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第一話 心の変化(パージ)

戦闘入りだぜ!



 

 ただ鍛冶士の家に生まれ、物心ついたころから鍛冶士見習いとして生きてきたのになんでこうなったのだろうか。


 「おい、どけよ。ゴミクズ、戦闘科アルテクスのお通りだ」


 「・・・・はー」


 思わずため息が出た。


 「あ?何だ?文句あるのか?あ?」


 どこぞの不良よろしくのあいさつ?がかかる。


 「ひっ・・・・・」


 「あ・・う・・」


 俺の後ろには、同じ在校生の女性一人と別の学生が一人が震えていた。

 面倒事は嫌いだから避けてきたのだが・・・。

 俺はその姿を見て、どういうわけか苛立ちを覚えた。


 「おい!聞こえてんのか!!おい!!!」


 その言葉をきっかけに・・・・言葉を出していた。


 「アルテクス・・・か、だからどうした?」


 「は?」


 不良は何を言っているのか分からなかったのか、問い返す。


 「アルテクスはお前が威張るための呼称じゃない」


 「っ!!!テメェ!!」


 挑発に乗せられて大振りの拳が迫る。

 だが、迫る拳を片手で受け流し、片足を軸にして回転。 その勢いを利用し肘打ちを後ろ首に打ちこむ。


 「がっ」


 「まして、馬鹿に敬意をはらうわけがない」


 自然に口答が荒くなる。


 「てめぇ!!」


 不良の両拳が炎に包まれる。


 「禁則事項第三章」


 あきれるように事実を告げた。


 「教事を除くチカラの発現は緊急時以外禁じる。忘れたのか?規律は絶対・・・なんだろ?アルテクス?」


 「黙れー!!」


理由は関係ないと言わんばかりに飛びかかる。


「・・・嫌がる相手に無理強いして言い寄って、あげくの果てに恐喝か・・・何がアルテクスだ」


たいして慌てることなく炎に包まれた拳を紙一重で避ける。


 「こんな世の中だ。力ある種を残すため、アルテクスには数多くの特権が送られる」


 この世は今、騒乱期の真っただ中、危うい均衡の中にある。


 「政府は国を守るために、アルテクスを重宝する。多妻の特権もそのためだ」


 炎拳のラッシュを避け続けながら言葉を続ける。


 「こっのぉ!!」


 大振りの隙だらけの一撃。


 「だがな・・・」


 それを避けて、流れる様に蹴撃を打ち込む。


 「ガハァッ!」


 「強制する権利は存在しない!!」


しばしの静寂の後に野次馬達の歓喜の声が響いた。

 不良は立ちあがりながら叫ぶ。


 「てめぇら、わかってんのか!!アルテクスに逆らって無事でいられると思ってんのか、ああ!!」


 不良の言葉に周りがまた静寂に包まれる。

 たしかに、多くの権利を持つが故に、限定的なれど独裁が許される事がある。

 そのため、アルテクスにさからって、家庭崩壊を起こしたところも少なくない。

 

 「・・・・」


 こいつは、本物の馬鹿だ。

 いや、周りにいる奴らも一喝でこれなのだから同類か。


 「は、ビビったか、だったら」


 委縮したと取ったのか要求をとばす。


 「・・・アスメント」


 俺はその言葉を断ち切るように宣言した。

 自身に宿るチカラを呼び起こす。


 「な!」


 不良は驚く、学生服に縫われた学紋章ルーツ練成師アルケミスト

 なのに、目の前にいる者から感じるものは、間違いなくチカラの波動。

 それも上級アルテスクに匹敵する波動。 


 「アルテクスの権利はチカラを持つもの全てに適用される。そして、ここらではチカラを持つ者同士の激突は必然的に決闘コロナーを意味する」


 「っ!!!」


 不良はとっさに構える。

 二人を中心に景色が変わってゆく。

 解き放たれる学園に組み込まれたチカラを持つ者同士の裁決法。


 「何だよ、何なんだよお前はっ!!俺の邪魔をするんじゃねー!!」


 不良は叫ぶ。


 (何故・・か)


 確かに、俺がいま庇っている彼女との接点などない。


【私を助けてくれますか】


 その言葉が、今でも頭から離れない。

 答えを聞かず消えた彼女。

 ただ、分かることは一つだけ、彼女は・・・泣いていた。

 他人を気遣うことは今までなかった。

 いや、しようとしなかった。

 なのに、彼女の涙を見た瞬間・・・何故か心が疼いた。

 だからだろうか、彼女の姿とこの女学生が重なった瞬間、俺は前に出ていた。

 この疼きは不快感しかわかない。


 「気に入らないからだ」


 「は?」


 答えを返すと不良が呆けたような声をあげる。


「ただ、アルテクスにいるだけで我が物顔で歩かれるのは気分が悪い」


 答えながら片手にチカラを具現化させる。


 「まして、最下級レミィウズの出力しかないアルテクスならなおさらだ」


 俺の言葉に再び周りはざわめく。


 「て、テメェ!!ふざけ・・・」


 「学園に問い合わせれば分かるはずだ。お前のランクがな」


 「!!!」


 その言葉を最後に俺は無造作に構えながら口ずさむ。


 「最果ての空、極地に至る徒」


 俺から放たれるチカラの波動が大きくなる。 

 周りにいる外野もその波動を受け気押され始める。


 「く、アァァァァァァ」


 チカラの大きさに恐怖した不良は、今までの言葉で高まった感情が爆発し奇声をあげる。

 今までより、立ち上る両手の炎を球状に留められる。

 また幾重にも不良の周りに現れる。


 「死ねーーーーー」


 掛け声とともに炎弾が殺到する。 


 「描かれるは真実」


 その光景ははたから見ればただの殺戮。

 だが、そんな殺意を向けれれても言葉を止めない。


 「理を越え、災厄を穿て」


 炎弾が俺の肉体を穿とうとした瞬間、チカラが纏った片手を振り抜き炎弾をかき消す。 


 「我はここに真実を具現する」


 チカラが具現化し俺から放たれていたチカラが俺の片手を包む。

 それにともない、しだいに形がくっきりと成されてゆく。

 光が治まった俺の片手に、籠手が備えられていた。

 

 「な、それは!!そんな・・・お前・・・まさか!!!」


 ここにきて、不良は信じられないモノを見るように叫ぶ。

 だが、その先を口にする前に一気に懐に飛んだ(・・・)。


 「ぶっ飛べ!!!」


 そのまま、腹に拳を叩き込む。


 「ガハァ」


 宣言通りに不良は形成されたフィールドの隔離壁まで吹き飛んだ。


 「運がなかったな」


 勝利の宣言ともとれる言葉を最後に形成されたフィールドが解かれてゆく。

 フィールドが完全に解けた瞬間盛大な歓声が響く。


 (あ~、らしくない・・・まったくもってらしくない)


 俺はそんな中、心中そう吐いた。

 いままで、夢のために面倒事を極力避けてきたのにどういうわけか、彼女と会ってから・・・俺は変わった。

 それが、当たり前なのか、それとも変なのか・・・俺には分からなかった。


 (・・・帰るか)


 庇った彼女たちが、呼びかけているのも気付かづに、俺はその場を後にした。


 

 

    

戦闘ムズイゼ・・・・・。

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