい沈黙を守ったままテーブルに着く。四季家の食卓から、明るい会話が消えてしまった。

 虚しく時間だけが過ぎていく。春陽は何か思い悩んでいるようだった。夏凛はこみ上げる怒りを抑えるように。秋良はそわそわとしていて、冬莉はとにかく寂しそうだった。

 そして栄斗は、それらすべてが気に食わず、苛々としていた。

「……みんな、ちょっと聞いてもらえる?」

 そんな中、春陽が努めて明るい声を出した。全員の視線が長姉に向く。四季家の家長は、それらを見返しながら言葉を続けた。

「今日の夜、みんなと話し合いたいことがあるの。だから、なるべく早く帰ってきてもらえないかしら?」

「それだったら、今でもいいんじゃない? 時間ならまだあるよ、春陽姉」

 秋良がそう言うが、春陽は首を縦には振らなかった。笑ってはいるものの、その顔はひどく疲れているように見えた。

「……少し込み入った話になるから、まとまった時間がほしいのよ。学校に行く前にこんなこと言って申し訳ないんだけど、みんなお願いね」

 春陽に重ねてお願いされてしまうと、家族は了承する以外、他に方法はない。春陽もそれ以上は何も言おうとはせず、手元の湯飲みに虚ろな視線を落とすのだった。


※※※


 妹達が学校に出掛けたのを見送る春陽の後ろから、夏凛がやってきた。いつものライダースーツとは違う服を着込んでいる。黒のレザースーツに見えるが、実際は破邪剣士が身に着ける、武威という戦闘用の装束である。

「それじゃ、行ってくるよ。昼は適当に済ませるから、私の分のお昼はいらないよ」

「気をつけてね、夏凛ちゃん。無理だけは絶対にしないでね」

 春陽が伏し目がちに、夏凛の腕を握ってくる。いつの間にか、夏凛の身長は春陽のそれを越えてしまっていた。子供の頃は姉に守ってもらってばかりいた。だが今はもう違う。これからは自分が姉を守っていく、強い決意が、夏凛の中にあった。

「私より姉さんの方が心配だよ。無茶はしちゃ駄目だからね」

 夏凛がそう言うも、春陽は答えを返さなかった。つかんだ手を離そうともしない。むしろ、その力は強くなっていた。これほどまでに弱々しい姉の姿を見るのは初めてである。夏凛の衝動に駆られた行動が、春陽を驚かせた。

「夏凛……ちゃん」

 夏凛の腕は、しっかりと春陽の背に回されていた。そのまま胸に抱かれる格好となった春陽は、高鳴る鼓動に頬を紅く染めた。それは恥じらいと感謝の表れであった。妹の想いを全身で感じることができたのが嬉しかった。

「……栄斗が心配だ。もしかしたら、兆候が出始めているかもしれない」

 しばらくそうした後、深刻な表情で夏凛が不安を口にした。春陽も無念そうに頷いた。

「そうね。今朝の様子は明らかにおかしかった。けれど、今はまだ何もできない」

 歯がゆかった。影生栄斗の処遇は、まだ本決まりではない。だが破邪の血族は、事は緊急を要すれば、速やかに適切な行動に移るだろう。たとえ血族の意向に逆らうことになっても、それだけは何としても阻まなければならない。

 春陽がいて夏凛がいる。秋良と冬莉、そしてもちろん栄斗も。この五人が揃って四季家なのだ。春陽が何よりも大切に想い、大事に育てていきたいと願った家族。それが欠けるなど、絶対にあってはならないことだった。

「夏凛ちゃんはとても強い子だから。私なんかが心配しなくても大丈夫なのよね。……気をつけて」

 姉の言葉を胸に秘め、夏凛は愛車に跨り、ヘルメットを被る。手に持っていた長い包みは、車体の横にくくりつける。エンジンをかけると、重い振動が全身に伝わってきた。家の方を振り返ると、玄関から春陽が見送ってくれているのが見えた。夏凛は親指を立ててみせると、そのままバイクを発進させた。

