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10話

緊急オペが始まった。


といってもメインコントロールルームに現在あるのは脱出ポッドに付属されてる簡易治療セットと医療カプセルしかない。こんな状況でもアイちゃんは緊急ポッドの中で颯爽とコールドスリープさせた少女をゴーレムハンドスパイダーを使って緊急ポッドの外部操作パネルを使ってさらなる凌辱催眠と言わんばかりの冬眠状態でのいかがわしい睡眠学習を施す。


順調に緊急脱出ポッドの少女のセッティングが終えたアイちゃんは僕に告げた。


「しばらくはこの少女を私のサブボディにすべく調整してまいりますのでよろしくお願いします。何かあればおよびください。」


といいながら頭の中からアイちゃんがいなくなった感覚がした。頭の中でアイちゃんと繰り返し繰り返し叫んでいると、少女の入っていた緊急脱出ポッドからゆっくりと少女が出てきた。


どうやら少女をアイちゃんが制御しているようで、頭の中でしゃべるアイちゃんと同じ声色で少女が話し始めた、


「静かにしてください。少女の調整にもう少し時間がかかりますので、よろしければオートキャリーごとこのメインコンピュータールームに併設しているモニタールームとパニックルームがありますからどちらでもいいですから休憩していてください。」


「普通の休憩室はないの?」


「ありますよ。娯楽休憩室の他にも待機室と仮眠室や給湯室それにシャワールーム、応接室に執務室も一通りあります。何せ上級アクセス権を持ったお偉いさん達も来ますからね。だからこそ、ここに来たばかりで、モニタールームやパニックルームと違いアクセス権が緩い場所以外の部屋は慎重に観察調査してからがいいのでご了承ください。それに、娯楽休憩室は盗聴装置がありますから危険です。下手に除去すればまずい事態になりますので・・・素直にモニタールームとは言わずパニックルームで待っていてください。指示はテレパーシーでしますから。パニックルームは中央にあるソファーに座って、背もたれと座の間の隙間にスイッチがありますから押してください。そうまずオートキャリーはアース様とリンクを・・・まだしてますね。」


言われた通りリビングルーム張りのメインコントロールルームの中央のソファーに座り、背もたれと座の間に手を入れるとボタンが本当にあった。


「へー、ホントにあったよ。押せばいいの?」


「このボタンはこの部屋で犯罪者に監禁・人質に捕らわれた場合を想定してます。監視をしやすい部屋の中央にソファに座らされることを想定してまして、なおかつ、後ろ手にロープや手錠をされても・・・あっ」


僕は話の途中でボタンを押してしまった。その瞬間、閃光と呼べる程のフラッシュが部屋中を覆った。まるで瞬間転移装置のようにオートキャリーに積んだ医療コックピッドごと全く同じメインコントロールそっくりの部屋にいた。唯一違いは、少女と緊急脱出ポッドがなくて出口が一切ないだけのそっくりな部屋だった。


優秀なスタッフの命を守るための最先端技術ならではである。


このパニックルームに入ってすぐに僕との回線をつないだのか、僕の頭の中でアイちゃんが話しかけた。


「ここは一種のパラレルワールドだと思ってください。外部からの攻撃も一切通じません。もし、必要な物も、アクセス権限があれば外の研究所内のもので生物以外であればこの部屋の備え付けの端末から指示してもらえれば取り寄せることも可能です。この部屋をでるには、入ってきたときと同様に、中央のソファに座り・・・あっ!」


僕はコントロールルームにまた戻ってきしまった。唯一の救いはオートキャリーはパニックルームに行ったままである。もしかしたらオートキャリーのリンクはパニックルームに入ると自動的に切れるんだ。なら安心だなと目の前の事象から目をそらした。


なぜならば、それ以外は最悪だったからだ。目の前に防寒着が脱ぎ捨てられ、大の字になって天井の見つめている少女の上に覆いかぶさって、ゲル状の粘膜状の液体が穴という穴からからゴボゴボと音を立てながら蹂躙しているスライムがいたからだ。アイちゃんに言われてスライムをちぎって僕が一部をここに連れてきたことをすっかり忘れていた。


「緊急オペ中な・・・」


頭の中でオペ中という言葉が聞こえるのは気のせいかもしれない。それに、天井と壁、床一面に敷き詰めた白く光るプレートが広がる部屋であるメインコンピュータルームがいつの間にか白いアリたちに覆われていた。僕はこっち側の部屋こそがパニック(する)ルームかもしれないと思った。


「どこかで緊急オペしいているのかな・・・ハハハ・・・僕にできることはないから・・・そうだ幼女が心配だ!戻らなくっちゃ!」


目の前の光景は非現実的な白昼夢・・・いや悪夢として現実から目を背け、目をつむりもう一度ソファのボタンをゆっくり僕は押したのだ。

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