RG-X《バベル》 S.E.S.P
「皆さん、ご集まりいただけたようですので、再度、通信を開始いたします。
こちら、後方狙撃支援部隊第六部隊、ハーローと申します。
今回は、RG-Xの展開時に使用される補助システム――
S.E.S.P(スナイパー・エクソサポート・プラットフォーム)
および、射撃時における射手への影響についてご説明いたします。
■ S.E.S.P:スナイパー・エクソサポート・プラットフォーム
本システムは、《バベル》を携行兵装として限界近くまで安定運用するための補助支援フレームです。
展開は腰部兵装とレッグギアから行われ、以下の要素を含みます。
三脚状の骨格支柱
地面との多点接地による反動吸収と保持安定性。
傾斜地や瓦礫上でも対応可能な多関節ジョイント構造により、戦場の高低差に即応します。
地面アンカー
脚部アンカーが対象地形に自動適応し、地表を掴むように固定されます。
砂利・金属面・コンクリートなど、異なる材質にも対応済みです。
腰部スタビライザー
射手の後方姿勢と重心保持をアシスト。射撃時の体幹崩壊を防ぎます。
アームギア補助連結
リコイル制御フレームが腕の関節と連動し、関節への急激な負荷を吸収します。
加えて、トリガー制御系も共有されており、一定のタイムラグ内で電子信号による最適射出を実施します。
■ 展開から射撃までの所要時間
S.E.S.P展開および安定化:20〜25秒
バベルの照準・エネルギーチャージ:30秒前後
トリガー入力〜発射ラグ:6〜9秒(エネルギー逆流制御、最終照準補正含む)
合計およそ1分強の静止時間が必要となり、その間は完全な援護下での行動が必須です。
移動・回避動作は実質不能となります
射手への負荷とリスク
《バベル》の発射は、兵装が受け止める反動のみならず、使用者の肉体にも極めて強い負荷を与えます。
内臓震盪・骨格損傷:チャージの振動、発射時の反動で腹部・脊髄周辺にダメージが発生
指の損傷:トリガーアクション時、筋反射で腱を痛める症例が報告されています
防音ヘッドギア切り替え機能:使用者の聴覚保護のため、内部マイクは射撃3秒前に強制遮断されます
*補助機構を全て用いた場合でも、一射ごとに体調の変化や軽度の意識混濁が確認されています。
これらを考慮し、本兵装の運用は実質“一射限り”が基本原則となっております。
追記事項
使用者には精神・神経反応評価Aランク以上が推奨
チャージ中の緊張状態を維持できる精神安定性が必要です
高低差・索敵リンクとの連携
オペレーターやドローンとの情報連携による索敵と射線確保が不可欠です
射撃後の離脱支援が必須
S.E.S.Pの解除と兵装の折り畳みには時間を要するため、味方による回収補助や後衛移動支援が前提
RG-Xは、一射で戦場を終わらせる兵装です。
しかしそれは、撃つ者の身体に“戦場の代償”を背負わせる行為でもあります。
使用の際は必ず、周囲の支援・状況整理・一撃必殺の覚悟をもって臨んでください。
これは武器ではなく、“戦術の終端”です。
後方狙撃支援部隊・第六部隊、ハーローより。以上、追加ブリーフィングを終了いたします。」