推しの布教の為にVTuberになってみた
第2話です
『まずは、陽心さん。書類の方でも軽くは書いて頂きましたがVTuberになりたい理由をお聞きしてもいいですか?』
面接開始早々、聞かれたその言葉に俺は思うままに答える。
「私にはVTuberの推しが居ます。今までも彼女を布教するために切り抜きを作ってたのですがもっと彼女の良さを伝えたいと思った時にV.STARの3期生募集の広告を見てこれはチャンスだと思い応募しました」これで良かったのだろうか。もしかしたら本音よりも建前を言ったほうが受かる可能性が高かったのかもしれないな……
面接が終わりオフィスを出た俺は片耳イヤホンでレンカちゃんの配信アーカイブを聴きながら帰路に着く。
レンカちゃんと同じステージに立てると良いな……そんな風に思いながら……
★★★
Side V.STAR
推しのためか……結構面白い事になったわね。面接が終了したV.STAR本社で私はそう呟いていた。
今回の3期生の募集で面接に進んだのは3人だ。面接を行い、よほどの事が無ければこの3人で3期生は決定する。
そして今まで面接を行ったのだが一際印象に残ったのが『倉敷陽心』さんだ。V.STARに所属していないVTuberの推しが居て、その娘の良さを布教する手段としてこのV.STARという企業を見ている……
他の人が担当だったならば落としたかもしれない。けれど、私は彼、陽心君に今までとは違う何かを感じていたのだ。V.STARを背負っていくそんな革命が起きるような……
★★★
Side陽心
『倉敷陽心様。この度、V.STAR 3期生として採用されましたので紙面にて報告させて頂きます。顔合わせに加え、アバターの設定の為、明日の12時。V.STAR本社へとお越しください』
面接の終了から一週間後、俺の スマホに
メールを通じて合格通知が届いた。明日の
12時か……俺の他にどんな人が3期生として居るんだろうか……そんな期待も含みつつ顔合わせ当日、俺がV.STAR本社へと向かうとそこにはもう人が集まっていた。
俺が最後に来たようで俺が本社に着いて直ぐに顔合わせは始まった。
「皆さん、この度貴方達のマネージャーになりました上村美鈴と言います。」マネージャーさんの自己紹介が終わると3期生の中での自己紹介を行われた。
「私は神崎焔って言います! 2人ともよろしくね!」
「私は姫宮柚希よ。よろしくね」
「俺は倉敷陽心って言います。これからよろしくお願いします!」
3期生3人の自己紹介が終わるとマネージャーさん主体で初配信の話が行われた。今日以前に個別にだがVTuberの設定については協議を進めてきていた為、後は初配信の日程を考えるのみだ。
「まずは焔さん、 龍宮院ホムラさんの配信。次に柚希さん、零雪フブキさんの配信。そして最後が陽心さん、暁レインの配信で考えています。初配信の日程は今日より一週間後の20時から1時間枠で配信を行って貰います。設定等は後ほど個別に連絡しますが初配信が一週間後ということだけ頭に入れといて下さい。」
★★★
顔合わせから一週間。配信環境の整備に時間が掛かりここ1週間はレンカちゃんの切り抜きを作ることが出来ていなかった。けれど今日遂に始まるのだ。俺のVTuberとしての日々が……
カチカチと時計の音が自室に響く。きっと緊張だろう。俺は3期生の中でも大トリだ。楽しみと不安が入り乱れる中.遂にV.STAR3期生初配信は始まる……
★★★★
YouTubeコメント欄
『見たか? V.STAR 3期生のPV。俺、ホムラちゃん好きかも。』
『ホムラちゃんもいいよなぁ。俺はフブキちゃんが今のところ気になってる。』
『結構、ばらついてるんだね。俺はレインが気になってるよ。まぁ、V.STAR箱推しだから全員楽しみなんだけどね』
『同じく』
『同じく』