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T-DAY:台湾戦争  作者: 中央国家安全委員会主席
第5章 逆転

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203Y年2月20日 ワシントン・コロンビア特別区

203Y年2月20日午後10時(米国東部時間19日午前8時) 

アメリカ合衆国 ワシントン・コロンビア特別区 ホワイトハウス


世界中のテレビ画面とスマートフォンが、ホワイトハウス記者会見場の青い背景幕の前に立つ一人の男を映し出した。ポーカー大統領は、いつもの派手なネクタイを締め直し、カメラの向こう側にいる数億人の瞳を射抜くような鋭い眼差しで、マイクの前に立った。

会見場には、呼吸の音さえ憚られるような、重苦しくも熱を帯びた沈黙が流れていた。


「わが同胞、アメリカ国民諸君。そして世界中で自由を渇望している友人諸君。

今、太平洋の向こう側で、一つの自由民主主義が『窒息』の瀬戸際にあります。私たちは、共産主義者が築いた情報の壁を突き破り、暗闇の中から届いた真実を目の当たりにしました。一滴の水を求めて列に並ぶ人々の尊厳、そして昨日までペンを握っていた手で、自由を守るために銃を握らざるを得なかった若者たちの姿を。

彼らが発した『#TaiwanBreathing』という叫びは、私たちの魂を揺さぶりました。しかし、私が今日ここに立っているのは、単なる慈悲の心からではありません。それは、単に友好国の自由と民主主義を守るにとどまらず、アメリカの安全、アメリカの繁栄、そして『アメリカ・ファースト』という、我々が最も大切にすべき大原則を守るためです。

専制主義の影が、防疫隔離などという薄汚い嘘の仮面を被り、わが同盟国である日本の領土を蹂躙しました。与那国島が中国の支援を受けたテロリストに占拠されたという事実は、我々の庭の入り口に敵が土足で踏み込んできたも同然です。

いいか、よく聞いてほしい。もし台湾が陥落し、第一列島線が敵の手に落ちれば、アメリカの海岸線は直接的な脅威に晒されることになる。それだけではない。世界中のハイテク産業を動かす半導体は、北京の独裁者の意向一つで止められることになるだろう。

それはアメリカの労働者から仕事を奪い、アメリカの家庭に法外なコストを強いることを意味する。そんな世界を、私は絶対に許さない。『アメリカを再び偉大にする』ということは、世界中のどこであれ、アメリカの利益を脅かす者に断固たる鉄槌を下すということだ。

私は、合衆国大統領として、本日、国家非常事態を宣言します。あわせて、国防総省と統合参謀本部に対し、台湾への人道支援回廊の啓開、および同盟国日本の領土奪還を支援するため、わが軍の総力を挙げた軍事行動を開始するよう命じました。


ここで北京に明確な警告を与える。我々の忍耐を試すな。

もし中国が、米国、日本あるいは台湾の領土に対し、一発でもミサイル攻撃を敢行するならば、我々もまた躊躇なく、中国本土の軍事目標に対し、同数、あるいはそれ以上のミサイルを直接撃ち込むだろう。

もし、中国が今後更に、米国や同盟国への自由な航行を妨げるために民間船舶を攻撃するならば、我々は即座にマラッカ海峡において貴国の全タンカーを拿捕し、エネルギーの息の根を止める。さらに、ロシアやミャンマーから中国本土へと伸びるパイプラインも、わが空軍の精密爆撃によって灰燼に帰すこととなるだろう。

これは脅しではない。アメリカの意志だ。

貴国がエスカレーションの道を選ぶなら、その先に待つのは、貴国が築き上げてきたすべてが崩壊する未来だけだ。


これは、アメリカの未来を不動のものにするための戦いです。険しい道のりになるだろう。多大な犠牲を伴うかもしれない。しかし、我々は一歩も退かない。アメリカが強くなければ、世界は闇に包まれる。そして何より、アメリカがトップでなければ、この国に未来はない。

神よ、わが軍の将兵に加護を。神よ、アメリカ合衆国に祝福を」


演説が終わるやいなや、記者の叫び声が怒号のように響き渡った。ポーカーは不敵に笑い、最も声の大きい記者を指差した。


「大統領、これは事実上の対中宣戦布告ですか? 核保有国同士の全面戦争を、あなたは本当に覚悟しているのですか!?」

「周華平は、私が適当にブラフをかませばアメリカが降りると思っていたらしいが、大間違いだ。私は今回、ロイヤルストレートフラッシュを手にしてるんでね。核兵器? ああ、あいつらがそれを使いたいなら勝手にすればいい。だが、その瞬間に中国という国が地図から消えて、焦げた平地になるだけだ。あいつらも自分の豪華な別荘が灰になるのは嫌だろう? 私は冗談で空母を三隻も送り込んでるんじゃない。アメリカを舐めるなと教えてやるんだ」

「しかし、経済的な影響は計り知れません。市場はパニックに陥っています」

「パニック? 結構じゃないか。株価が下がるのが怖いか?いいか、経済なんてのは後で俺がもっと強く立て直してやる。 私は、北京の許可なしにiPhone一台作れない世界になる方がよっぽど怖いね。アメリカ・ファーストとは、我々の生活の鍵を敵に渡さないことだ。それに、あのTSMCの工場が連中の手に落ちるのを指をくわえて見てるより、今すぐ救援に行ってラインを再開させる方が、よっぽどウォール街のためにも、アメリカの労働者のためにもなるんだよ」

「日本のタカギ総理との連携は具体的に……」

「タカギとはさっき話した。彼女は腹が据わってる。あんなに熱い日本人を見たのは初めてだ。自衛隊は既に動いている。彼女たちは自分の領土を取り戻し、私たちは台湾の喉元に刺さった骨を抜く。日米の連携? 完璧だ。これは日本を守るための戦いであると同時に、太平洋をアメリカの安全な『内海』であり続けさせるための戦いだ。あいつらが海に浮かべてる『張りぼての島』を、これから一つずつ沈めていくから見てるがいい。……さて、もういいだろう。シチュエーションルームが私を待っている。……おい、北京に伝えておけ。チップを積む時間は終わった。ここからは、カードを見せてもらうぞ」


ポーカーはそう言い捨てると、記者の呼びかけを無視して足早に会見場を去った。



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