猫の預金通帳
我が家のメンバーは夫と私、猫二匹。
とある日曜日。
夫と布団の中でゴロゴロしながらテレビを見ていると、隣で寝返りをうった夫の手がリモコンにあたり、チャンネルが変わった。更に回転してテレビの方に向き直った夫が
「アレ?」
と言ったところをみると自分でチャンネルを変えてしまった事にまったく気づいていないらしい。時たま、猫がリモコンを踏んでチャンネルが変わる事もあるので
「パイ君?」と訊いてくる。
「パイ君はあっち」と、足下にいる猫を指差すと、
「あなたが変えたの?」ときた。
「あなたの手が当たったんでしょう」と言うと
「ええー? みーさんちゃうん?」
「みーさん隣の部屋におるよ」
「隣からリモコンで変えたんや」
「リモコンここにあるのに、どうやって使うんよ?」
「だから、もう一個あるんですよ」
何言ってるんだか。そんなんある訳ないやんか。そこまで、自分で変えてしまった事を認めたくないか?
「しゃーから、みーさんがもう一個隠してるんやって。俺見たもん」
だ・か・らぁ……隠すって言ったって初めっから存在していない物を隠しようがないでしょう? と言うとみーさんが自分で専用のリモコンを買ったのだと言う。
「どうやって?」
「……通販で」
おい……。黙ってしまった私に夫はさらに追い打ちをかける。
「ホンマやて。俺こないだ、みーさんが電話かけてるとこ見たもん。『リモコン一個にゃん』って注文しとったんやって」
「そんで、支払いはどうするんよ。みーさんが勝手に注文しとったって、請求書くるから私に内緒にはできへんねんで」
「それは、みーさんが自分のお金で払ったんやって。……ホンマや、あいつちゃんと自分の預金通帳持ってるんや。お腹にチャックがついてて、そこになおしてるんや」
隣の部屋に置いてある猫のぬいぐるみのお腹にはカイロが入れられるようにチャック付きのポケットがついているけれど……。
普段から自分がこたつの中に脱ぎ捨てた靴下を、みーさんが洗濯カゴから咥えてきたとかいうような事ばっかり言ってるけど、ここまで言うか? なんでも猫のせいにして。
けど、ホンマに猫が自分のお金持ってて、首輪とか、オモチャとか、気に入ったんを勝手に買ってくれたらエエんやけどなぁ。
みーさんもパイ君(二猫とも本名はもう少し長いです)もお空にいってしまいました。新猫さんはお迎えしていないので、夫が罪をなすりつける相手がいなくなってしまいました。




