【書籍①巻発売!】記念SS_マオウルドットはもっとカッコよくなりたい
とんでもなく遅くなってすみません><!
本日(7月3日)、ついに書籍1巻が発売しました~!!
購入して応援していただけたら嬉しいです……!
あとがきに詳細をのせますので、ぜひぜひ見てください~!
ある時、ふと思いついて、オレはルシルに言った。
「ルシルの万能薬、オレも飲みたい!」
「ええっ?でもマオウルドット、あなた別にどこも悪くないじゃない?」
オレが薬をねだると、ルシルはそう言いながらも「いくらでもあるし、別にいいけど」とすんなり薬の入った瓶を渡してきた。
「ドラゴンの治癒力は人間や他の動物とは桁違いだから、マオウルドットに薬は必要ない気がするけど」
ルシルは首を傾げていたが、分かっていないよな、本当に。
オレは聞いたんだ。この薬を飲んだやつらが、治そうとしていた病気以外にも、古い傷や生まれつきの持病なんかまで治っちゃったんだって話。
(つまり……これも治っちゃうのでは!?)
オレはちらりと後ろを振り向き、尻尾の付け根の部分を見つめる。そこにはオレの超絶綺麗な鱗がちょっとだけはげた部分があって、おまけに少し紫になっている。
そう、ルシルが森で再会したときに、フェリクスにぶっ刺させて封印を結びなおしたあの部分だ。
(今思い出してもひどすぎるよな……ルシルめ)
この部分、実はクラリッサ様にやられた部分だったりする。何度怒られてもオレが悪さしてたら(悪さのつもりもなかったんだけどさ)クラリッサ様が本気でぶち切れて、『口で言っても分からない子にはお仕置きが必要ですね』なんて言って、ここの部分に魔法を叩きこんできて──。
「わああ!やめだ、やめだ!ちょっと思い出すだけでも恐ろしい!」
オレは誇り高き偉大なドラゴンなのに、超絶美しい鱗が全部揃っていないなんて!
もちろん、痛くはないし、なんともない。それに、紫色になっているのはちょっとだけだしやっぱり根本だから、パッと見ただけでは気づかない。
だけど、ルシルは当然知っているわけだ。リリーベルの頃なんて、あいつ、面白がってこの部分に何度猫パンチしてきたことか。
じゃれついてくるリリーベルは悪くなかったけどさ、でもやっぱり許せないだろ?本当はここも強くて綺麗な鱗に覆われたたはずなのに。そしたらきっとルシルだって、完璧にかっこいいオレのこと、もっと好きだったはずなのにさー。
(だけど、へへ!これを飲んでここにも鱗が生えたら、ルシルがオレに夢中になっちゃうかもな!)
そしたらフェリクスも悔しがるだろ!へへ、へへへ!想像するだけでいい気分だ。
オレはワクワクしながら万能薬を瓶ごとポイっと口の中に放り込み、バリバリと音を立てて瓶を噛み砕いた後、そのまま全部飲み干した。
途端に体がふわふわと光りはじめる。知ってるぞ!これも聞いたからな。ちゃんと情報収集もしたんだ。
オレは偉大で賢いドラゴンだからな!
やがて光がおさまると、側でゴロゴロと遊んでいたルシルに声をかける。
「なあ、ルシル。オレ、どこか変わってないか?なあ、変わっただろ?どこが変わったと思う?」
「えー?なになに?」
ふふん!と腕を組み、(ルシルは「組めてないわよ」なんて言うけど、組めてるからな!)顎を上げて仁王立ちすると、ルシルにどこが変わったか確かめてみろと言ってみる。
早くルシルを驚かせたかったんだ。
オレに言われるがまま立ち上がり、前から横からオレのことをじろじろと観察していたルシルは、オレの後ろに回るとハッと息をのんだ。
(鱗が揃ったオレの尻尾のあまりのカッコよさに驚いちゃったか!無理もないよな!)
「マ、マオウルドット!あなた、この尻尾──とってもキラキラしているわよ!?」
「そうだろ!キラキラして見えるだろ!」
オレとしてはさ、鱗の揃ったオレの尻尾はかっこよすぎてキラキラしているだろって、そう言ったつもりだったわけ。
それなのにルシルは興奮しながらありえないことを宣った。
「ええ!すっごくキラキラしているわ!めちゃくちゃ紫が光ってる!」
「……は?」
オレは慌てて後ろを振り向くと、尻尾を見る。
そこには鱗が生えそろうどころか、例の紫の部分がとんでもなく光り輝いて「ここにいるよ」と主張していた。
「んなっ、なんだよこれー!?」
さ、さっきまで紫でも小さくて目立たなかったのに!めちゃくちゃ目立ってるじゃないか!
──あとからルシルにオレが何を思って万能薬を飲んだか全部話して泣いた。
「マオウルドット、そんなにしくしくしないでよ。キラキラした紫でも可愛いよ?」
可愛いじゃなくて、オレはかっこいいって言われたかったんだ!
ルシルと話して気が付いたけど、よく考えたらこの尻尾はクラリッサ様に、『聖魔法』でやられたんだった。だから回復魔法とかもきかないし、自然治癒でも治らない。状態としては『異常』ではなく、言うならば『この部分だけとんでもなく健康』みたいなものらしい。癒せば治る傷がつくような、普通の攻撃じゃなくて、こういう風にしてくるあたり、クラリッサ様は恐ろしいよな……。
それで、万能薬の効能も聖魔法に近いものがあるから、治らないどころかそこに魔力が集まって、とんでもなくキラキラ光りはじめたってことだったわけ。
泣いた。
結局、ルシルに慰められて、まあ悪くない気分にはなったんだけど。
そのうち時間が経つとキラキラもおさまって元通りに目立たない紫にはなったけど、それまでの間、散々猫たちがその部分に猫パンチしてきて大変だった。
「お前ら、オレを猫か何かと思ってないか!?オレは偉大で誇り高きドラゴンなんだからなーーー!?!?」
ついに7月3日書籍1巻が発売になりました!ここ最近はずっと緊張でソワソワしています……!
活動報告にも何度か載せましたが、Qi234先生のイラストが可愛すぎてやばいです!!!
装丁美しすぎて本当に宝物の1冊になりました(;_;)!
紙ではあちこちの装飾?に猫ちゃんをたくさん使ってくれてるのも見れます♡
もちろん電子でのご購入もめちゃくちゃ嬉しいです~!
◆特典情報
・初回盤限定封入SS
「『奇跡の天使』へのインタビュー」
・くまざわ書店さま
「レイシアの、可愛いルシルお嬢様観察日記」
・Wonder GOOさま
「世界一素敵なマオウルドット」
・メロンブックスさま
「ルシルの苦手なこと」
・アース・スター応援店さま
「カインは見た!フェリクスの手紙」
・書泉・芳林堂グループさま
【有償特典アクリルコースター】
内容の詳細は公式ページをご覧ください♡(活動報告にリンク貼ってます!)
SSはどれも可愛いお話になってます♡
そして超絶可愛い表紙イラストのアクリルコースターは本当に必見です!!!!
オンライン販売では発売前に一度売り切れていて、現在は再入荷されています。
Qi234先生のイラスト本当に神なので、気になる方はなくなる前にぜひお買い求めください~!
できれば長くこの物語を続けて書籍としてもお届けしたい……!と本当に願っているので、ぜひぜひご購入して応援していただけると嬉しいです……><!
よろしくお願いいたします~!(;_;)♡




