君とは距離どころか速度さえ縮まらない
粒子である僕が、地球から600光年先の
ペテルギウス星から出発した光子を追いかける話です。
特殊相対論的に追いかけます。
光子さんへ
僕は光速で進む君を追いかける
君の速さは変わらないのに
僕がいくら加速しても君は同じ速さ
到底 君に追いつくことはできない
どうやら 僕が加速するほど
僕の時計はゆっくりになるんだ
僕からみて君の速さが光速のままになるように
光子さんへ
僕は全速で進み君を追いかける
僕の速さは君に近づいたのに
僕がいくら加速しても君は同じ速さ
結局 君には引きはなされるばかり
どうやら 僕が光速に近づくと
僕の時計はほとんど進まないんだ
僕からみて君の速さが光速のままになるように
光子さんへ
僕はあらゆる動力を使い尽くした
僕の速さを光速に近づけるため
僕はいくら動力を消費したのだろう
所詮 追いつくことはできないのに
どうやら 僕が君に近づくために
僕の消費した動力は質量になった
僕に与えられたエネルギーはE=mC^2で質量に
どうやら 僕が光速に近づく度に
僕の質量は増加して加速できなくなる
誰からみても僕の速さが光速を超えないように
光子さんへ
僕が追いかけた君は宇宙の基準
僕とは別に地球で君を待つ恋敵
僕と違って動かずに600年待つ恋敵
絶対 君を見てやると待ち構えてる
どうやら 僕は奴の時間より遅いから
僕の距離は奴の距離より縮んでる
僕と奴が互いに見て同じ速さのままになるように
光子さんへ
君の速さを基準にしたこの宇宙
特殊相対性理論で巧みに描かれているものですね
質量のある粒子の速さV<光速Cです。
特殊相対性理論によると光速に対して大きくも等しくもなれません。
反対に、質量がない光子は、光速でしか進めません。
水中では、光速の70%と遅いですが、それは水分子に散乱されるためです。
本作では、質量等価E=mC^2についてふれました。
光速に近づくと与えられたエネルギーEは、粒子が光速にならないように、質量mに変換されます。
互いに相互作用する複数の粒子からなる集団、例えば、陽子96個と中性子139個からなる集団である、ウラン235の原子核は、陽子や中性子間の核及び電気の相互作用エネルギーで、陽子や中性子は互いに加速されて、陽子や中性子の質量に変換されます。これにより、ウラン235の原子核の質量は、陽子や中性子がバラバラに存在するときの質量の総和よりも大きくなります。核分裂すると、増加した質量の一部が原子力エネルギーとして、解放されます。
原子力エネルギーが莫大なのは、E=mC^2によるものではなく、原子核という小さな空間に閉じ込められた、陽子や中性子間の核及び電気の相互作用エネルギーが莫大なためです。
化学結合においても、化学エネルギーはE=mC^2により、質量として蓄えられます。化学反応で質量が反応エネルギーとして解放かれますが、原子力よりも1原子あたり9桁も小さいです。化学反応エネルギーは測定できますが、それに伴う質量の変化は測定できないほど小さいです。化学反応では、反応前後で質量保存則が成り立つとされますが、これは近似則です。
原子力にしても化学反応エネルギーにしても、原子核や原子と言った小さな領域の現象で、そのメカニズムの説明には、量子力学が必要です。
以上、どうもありがとうございました。