 徐々に加速をつけて、住宅街を走り抜ける。やがて大通りに出ると、しばらくその道を真っ直ぐ走った。そのまま待ち合わせ場所に指定した公園に向かってひた走る。

 目に映る光景はいつもと何ら変わることがない。だが夏凛ははっきりと感じ取っていた。一見平和に見えるこの現世に、おびただしい邪気が流れ込んできていることを。

 公園の駐車場に入ると、夏凛はいったんバイクから降りた。ヘルメットを外し、公園の空気を肺に取りこんだ。頭を振ったことで、夏凛の艶やかな黒髪が優雅に波打った。

 遠くから聞こえてくる排気音の集団。それは続々と駐車場に集まってきた。その数十五。それらが夏凛の前で、整然たる並びをみせた。

「全員揃ったか?」

「はい。いつでも行けますよ」

 彼らは四季一門に連なる破邪剣士である。老若問わず、強者を揃えた。今日の破邪業に参加する者達。それを指揮するのが夏凛であった。

「各員三名ずつ五班で当たる。絶対に単独で敵と接触するな。今回の任務は、今までとはものが違うということを、頭に叩きこんでおけ。いいな!」

 夏凛はこの中で最も若い。しかも女である。だが彼女が発揮するリーダーシップは堂に入っていた。指揮下に入る者達は、誰ひとり不平を口にすることなく、夏凛の言葉に強く頷いた。

 公園からバイクが列をなして飛び出してくる。はた目には、ツーリングに出掛けようとしている集団としか映らない。その実彼らは、生死をかけた戦いに臨もうとしていた。何も知らない者達の未来を守る為に、破邪の血族は死戦に赴く。誰も称賛などしてくれない、孤独な戦いであったが、それが彼らの存在理由であり、古より連綿と続いている宿命であった。


※※※


 街外れにひっそりと佇む、老朽化が進んだアパート。その一室には、とある青年が隠れるように住んでいる。外観と同じか、それ以上に古くて痛みが激しい内装。六畳一間の部屋は、お世辞にも綺麗とはいえない状況だった。

青年はよれよれの部屋着を引っかけて、遅い朝の目覚めになお不服そうであった。

「……ちっ。早く起きちまった。バイトは夜からだってのにな」

 寝癖だらけの頭を掻きむしり、無精髭が生えた顔で思いきりあくびをする。典型的なダメ人間の様相だが、唯一、眼光だけは妙に迫力がある。気品の良さを感じさせる眼差しだった。

「ゴミでも出してくっか……」

 青年はぼやくと、まとめてあった巨大なゴミ袋を四つ、両手で軽々とひっつかんで、部屋を出た。ドアの横に掛けられた表札には『日佐谷』と記されていた。

 足を運ぶたびにぎしぎし言うアパートを下りて、表のゴミ収集場へと向かう。そして、乱雑に放られているのを嫌な顔で見下ろしながら、自分のゴミだけはきちんとその枠内に収めておいた。面倒そうに戻ろうとしたところで、青年は何者かの強い視線に気がつく。

「誰か知らないが、ずいぶんと物々しいな。そんなんじゃ、隠れてる意味がないぜ」

 粗忽な訪問者を揶揄しつつも、青年は油断することなく、確信をもって建物の影に向き直った。が、次に聞こえてきた声の出所は、そことは全然違う場所だった。当てが外れた格好となり、青年は憮然とした面持ちになった。

「そっぽを向いて格好つけるとは、それはお前の新しい性癖か何かか?」

 その無機的な喋り方には、心当たりがあった。青年は、まいったとばかりに頭を掻いた。

「……まさかアンタだったとはね。つーかさ、人が格好良く決めてみせたんだから、せめてそれには付き合ってくれよ」

 肩をすくめて、青年がおどける。路地の影から現れた、純白の陣羽織を身に纏った長身の男に背を向けたまま。彼の青年を見つめる視線は、普段のそれと比べるとだいぶ柔らかかった。

「なんで俺が、お前の都合に合わさねばならんのだ。いい加減にしろ、宗四郎」

 しかしそれでも、繰り出される舌鋒は厳しい。宗四郎と呼ばれた青年は、そこで初めて男の方に向き直った。その顔つきは、先ほどまでの自堕落なものではなくなっていた。

「そういうアンタこそ、旧交を温めるにしては、ちと相応しくない格好じゃないか? 征璽サン」

「それはお互い様だ。お前は捨てたと思いこんでいるようだが、高科の名が泣くぞ」

 宗四郎と桐生院征璽。彼らの間には深い因縁がある。宗四郎の姓は高科。そう、破邪の御三家筆頭高科の子息であった。

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