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絵師とクレーマーの協奏曲 Ⅲ

前回までのあらすじ:

絵師からのラフ提出に指摘修正依頼絨毯爆撃を決行したサトリと作家先生。

絵師の反応にビクビクしていたが、回答は丁寧な指摘に対するお礼だった。


 翌日、ラフ修正の返信が来た。

 

==========

お世話になっております。

表紙を描き直して主人公と女戦士のデザインを修正しましたので、これで問題なさそうかご確認よろしくお願い致します!


[添付]

==========

 

 意外と早かった。

 さっそくチェックする。

 サトリに連絡を入れ、帰宅後やってくる。

 

 

「キモい」

「んー、確かに」

 

 超長文のいくつかは反映されているが、あまり改善していない。

 荒いラフの書き込みが多くなり、よりキモくなった。

 謎生物が猿っぽくなったとでも言おうか、体型が人間なんだよなあ。

 原因ははっきりしている、それを指摘もしている。

 

 

「サトリ何やってるんだ?」

「……えへへ、ラフみてあたしの方がうまく描けるかなと思って描いてみたんだけど」

「お前なぁ絵師なめてんのか、うまく描けたとして契約料は戻ってこないからな」

「うん、ごめん。 でもやっぱり丸くなるね」

 

 何かと思えば表紙の猫の顔のことだった。

 

 

「最初に絵師さんに送ったPixivのサイトを見てみ?

 猫の頭の輪郭って逆三角形で結構小さいんだよ」

「へー」

「知識がなければ、猫描こうと思っても特徴的な目と耳くらいしか思い浮かばない。

 可愛く描こうと思えば頭は丸く大きくなるもんだ。

 そうするとコレジャナイ謎生物が出来上がる」

 

「あ」

「ん?」

「ネコSKILLの画像か」

 

 ポーズの元であるネコSKILLの実写ネコ画像。

 室内写真であるためかネコの瞳孔が丸くどアップなので頭が強調される。

 そこに切れ長の人間らしいアイラインが違和の元になっているのか。

 よく見ればネコSKILL画像も眉ラインがアイラインに見えて妙に人間っぽい。


 荒いラフではわからなかった問題も浮き彫りになった。

 それを含めて再度指摘していこう、無料修正がアウトならそれまでだ。

 

 <送信>

==========

早速の修正ありがとうございます。

チェックしました。


・女戦士の柄を掴む手の向き

・腕、腿の太さ

 赤線で書き込んだ指摘部分です。

 人物設定として筋肉美女としているため腕腿の太さは増量してください。

 腕に関しては鎧を書いてから袖口の腕を付け足している感が強くデッサンに狂いが生じています。


■主人公たまの顔についてですが、どうしても不思議の国のアリスのチェシャ猫挿絵にあるようなコレジャナイ感について悩んでいました。


・耳が小さすぎる(困難であれば修正不要)

 顔が丸すぎる要因にもなってると思いますが、実際と比べ顔と耳の比率を考えると耳が小さすぎます。


・フェイスラインが丸すぎる(困難であれば修正不要)

 大福のように丸ラインになってますが、実際のネコ顔は▽ラインです。

 例外としてリラックスして縮こまるとたるみが顔に来て丸くなりますが原則▽顔です。


・目の構造が変(困難であれば修正不要)

 元のネコSKILLの画像と比べ分かったのですが、ネコ目の形は丸(○)く瞳は縦長、を無理に人間の目の書き方にしてしまっていて書き込みのためか大きすぎるのが原因と思われます。

 シーン的には夜ではないので瞳は細くなり映り込みや反射を書き込む必要はありません。 


・その他

 赤線で書き込んだ指摘部分です。

 ノーズラインについては実際の猫を見ると確かにそれっぽい陰影はあるのですが線でライン表現すると違和が凄いです。

 しかも鼻部分が大き過ぎ異様に目立っています、違和を軽減するためのノーズライン消去をお願いします。

==========

 

 

 即日返信が来た。


==========

ご確認ありがとうございます

分かりやすく丁寧にお伝えいただき感謝します!


