↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

オタクであることは人生を救う

作者: ごはん
掲載日:2026/09/13

人生には、ときどき、何のために明日を迎えるのかわからなくなる日がある。


仕事をして、食事をして、眠る。


また朝が来て、同じような一日が始まる。


大きな不幸があるわけではない。

けれど、大きな幸福もない。


そんな日々の中で、私はひとつの作品に出会った。


最初は、ただ面白かっただけだった。


登場人物が好きになった。


声が好きだった。

音楽が好きだった。

物語の続きを知りたくなった。


気がつけば、次の発売日を待っていた。


次の公演を待っていた。


その日まで、生きていようと思った。


ほんの少しだけ。


けれど、人間にとっては、

その「ほんの少し」が、とても大切なのだと思う。


明日が楽しみだから生きる。


来週が楽しみだから生きる。


来月、好きな人たちに会えるから生きる。


物語の続きを知りたいから生きる。


そんな理由でもいい。


人生を救うものは、

いつも大げさなものとは限らない。


一枚の絵だったり、

一冊の本だったり、

数時間の舞台だったり、

イヤホンから流れる一曲だったりする。


誰かから見れば、

ただの娯楽なのかもしれない。


けれど、その「ただの娯楽」に、

救われる人間がいる。


現実が苦しいとき、

物語の中に逃げ込む。


そして、少しだけ呼吸を取り戻して、

また現実へ帰ってくる。


だから私は思う。


オタクであることは、

現実から逃げることではない。


現実へ戻ってくるための、

小さな避難所を持っていることなのだ。


好きなものがある。


楽しみにしているものがある。


胸の中で、大切にしている世界がある。


それだけで、

人生はほんの少しだけ、

死んだようなものではなくなる。


何もない日曜日にも、

「今日はこれを見よう」と思える。


つまらない一日にも、

「帰ったら続きを読もう」と思える。


眠れない夜にも、

「明日は新しい情報が出るかもしれない」と思える。


そうやって人は、

小さな楽しみを一本ずつ、

明日へ続く糸にしていく。


もしかすると私は、

何度もその糸に助けられてきたのだろう。


人生そのものが、

いつも素晴らしいわけではない。


それでも、

好きなものがある。


それだけで私は、

もう少し生きてみようと思える。


世界は広い。


まだ知らない物語がある。


まだ聴いていない音楽がある。


まだ観ていない舞台がある。


まだ出会っていない登場人物がいる。


だから今日も、

私は明日を待つ。


人生が大好きだからではない。


ただ、


まだ、好きなものが残っているから。


それだけで、

人は生きていけるのだと思う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
人間、娯楽が無いと生きていけませんもんね!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。