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自分自身の先にある物(ゾルサリーノ)

「ここは……どこだ?」

 生い茂る草木と湿った苔石は、さながらジャングルを彷彿とさせる。


 僕は、川を繋ぐ枯れた大木に横たわり根の方を頭に向けながら空を見ていた。


 起きあがろうと腹に力を入れると筋肉痛のような鋭い痛みに襲われ、立ち上がる事さえも容易ではなかった。


 どこまでも続く木々の延長線上には、暗闇か河川の輝きしか目に映らず人影などもってのほか、ゴミすら見合たらない。


「もう、ダメかも。」

 僕は木陰から斜面に体が引き込まれるように転がり、何の抵抗も出来ず崖へと身を投げた。


 今はもう、僕の人生に未練を残しても、何も得られず、何にも成らない。

 

 それなら、今は次の”人生”に賭けるしかない。


 それだけが今持っている最古で最後の記憶。そして僕がまだ、能力者である印。新月でもまだ、心の柱は立っていた。

   〜〜〜2025年7月未明 ???〜〜〜

枯れ木からの転落後、頸髄損傷の為死亡。享年26歳

 


「おい、起きろよ。移動教室間に合わないぜ。」

 高校生の甲高い声を聞き、僕は目を覚ました。教室と言うより、巨大な講義室の一角で教科書と筆箱を持ち、僕は立っていた。

 「何やってんだ、急ぐぞ。」

 声何した方向を向くと、学ラン姿の好青年が背を向けて扉の方へと走って行った。


 僕はそれを追いかけるような形で講義室を後にし、彼の背中を目印にして、教科書を片手に走った。


 階段を数階下ると、彼は一目散に"多目的室"と書かれた部屋へと入って行った。

 

 僕はそれにあやかる形で扉を開け、多目的室を見渡すと、席を余す事なく敷き詰められた教室の中、声をかけてくれた彼の隣には、不自然な空席ができていた。

 

 「早くこっち来いよ、後30秒だぜ。」

 その声に導かれるまま足早に席へと座り、教科書を開く。この世界の常識も分からない現状、余計な事はできない。

 (あくまでも、目的を忘れるな。)そう頭に言い聞かせ僕は僕が憑依した何者かになりすます。

 それが唯一、復讐と目的が達成する方法である限り。




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