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第二十話 初めましょうか

「さて、初めましょうか」


堂本が目覚めてから一週間後、ようやく柳井に魔法について教わる事になった。


「あの、なんで外に出るんですか?」


堂本とリリムは、柳井に連れられ、山中の森に来ていた。


「これ以上、私の家を壊されるのは困りますし」


柳井は苦笑しながら答える。


美聖達が壊した壁や窓は、すでに柳井達が元に戻していた。


「す、すいません」


「堂本さんが謝る事ではありませんよ。悪いのは堂本さんではありません」


柳井が後ろを見る。


そこには、堂本達を襲ったあの女性の姿があった。


当然、首輪は付けたままだ。


「そうですよ。悪いのは全部コイツなんですから」


リリムが女性を指差すと、女性は黙ってそっぽを向いた。


「あの、なんでこの人がここに‥‥」


「目を離すとなにをしでかすか分からないので」


柳井の言葉に女性は反発するような素振りを見せたが、柳井がそちらを見るとすぐにまたそっぽを向いた。


「時間もあまりありませんし、始めましょうか」

柳井はそう言うと、空中に指で文字を書く。


その文字は、赤く光ると、ノートに書いたようにそのまま留まった。


『魔法を使うための要素』


「元々、魔法というのは、体内の魔力を使い新たな現象を起こす物です。この魔力というのは、言い換えれば生命力ともいえます。人が生きるうえで必要なエネルギー‥‥それが魔力です」


「それが‥‥魔法を使うための要素、ですか?」


柳井は首を振る。


「魔力は魔法を使うための要素の一つに過ぎません。他にも、必要な物はいくつかあります。例えば、これです」


柳井が再び空中に文字を書く。


『変換力』


「先程も言った通り、魔力とは生命力です。この生命力を魔力に、魔力を魔法に変える力が『変換力』です。堂本さんの場合、魔力そのものは莫大な量がありますが、この変換力がまだ不安定みたいですね」


「その変換力が足りないと‥‥どうなるんですか?」


「簡単に言えば、見た目よりも質が悪い魔法になります。堂本様の魔法が大きいわりに威力がなかったのは、このせいです。また、生命力を必要以上に変換してしまう場合もあります。堂本様ほどの魔力がありながら、魔力が足りなくなって昏睡状態になったのは、ここに来るまでに必要以上に大きな魔力を使ってしまったからです‥‥魔物を使役し続けたという事もありますけど」


柳井がリリスを見る。


リリスはシュンとし、柳井の後ろで退屈そうにしていた女性が、ここぞとばかりにニヤニヤ笑う。


柳井は二人を無視して話を続ける。


「この変換力は、どんな人にでもあり、おそらく堂本様の場合、魔力そのものを伸ばすよりもはるかに簡単なはずです」


「本当ですか!?」


堂本が目を輝かせながら身を乗り出す。


「え、ええ……おそらく、コツさえ掴めば、簡単ですよ」


柳井は急に勢いづいた堂本に気圧されたように返事をする。


「堂本様は、見た魔法をそのまま使うことが出来ると聞いています。それはつまり、自覚していないだけで、変換力そのものは非常に高いレベルにあるはずです。今教えてすぐに、とはならないでしょうが、元々膨大な量の魔力そのものを伸ばすよりは、こちらの方が容易いはずですよ」


柳井はそう言うと、また文字を書く。


『器』

『魔法の解放』


「こちらの方も後程教えてたいと思いますが、まずは『変換力』について実際に鍛えていきましょう」


柳井が女性の方を向く。


「手伝ってもらえますよね?」


柳井の笑顔での言葉に、女性が逆らえるはずもなかった。


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