絵師とクレーマーの協奏曲 Ⅳ
前回までのあらすじ:
修正の度にあがる品質、サトリも段々と良くなってくるイラストにホッとする。
仕上げにむけて新たなる修正要望を送ることにした。
翌日
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ご確認ありがとうございます
修正点について、かしこまりました!
その点を改善させて頂き清書へ移らせて頂きます
引き続きよろしくお願い致します
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さらに翌日
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お世話になっております
イラストが完成しましたのでお送り致します!
修正希望点などございましたらお気軽にお申し付けください
よろしくお願い致します!
完成品PNG.zip
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「せんせ、せんせ! 作家先生! 絵師さんから完成品届いた!」
「ほほう、どれどれ」
提出データの名前などどうでもいいと言えばどうでもいいが仕上げではなく完成品か。
さっそくチェックをする。
ラフではざっくりと誤魔化してた部分にきっちり表現が付け加えられた、「完成品」と言ってくるだけの実力ある。
品質は充分にアップしている。
ラフでは【指摘できなかった問題点】を除いては。
「もおおおおおお! なんで? わざと? バカにしてんの?」
「落ち着け! メッセージに修正希望受け付けるって書いてあるだろ!
これで出来上がりさよならってわけじゃないから!」
ついにサトリがブチギレてしまった。
いまだに骨格レベルの不治の病があるというのもあるだろう。
だが仕上げに入らなければわからなかった根本的な行き違いが致命的だった。
あれ程繰り返し伝えた主人公の特徴をスルーされ、主人公でない猫の表紙を完成品として提出されたのである。
「私もうかつだったが、サトリも悪いんだぞ」
「なんでよ! 責任転嫁して絵師の味方するつもり!」
「そうじゃねえよ、猫を好きでもない興味もない人に主人公の説明する時どうする?」
「え? どういうことよ」
「表紙も挿絵もない投稿小説ならそりゃいいさ、性格や描写した文字だけ受け取ればいい」
「? わかりやすくはっきり言ってよ」
「主人公はキジトラです」
「??? ……あっ」
「勿論、絵師さんも悪いさ。
キジトラの特徴について最初から資料リンクはこちらから提示してる。
今までの流れからみて、参考URLは一切見てないんじゃないか?
そのかわり添付画像は過度に参照している」
「そういわれれば……」
「表紙の猿っぽさは私が描いたど素人のイメージ画。
【飛びつくような動き】の説明書きは無視されたが。
完成稿の毛柄はネコSKILLのハチワレ柄だ。
ネコ柄なんてのは専門用語みたいなもんで一般の方々はわからない」
「日本人はみなネコ専門家になればいいのよ!」
「そんな無茶苦茶な」
サトリのブチギレモードが落ち着いてきた。
絵師さんのお言葉に甘えて修正依頼を作る。
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仕上げ提出チェックいたしました。
仕上げになって可視化されたこととして、猫の毛柄のお約束に行き違いがあったようです。
まず大前提として参考イメージとして提示した「ネコSKILL1.JPG」は動きのあるポーズの参考です。
これが過度に参考にされているようですね。
別に提示した「キジトラの特徴」にあった毛柄とは異なるため修正が必要になります。
主人公の特徴、M字びたい、褐色体毛(濃さで縞模様)
https://cat-press.com/types/brown-mackerel-tabby
一般的にネコは毛柄で性格・特徴が異なるため、毛柄でどういう猫かを区別する事が多いです。
「ネコSKILL1.JPG」の毛柄はキジトラではなく、「ハチワレ」という毛柄になります。
・order.se.1a
[修正項目]
体毛柄について。
主人公の体毛を白毛なくし、全体的に薄茶。柄に濃い茶(褐色?)で虎柄を入れて下さい。
四肢の先も同様です。
しつこいようですが添付にて頭部の柄としてM字びたい、クレオパトララインの参考にして下さい。
毛質表現について。
仕上げにて追加された毛質表現ですが、モフモフ・フワフワの毛質というよりは汚く見えます。
上記、トラ柄の追加いただければあえてボディライン以上の毛質表現しない方がいいです。
耳毛について。
ラフではあまり目立たなかったのですが仕上げをみると耳毛が長すぎ、違和感があります。
メインクーン等の種では目立つほどの長さなのですが日本猫や雑種はあまり長くありません。
耳のラインの収まる程度に修正をお願いします。
・order.se.2
上記[修正項目]と同じ部分、柄追加と毛質表現、耳毛の修正をお願いします。
・order.se.3
上記修正の繰り返しになりますが
主人公たまの柄追加と毛質表現の削除、耳毛の修正、靴下柄はないので四肢の先もトーンでの色表現
ヒロインは白毛にトラ縞「サバトラ」です。
柄追加と毛質表現の削除、靴下柄ありのため四肢の先は柄なしでお願いします。
・order.se.4
「月」がいらないと思います、削除修正をお願いします。
・order.se.5
主人公たまの上記[修正項目]と同じ部分、柄追加と毛質表現、耳毛の修正をお願いします。
・order.se.6
主人公たまの上記[修正項目]と同じ部分、柄追加と毛質表現、耳毛の修正をお願いします。
・order.se.7 OKです
・order.se.8 OKです
・order.se.9
仕上げ前は気づかなかったのですが、主人公たまの臀部が太すぎます。
敵の野良犬は骨格が変です、具体的には前足が腹から出ているように見えるので前足の付け根を胴体前部中央から出るイメージで修正をお願いします。
主人公たまの上記[修正項目]と同じ部分、柄追加と毛質表現、耳毛の修正をお願いします。
・order.se.10
主人公たまの上記[修正項目]と同じ部分、柄追加と毛質表現、耳毛の修正をお願いします。
[キジトラの特徴.JPG]
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毛柄の行き違いは、ツール使いなら修正にそれほど困難ではないだろう。
浮上した誘導リンクスルー疑惑をもって、オーダー9の腹足問題についても再追求する。
表紙の猿感は……手遅れだろう。
カラーイラストであることもそうだが、【飛びつくような動き】を「飛び上がる」と勘違いしているのかもしれない。
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まとめると、ネコSIKLLの写真がポーズ以外も参考にされすぎて問題の多くを引き起こしたということですね。
今になって思えば、当初の段階でネコSKILLの写真を添付せずイメージを
「構図中央を森の奥として奥から手前にいる獲物に対して狩るために主人公が飛びかかってくるのを遠近法が効いた感じでお願いします!」
ぐらい言葉で表現できていたら骨格レベルの問題は出なかったかも知れない……。
成果物が手元にあってこそ言えるんですけどね。




