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わたしの異世界食配達物語  作者:
家族団欒には手作りの料理を
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 さて、改めて協力してもらうことになったわけですがこれからどうすればいいのか有力な手がないのは変わらない。

「これからどうしましょうか……」

 そして上手い手もそうそう思い浮かばない。

『まぁまぁ、無駄に思い悩んだ所で上手い手が浮ぶでもなしに下向くよりかは上を向いていこ~~!』

 元気だしてこ~~!と手を挙げる幽霊さん。

『ほら!奈津ちゃんもやるやるっ!』

 私の手首を幽霊さんが勢い良く掴む。

「え、あ」

 幽霊さんが私の手をそのまま空に突き上げる。

『いくよ~~せ~~の~~!元気だしてこ~~!お~~!』

「お、お~~!」

『声が小さい!!景気付けにもう一度いくよ~~!』

 幽霊さんはノリノリに天に腕を再び突き上げる。

「幽霊さん!」

『せ~~の~~!元気だしてこ~~!お~~!』

 その後、幽霊さん主導で三回ほど景気づけとやらをやり、私は最後の一回以外は『声が小さい!』と叱られた。


『さぁ~~て!景気付けも終った所で本格的に動きだすわよ~~!』

 全ての景気付けともに全力全速で拳を天に突き上げ大声を出していたのにも係わらず息切れ一つ疲れ一つ見せない幽霊さんはうずうずと今にも全力でどこかに走り出しそうに見えた。

「は、はい!」

 この女性は本当にバイタリティ溢れている。

 この短い間のやり取りでいやというほど私は実感させられた。

「幽霊さんは元気ですね」

『元気なのがあたしの取り得!幽霊だけどね!』

 幽霊さんは幽霊だけどなんか元気に溢れている人だ。

 周囲を巻き込んでどんなに落ち込んだ空気が漂っていようとも元気にしていく。淀んだものを吹き飛ばす。

 実際、私がそうだ。

 状況は何も変わってない。

 方法も見つからない。

 何をすればいいのかもわからない。

 だけど不思議なほど前を向こうって思う自分がいた。

「さて、それで今後の方針をどうするか、っていう問題に戻るわけですが」

『う~~ん?そうだねぇ~~あたしら幽霊に出来ることって言ったら……』


壱、建物への不法侵入。

弐、人の読んでいる本(書類)の覗き見。

参、飛べる。


 幽霊さんが指を折って一つ一つ出来ることをあげていく。

 そして挙げていくたびに私と幽霊さんの眉が歪む。

「なんか、最後以外、犯罪臭がぷんぷんする……」

 まさかの幽霊の行動の驚異の犯罪率!

『やっぱり異世界でも犯罪、だよねぇ?』

 異世界でも立派に犯罪なので私は深く頷く。

 私達の姿を誰にも見られないからと言って犯罪行為はねぇ……。

『幽霊のできることってほぼ犯罪なんだぁ……うぁ~~これは自覚したくなかったなぁ~~!』

 私もですよ。

 幽霊だから地道に人に聞き込みとかも出来ないし……うぁ~~本当に出来ることが思い付かない~~!

 人から見えない聞こえない喋れないってほんと~~~うに不便!

 二人揃って顔を見合わせ、そして幽霊さんが両手で自分の頬をばしんと叩いた。

『暗い顔はやめやめ!出来ることは少ないけどあたしは奈津ちゃんを絶対に家族のところに帰すと決めたし奈津ちゃんだって絶対に家族ところに帰る!そうでしょ!』

「……そうですね」

 こくりと頷く。

『あ~~あ!こっちに知り合いでもいれば夢枕に立つとかして助けてもらえるのになぁ~~』

 頭の後ろで腕を組んだ幽霊さんが唇を尖らせてぼやいた内容に私は勢い良く顔を幽霊さんの方に向ける。

『うぁ!な、なに?どしたの?』

「いま、なんて言いました?」

『うぁ!な、なに?どうしたの?だけど』

「違うっ!その前~~!」

『ひぇ!あ、えっと~~』

「わんもわぷり~~~~ず!」

『なんで英語~~!しかも思い切り日本語英語~~!!』

 私の迫力に恐れをなしてしまったのか腰が完全に引けてしまっている幽霊さんをジリジリと追い詰める私の顔は目が血走っておりかなり怖かったらしい。

 幽霊さんは微妙に涙目になりながらも突っ込みは忘れてはいない。

 意外に律儀な人だ。

『こっちに知り合いでもいれば夢枕に立つとかして助けてもらえるとか言っちゃった気がします~~!ごめんなさい~~!』

 涙目でそう繰り返した幽霊さんは何故だか語尾に謝罪をくっつけていた。

 あれ?

 なんで?

 って今はそんなことを気にしている場合ではないわ!

「それよ!」

『どれですかぁ~~~~!!』

 ぐわっ!と目を見開いて詰め寄れば幽霊さんが両手を挙げて『降参!こ~~さ~~ん!』と的外れなことを言っていた。

「何を遊んでいるんですか?それよりも幽霊さん!ぐっとジョブ、ですよ!」

『へっ?なにが?』

 さっぱり解ってない幽霊さんに私はぐっ!と親指を突き出す。

「私、異世界トリップ常習者なんです!食配達人なんです!知り合い、います、いますよ!この世界に!」

『……は?』

「よっしゃ~~!お城、お城に行きますよ~~!」

『えええ?』

 目標が出て俄然、テンションが上がった私は遠くに見えるお城に向かって走り出した。


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