100_フェリクス様に毛玉を紹介します
長く更新止まってしまっていて本当にごめんなさい……!
おかげさまで12月1日に2巻が発売になりました!
ありがとうございます~!
ページ下部に超絶可愛すぎる書影なども載せているので、ぜひ見てみてください♡
うーん?と首を傾げて考えていると、何やら部屋の外でドタバタと騒がしい音が響き、大きな音を立てながら勢いよくドアが開けられた。
「ルシル!」
飛び込んできたフェリクス様は、どうやらついさっきまで眠っていたようで、ラフな格好に寝ぐせのついた髪のまま息を切らしていた。
まあ、珍しいわね!フェリクス様はいつもきっちりしているから、こんな風にどこか隙のある格好でいることはほとんど見たことがないのだけど。
のんきにそんなことを思っていたのだけれど、手の平の上にのせたままだった毛玉(仮)がぶるぶると震え、か細い声をあげた。
『きゅ、きゅきゅ……!』
どうやら大きな音とフェリクス様の大声に驚いてしまったようだ。
「ルシル、俺は夢を見た。君も見たんじゃないか?あれは恐らく予知夢なんだろう……ちょっと待て、何を持っている?」
フェリクス様は焦りとも興奮ともとれる様子で巻くし立てていたのだけれど、毛玉がもう一度『きゅ……!』と小さな悲鳴を上げたことでその存在に気づいたらしく、訝し気な表情へと変わった。
「ふふ!これはですね、なんと妖精さんです!おそらくスラン王国からやってきたのではないかと思うのですけど、目が覚めたら私の顔の横で眠っていまして」
ずいっと毛玉をフェリクス様の方に差し出しながら紹介する。
予知夢の真ん中にいたことや、予知夢で感じたこの子の思考から考えて、スラン王国からやってきたのは間違いないと思う。
問題はどうやって、いつのまにやって来たかということなんだけれど……。
猫ちゃんや他の動物たちの言葉や感情はなんとなーく分かるのだけれど、どうもこの毛玉妖精さんの言葉は理解できないのよね。
そもそも、妖精は思念と彼ら特有の魔法を使って人の言葉を操るから、本来ならば話せるはずなんだけれど、この子はきゅうきゅうと鳴くばかり。
姿も私の知っている妖精とは違うし、特別な個体なのか、それとも本来は普通の妖精姿のはずが、何か事情があってこの状態になっているのか……。
私の紹介を聞いたフェリクス様は、控えめに目をぱちくりさせた。
「い、いや、ちょっと待ってくれ。スランからきた?目覚めたらいた?……それは妖精なのか?」
「ああ、そうですよね。どう見ても毛玉ですから、普通の妖精とは違いすぎて、とても妖精とは思えなくて驚いちゃいますよね」
納得してうんうんと頷いていたのだけれど、なぜか大きなため息をつかれてしまった。
「ルシル……普通は妖精など見たことがない者が大半だと思うんだが」
え?と思った次の瞬間、私達が話す声で目を覚ましたミシェルが駄々をこねはじめた。
「お腹すいた!カイン!カインどこ?カインにおやつ持ってきてもらうのよう!」
「アハハ!起きてすぐおやつって!さすが猫だな、本当に自由」
指名を受けたカイン様はドアの側で控えていたらしく、笑いながらひょっこりと顔を覗かせる。
「とりあえず……ルシルちゃんもフェリクスも、着替えて先に朝食にしない?」
「あ、ああ。そうだな……というか、ルシルの寝室に押し入ってしまった……!」
小さな声でぶつぶつと何かを呟いて顔を赤くしているフェリクス様。
ひょっとして、今更自分の頭に寝ぐせがついていることに気が付いて、恥ずかしがっているのかしら?ふふふ、フェリクス様って可愛いところあるわよね!
フェリクス様は恥ずかしさを誤魔化すように咳ばらいをした。
「ところでカイン、お前、すっかりミシェルに下僕扱いされていないか?」
「ふっ……羨ましいだろ」
フェリクス様相手にマウントをとるかのように、どやっと得意げなカイン様を見て、フェリクスは「下僕が……?」と理解できないとばかりの顔をしている。
けれど、私は分かりますよ!
リリーベルだった頃に、どの飼い主たちも散々に私に言っていたんだもの!
こんなに可愛い猫ちゃんの下僕として認定してもらえるのはとんでもなく幸せなことなんだって!
ともかく、私達はカイン様の提案通り、一度落ち着いて朝食をとることにした。