該当の点を修正しましたので再度ご確認お願い致します。

よろしくお願い致します。


[添付]

==========


 顔の造形が良くなった事で謎生物が一気に猫らしくなった。

 体型のダメさは殆ど変わっていない。

 人間っぽいフォルムというか猿っぽい。

 だがラフ修正をこれで都合二回してもらった訳だ。

 

 言語化して直ってこない所をぐちぐち言って伸ばし伸ばしにしても前に進まない。

 しょせんラフだし進めてみるしかあるまい。

 

 

 <送信>

==========

修正ありがとうございます。

チェックさせていただきました。

すごく良くなりました。

今回のもので勧めていただきたいのですが、仕上げにあたり一点だけヒゲを長く修正お願いいたします。

前回の修正依頼で顔のラインを▽にしていただいたと思いますが、ヒゲの長さは猫の体幅センサーの役目をするため、目安として耳の幅ほど伸ばしてくれればバランスが良くなると思います。

==========

 

 

 翌日

==========

ご確認ありがとうございます


ひげの修正について、かしこまりました!

明日には他の全てのラフを修正して改めて提出しますので、その際はご確認よろしくお願い致します

==========

 

 

 翌日

==========

お待たせしました!

ラフを修正いたしましたのでご確認よろしくお願い致します


また清書の際に、建物や服飾など含めて細かく描写し直しますのでご安心くださいませ

よろしくお願いいたします!


[ラフ添付]

==========

 

 

「あ、絵師さんから来た」

「言ってた表紙以外の修正分だな」

「どれどれ~」

「……」

「お、おおお~! だいぶ希望が見えてきた?」

「なんで言い方が偉そうなんだ」

「いいじゃん、大枚はたいたんだから一番えらいのはあたしでしょ」

「依頼枚数が多いから、割安だって言ったろ。

 腹から前足は直ってないがそれ以外は殆ど問題はないな。

 指摘出来る所を指摘して仕上げにすすんでもらうか」

 

 送信文を作成しているとサトリが突っ込みを入れてきた。

 


「腹から前足は?」

「……一番最初に指摘済みだからな。

 表紙もそうだが、骨格からのデッサン不備が要因と思われるフォルム修正は意図的か知らんが指摘しても直ってこない。

 強権的に金払ってんだから直せとガチンコしてもいいがしょせんラフ段階だからギャーギャー言ってもなという所はある」

 

 

 「腹から前足」の挿絵は、ストーリーの中で「異世界でなくても俺ツエー」的な要素があるクライマックス前のおつまみ的なシーンである。

 主人公が撃退する狂犬の足が問題なのだが、付け根だけの問題ではなく肘関節もおかしい。

 だが、イヌの顔もそうだが全体的にギャグチックになっている。

 

 元々作成が困難なら(料金変更なしで)枚数調整しましょうという話だったのでどうしても気に食わなければ却下すればいいし、提出されても使わなければいい。

 おつまみ的シーンなのでギャグチックは正解ではないがありっちゃあり。

 関係を険悪にしてまでこだわる部分でも無いだろう。

 

 

 <送信>

==========

ラフ修正チェックいたしました。

全体的にすごく良くなり安心しました。

ほぼOKなのですが、細かい要望部分をいくつかお知らせします。

ラフの再修正ではなく清書時の留意していただきたい部分ととらえてください。


・order.se.3.jpg

 このシーンではヒロイン猫がテリトリーに入ってきたよそ者を威嚇するシチュなので優しげな口ではなくムッとした口へ、胴のラインが違和あるため猫背を強調してください。(目安ラインを赤で引きました)


・order.se.10.jpg

 同じく主人公の胴ラインの違和(目安ライン参考)

 拾われてきた仔猫のしっぽ追加


他は特に齟齬そごはありません。

==========

 

 新たに指摘した部分は他が良くなり浮き彫りになったダメポイントである。

 重箱つつきにならないよう考慮の上仕上げに進むよう追加し送る。

次回予告:

修正ごとに上がっていく品質、直らない問題点。

仕上げ段階に上がっていくステップ。

サトリと作家先生は驚愕の事実を知る!!

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