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転生は自分を阻害する(ゾルサリーノ)

 「人の力は大きく別れて2つあります。一つが打撃や受け、掴み技などの物理的な要因を主な原因とし、現実に干渉する"実体的衝動要因"

 そして、電撃や水撃、火砲などの先天的な超能力を主な原因とする"幻夢的衝動要因"

 そこを抑えておけば、まず受験に失敗することはありません。」

 教授の掴みは、この通り言葉の使い回しこそ他の世界となんら相違ないが、今までの発言からして、魔法や魔力と言った物が主要5教科のように受験科目として扱われている。


 彼らからしたらそれが当然なのかもしれないが、僕にとっては驚愕せざるを得ない。僕以外に魔法との共存を実現できる人類が存在し、しかも一世界の常識となっているのだから。


 と上から目線で言ったものの、実際僕は火を出したり風を操ったりはできない。つまり完全に"魔法へ適応していない"という事実は変わらない。


 ただ少しはできる。生前の”僕”が残した努力の結晶、むらはあるものの魔法の感覚は掴めている。


 僕の能力は"異世界転生"である。文字通り死なない限り効力を発揮しないため、言いたくはないが使い勝手が悪い。


 それに種が分かっているとはいえ、まだイレギュラーが発生する可能性もある。


(だからこそ、使い方は考えないといけない。)

 ふと窓を見てみると、外廊下沿いに咲く桜が舞っている。

 背景に映る西洋式の校舎は、国こそ違えど風流を作り出し、日本ならではの景色が浮かび上げていた。



「今日の授業魔法発展なのに基礎しか言ってなかったじゃねーか、もっと根本的であって刺激的な享受をしてくれよ。な〜ゾルサリーノ、お前もそう思うだろ?」


 授業終わり、前移動教室の事を教えてくれた人?から、話しかけられた。


 正直、絡んでくるのは有り難い。ただ、他人として接すればいいのか友達として絡めばいいのか、自分の中で少し難儀する。


 「真面目だな〜、お前。僕は形だけの授業や封建的で効率化には程遠いような内容の方が心が落ち着くな。」

 

 考えるより先に、言葉がすらすらと出てきた。多分これは僕の性格がそうしているのではなく、この体こそが原因なのかと思うと、自分を見失う時がある。と言い訳をしてみるが、自分が厨二に成り下がったと思うと、正直心に来る。


 転生は、多用する品物ではないらしい。


  

 学校では、着々と授業が進み、もう既に帰宅の準備をするところまだ来た。

 僕の性格上、今が一番幸せな時間である。この学校は部活がなく"魔法特進クラス"という自称進が作りそうな一部の集団を除き、3時に帰れる。


 2:59になり秒針が50を上回る時、チャイムを皮切りに皆が一目散に学校を飛び出す。その帰宅集団に僕も混ざろうとした時、気づいた、いや気づいてしまった。

 僕がいたクラスの表札に"魔法特進クラス"と書いてあることに、そしてあの真面目すぎる会話とこれが伏線になっていることに。


 僕は廊下で、精神的に転げ落ちそうになりながらも平常心を保ち、楽しみを奪われた悲しみと共に教室へと戻るのであった。





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