どうしてこうなった?
Act.1
病気で死んじゃって、幽霊になった少女がどうしたって?
ちゃんと成仏して、二度目の人生を謳歌中です。
……謳歌中?だと思います、はい、多分。
壁ドンされているけど。
なんか、追い詰められた小動物のような気分だけど。
「見つけましたよ、デスデモーナ。」
その名前は昔の名前です、はい!!
ちなみに、過去の兄、もとい、現父は、その名前から今の名前を付けまして、現在はデモーナと申します!!
って、違う、違う、今の状況がおかしい!?
何で王子様に壁ドンされて、ガクブル震えているの!?
震える必要はない、私と彼は初対面、ショタイメンなのよ!
大丈夫、誤魔化せる!!
「『デー』?私を誤魔化せるとお思いですか?よろしければ、貴女と私の馴れ初めの上映会をこの場で行ってもいいのですよ?」
「はい、全面的にごめんなさい!!デスデモーナではなくなりましたが、貴方のデーです!デモーナ・キプロスと申します。」
もう、長い物には巻かれろ!!である。
目の前の人物は泣く子も黙る第二王子のオセロ殿下である。
深い海のような紺とも、青とも言い難い髪に、知的できりっとした紫の瞳は昔のように純粋なキラキラお目目ではなくなってしまっているが、物凄い美形である。
余談だが、オセロ殿下の母上、つまり王妃様は大陸一の美人と言われておりまして、国王陛下も美形であるがため、王家は美の暴力と呼ばれるほど見目麗しい。
王太子殿下の婚約者様が放った『貴方の隣に並ぶぐらいなら一生独身でいさせてくださいませ!!』は多くの令嬢たちの心を打った言葉である。ただ、婚約者様としては残念でしょうが、婚約者様と同じ気持ちの令嬢が多く、婚約者様は皆さんの為に犠牲になられました。
言っておきますが、王太子殿下の婚約者様はかなりの美人さんですよ?
ただ、隣に並ぶ王太子殿下の美貌が飛びぬけていらっしゃるので、劣って見えてしまうだけなのです。
大きく脱線してしまいましたが、この方の特殊能力は『他者の体験した記憶を再現できる』と言うのは有名な話で、もし、彼との『過去』を上映会された場合、やばい。
主に、兄……じゃなかった父が。社会的に。
しかも、私視点で上映会されてみろ、父母のああああああ!?な場面が上映されかねない。最悪の場合、私を授かるシーンである。
いくらなんでも困る!!
「おや、『デー』はまたキプロス家に生まれたのですね。そう言えば見た目はあまり変わっておりませんね?ただ、今度は健康そうで安心しました。」
「ええ、健康体で走るのも、遊ぶのも問題なく過ごしております。」
「そうでしたか。では私の妃に問題なくなれますね?」
「ご冗談を。私はキプロス侯爵家の跡取り娘ですわ。」
そこでハッとしながら扇子を出して口元を隠した。これでもキプロス侯爵家の跡取り。今日、王家の舞踏会来たのだって旦那様を探しに、来たのだ。ちなみにキプロス侯爵、つまり父はこの国の宰相である。だから頭の良い旦那を物色しに来たのに、頭の良い王子が飛び出て来た状況である。
壁ドンされたままだが。
「そうだったか……まあ、私は第二王子ですし、兄上も、弟も居りますから婿になっても問題ありませんね。」
「それは困りますわ。キプロス侯爵家は中立をモットーとする公平な家でございますわ。権力が加わるような婿は困りますわ。」
「なるほど……ではその中立に恥じない婿となりますので、ご安心を。それに、やっと見つけた『デー』を逃がすとお思いですか?」
……逃がすと思う×
逃がす気がない○
これが正解では?と某、哀愁漂う狐さんの顔を顔に召喚しながら私は思ったのです。
全面的に私が悪かったとも思いますが……。
どうしてこうなった!?