自分は何で活躍できる、(ゾルサリーノ、B2A)
「瞬間移動を使うのか?」
不安そうな顔でこっちを見るその顔は、不格好で今の僕を模写しているように映った。
「ちょっと考えさせてくれ。まだ確証がない。」
「確証って、なんだよ……」
木谷は声を詰まらせ、僕の肩を掴んだ。遅刻に対して学校側がどんな対応をするのか、僕には分からないが、この反応を見るにとても辛く苦しい物なのだろう。
僕は木谷の手を取っ払い、冷たい視線を浴びせた。
それ程に彼の行動は醜く、粗い物だと思ったからだ。
「いくら遅刻が嫌でも、そんな不安な顔するなよ。」
「…….は?」
木谷は明らかに態度を変え、怒り心頭なのを思い知らせる顔が、瞬時に呆れと後悔に変わったのが分かった。
「お前、今の状況が分かってるのか?」
木谷が僕に半歩近づく。
「殺人が起きた時に、僕等は集会にいないんだぞ。」
表情には更に後悔の色が濃くなり、絶望を知らせるが如く膝が地面についた。顔もまた、呼応するように地面を向く。
「それは……つまり僕等に。」
勢い良く顔を僕の方に向け、肩を目掛けて手を伸ばした。
「アリバイがないって事だ………!」
絶望を再認識させる今までの言魂に真剣さが加わり僕の心を締め付ける。この一瞬、僕等は目を離した。集会が行われている体育館の中では、局所的な停電が起きていた。
〜〜B2A見張り部隊〜〜
「おい、今の状況はどうなっている。」
個人の見張りに飽きたのか、各自の持ち場を離れ僕のいる仮拠点に集まった。今は望遠鏡から中身を見るのみ。
「僕もまだ何も掴めてないですよ。」
視認性も何故このような回りくどい事をするのか。それはスパイ共が使ってくる能力に巻き込まれない為である。
万全な計画と人員を用意できる奴等とB2Aが咄嗟の危機から一般学生守るのでは勝算が低い。ただ決して見捨てる訳ではない。
事件の前兆とその危険性を瞬時に判断できる僕の能力がある限り命一つ失わさない。
現地の状況を確認する為に窓の隙間から覗いていた体育館の中で、照明が突如として消える。
「遂に動き出しました!体育館全域の停電です!」
任務中の独特な雰囲気に呑まれながら、今日も僕ができる事をやる。
それが、B2Aだ。