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わたしの異世界食配達物語  作者:
異世界へはプリン・アラ・モードと共に
6/58

4

えっ………と。

私は一体、何に巻き込まれたのかな?

家にいたはずなのに気付いたら豪華絢爛な場所にいて、座り込んでしまっていた所に手を差し伸べてくれた男の子の瞳が私と同じ緑色の瞳でびっくりしている間に一際威厳のあるおじさんが騒がしくなった周囲に何か言って黙らせた後、男の子に何か言った。

それに頷いた男の子が私を立たせると何か言ってきた。

だけど外見通り外国人の彼の喋る言葉は日本語ではなくて正直チンプンカンプン。

しかも英語ですらない。

顔に困惑が出ていたのが判ったのか今度は単語を喋ってくれているようだがそれも判らない。

 

「えっと……ごめん……わからない………」

 

申し訳なくて項垂れると私の言葉はやはり向こうにも意味がわからないらしく驚いたような顔をした後に後ろにいた見るからに怪しげな人になにか怒鳴っていた。

 

………もしかして、この状況の原因にあの怪しいそうな人、関係あるの?

 

そんな疑惑がムクムクと沸き起こる。

疑惑のままじっーと怪しげな人を見詰めていると視線に気付いたのかフードに隠された顔がこちらを向く。

目は隠れていて判らないのに一瞬目があったような気がしてどきっとした。

唯一外から見ることができる口元が面白そうに上がって怪しげな人はヒラヒラと杖を持つ手とは反対側をこちらに振ってみせる。

予想外にフレンドリーな態度に思わず手を振り替えそうとしてお盆を持っていることに気付いて軽く頭を下げた。

それに気付いた男の子が顔を険しくすると怪しげな人の所に走っていて何かを捲くし立てている。

ぎゃんぎゃん怒鳴る男の子に怪しげな人は肩を竦めたり首を動かしたりと軽く流している印象だ。

この様子を見ながら私は頭の中で勝手に台詞を当てはめてみる。


男の子 『お前は!!どうしてそうちゃらんぽらんなんだ!!大体なんだ、あの人、言葉が全く通じないぞ!』

 

怪しげな人 『あははははは。怒らない怒らない。そんなに怒ってたら血圧上がっちゃうぞ!』

 

男の子 『血圧上げてんのはお前だろうがぁ!ごらぁ!大体お前ときたらいつもいつも………!』

 

みたいな感じ?


あくまで私の勝手な想像だから実際は


男の子 『ど、ど、どうしよう。あの人、突然現われて言葉も通じないよ!』


怪しげな人 『落ち着きなさい。いつも言っているでしょうどんな時でも平常心を保ちなさいと』

 

男の子 『すいません。でも、こんなことどう対処すればいいのかわかりません!』

 

怪しげな人 『大丈夫です。貴方には師である僕がついているのですよ?貴方がそんな態度では彼女がますます怯えてしまいますよ』

 

男の子 『先生………そうですね。すいません』

 

 

とか?


…………男の子が怪しげな人の襟を締上げている段階でこれはないか。

 

一体どんな話がされていたのか気付いたら顔を真っ赤にした男の子が怪しげな人を締上げていて周囲の人々が慌てて男の子を止めていた。中には何人か泣きながら男の子に何かを切々と訴える人までいる。

締上げられながらも薄ら笑いを浮かべ続けている怪しげな人の方が私は怖いと思うんだけど。

男の子が肩を上下させながら私を指差し何かを怪しげな人に叫んだ。

怪しげな人の視線が再び私に向けられて思わず背筋が伸びる。

かつんと怪しげな人がこちらに近寄ってくる。

何故か先ほどまで騒がしかった場が凍りついたように静まり返っていた。

かつんかつんと硬い床を歩く音だけが私の耳に届く。

黒いローブから予想外に若く見える手が私に伸ばされる。その指先が私の額に伸びてきて思わずびくっと体が震えてしまう。

 

「あっ………」

 

触れる直前で止まった指を見詰めながら私は困ってしまう。

 

怪しげな人は笑った。


そして私を安心させるように口を開いた。

 

「大丈夫だよ。恐いことはしないから」

 

え?日本語?

驚いている間にひんやりとした指先が私の額に今度こそ触れる。

笑みを浮かべていた口元が小さく何事かを呟く。

今度は意味不明な言葉。

 

さっきの日本語は聞き間違い?

 

聞き返そうとしたとき、怪しげな人の意味不明な言葉が途切れる。

それと同時に体に電撃が走って、一瞬のうちに頭の中に色んな文字や言葉など膨大な量の情報が浮んでくる。

 

「うひゃ!」

 

我ながら謎な悲鳴を短く上げ、再びその場に座り込む。

クラクラと頭の中に色んなことが浮んでくる。

 

見たこともない文字。

 

聞いた事のない言語。

 

知らない風習に歴史に国の関わり、自分の暮らしている世界とは違う常識に自然環境、生活風習、文化。


自分に馴染みのあるものもないものも全て詰め込まれ、刻み込まれ、理解させられる。

 

 

永遠のような一瞬が過ぎた時、私は理解した。


この世界の名前はリシュル。

私のいた世界とは違う理と文明を築く、異世界。

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