引導は日常の中に(ゾルサリーノ)
(マジかー…)
そんな気は、元からしていた。一番初めの授業、いや始めの授業では、魔法についてとその基礎知識について教わった。
ただ、魔法や魔力が存在したとしても、それは教わる物ではなく"制御"する物。言わば幼少期のオネショやお漏らしのように自然と直っていくのではないか。
そしてそれを授業でやるにしては余りにも、国サイドに利益が少なすぎる。
もしここが一般の私立や公立だとして、経済や国を根源から抹消出来るかもしれない力、それを制御するなら道徳精神を説き正しい力の使い方を学ばせる方が納得がいく。
(ただだからと言って防衛大は……これまで以上にハードルが高い。)
僕は、いつの間にか目を瞑り、周りを気にせず長考を始めた
「なぁ話し聴いてる?」
「……え?」
が、少しの間で、現実に引き込まれた。
「もう授業終わったぜ、帰ろうよ。」
そう言われて、辺りを見渡すと夕日と季節漂う紅葉の紅葉が空の教室を埋め尽くしていた。
「あぁ、すまんぼーっとしてた。」
「早く来いよ、"あいつ"が待ってるぜ。」
そう言うとそうすけは足早に教室を後にして、僕もそれに続いて廊下に出た。彼を追う為だ。
ただ、ふと気まぐれで扉を見た。木製の枠とアルミのような板材は、いつも通りの輝きを見せ、まるで現代を彷彿とさせている。
半開きとなった扉の下にメモ書きが一つ、丸められた状態で目に留まる。
扉に長く挟まっていたからか、全体図は把握できず、右端の"08800〜1524"と書かれた所しか読み取れなかった。
その他には特に情報は得られなかったので、メモ書きは右の胸ポケットに仕舞い、その場を後にした。
月はまだ見えず、太陽の下ではまだ何も見えずにいた。