2話 生きた死神
R15の定義を確認してこの作品はそれに該当させたほうが良いと判断しました。それなら小学生の時にこの物語の原型を考え出した僕は大丈夫だったのだろうか・・・
それではプロローグ後編を楽しんでいただければ幸いです。
「キーンコーンカーンコーン キーンコーンカーンコーン」
「ん?夢・・・。」
(いや違う。ここは理科室。窓の外を見るととても暗く深夜であるということが分かる。あれは現実?いや、集団で幻覚を見て俺だけが頭をぶつけて気絶した?)
「貴様は死んだんだ。現実を受け入れろ。」
どこからともなく声がする。
「死んだ?俺が?こうして話してるのに?それに君は誰なんだ!」
「質問が多いな。足元を見ろ。そこに貴様の質問の答えがほとんどある。」
そこには倒れ込んだ舞武の姿があった。思わず悲鳴を上げそうになったが確かに頭にあれだけの衝撃が加わり記憶が多少曖昧になっていたところからそれなら辻褄が合うと納得してしまう自分も何処かにいた。
「おそらく野良の死神による犯行か。」
「死神!?いきなり話が飛躍して・・・。そもそも君は誰だ」
(よくよく考えたら辻褄なんて合ってない!!そうだ、俺は人体模型に殺されたんだ。常識が通用してない。)
「俺が誰かに答える理由はない。それになぜ人間の常識が通用すると考える。無理が通れば道理が引っ込むってやつだ。貴様ら人間の道理なんて知ったこっちゃないがな。」
「死神が存在する?そんな馬鹿な。科学が全てだと思っているわけじゃないがそんなの科学的におかしいじゃないか!」
「科学なんて人間様が勝手に始めた法則の推理ごっこに過ぎないぜ?それとも人間様が見つけたものだけが全てか?断じてそんなことはないと言い切ろう。なぜなら俺自身が悪魔で死神や怨霊を知っているからだ。」
「でもっ・・・。」
「あることの証明は出来るが無いことの証明は出来ない。有名な話であるだろ、カラスが黒いことを証明するには黒ではないものすべてがカラスではないことを証明する必要があるってやつ。アレと同じだ。そして現に貴様は死神を見たんだ。現実も見たらどうだ。」
「・・・じゃあ俺はどうなる。」
「普通に考えたら輪廻転生のサイクルに乗って次の人生ってところだが死神に直に殺されてるからな。汚れとして取り除かれる可能性が高いだろう。」
「そんな・・・。」
「ただそれは普通の死神に殺されたやつの話のことだ。どうやら貴様は特別の中の特別に選ばれたみたいだな。貴様は死神に対する適性が高い。死神になれ。」
「死神?それでハイハイとなってもらえると思っているのか?何をされるか分かったもんじゃない」
「あくまで貴様は悪魔だろってことか。傑作だな。悪魔は悪であるというイメージに支配されているのは。悪魔は悪などではない。もちろん全員が全員というわけではないが。本来の悪魔の仕事は人を正しく死なせること。未来のことはすべて確定している。死刑執行前に死なれると困るからそれまで生かしておくのが私達の仕事だ。それを手足となり実行するのが死神。しかし未来を捻じ曲げようとする不届き者は一定数、いやそちらが今となっては大半となっている。それらを始末するのも我々の仕事の一環だ。貴様には私の手足としてその不届き者の死神や悪魔を退治してもらう。」
「それをする意味が俺にはない。断らさせてもらう。」
「意味ならある。生きている人間に死神や悪魔は群がる。私達では逃げられてしまう。彼らに戦う意義が無いからな。ただ生きている人間相手なら殺して因果を捻じ曲げるという意義がある。」
「生きている?俺は死んだんだろ?」
「言っただろう?意味ならあると。貴様を生き返らせてやろう。ただし、人の皮を被った死神として。」
舞武は女手一つで育ててくれた母や親友たちのことを思い出す。かなりの時間考えたあと彼はこう口にした。
「―――分かった。生きてた頃の生活を取り戻してくれるなら・・・。俺が殺された件についてお前が裏を引いていないという証拠はないが今は乗っかるしか無さそうだ。」
「裏を引く・・・か。普通の死神は死神適性のある人間にそう簡単に近づこうとしない裏に大きな何かが・・・。」
その呟きは舞武の元へは届かなかった。
「さて、今から死神の倒し方を教えよう。死神は首を切ることで倒すことが出来る。脳みそがない代わりに魔力で体を動かす。そのエネルギー源を断つことで死神は動けなくなる。・・・と言っても実際に見たほうが早いだろう。」
「ボッ」
舞武の眼の前に死神が現れる。
「こいつ・・・さっきの。」
「あらかじめ生け捕りをしておいた。もとから生きてはなかったがな。今から貴様を乗っ取り今この場でこいつを倒す。よく見ていろ。」
「バッ」
舞武はフードの付いたローブを身にまとっていたそれは闇でさえ吸い込まれてしまうような漆黒の色をしていた。
「シュワーーッ」
舞武の体は自然と動き虚空から鎌を取り出してみせる。彼は低く構えた。彼が足に力を入れたその刹那―――死神の首は刎ねられていた。
「分かったか?」
「・・・まぁ一応?」
「これから生きた死神である『半生死神』として死神や悪魔を退治してもらう。」
「分かった。」
(やると決めたからには徹底的に。自分と同じ境遇になる人を一人でも減らすことのできるように!!)
舞武は一人で決意をしたのだった。
はい、プロローグが終了しました。どうだったでしょうか。プロローグにどうだったもクソも無いと思うんですけど一応。会話だらけの文章ってどうなんだろ。是非感想を伝えていただけると嬉しいです。