黄身の硬さは失恋の思い出、トロリもあるよ
前回までのあらすじ:
表紙のタイトルを無事作成し電子書籍を販売しようと作業をすすめる二人。
サトリは紙本販売も可能なリンクを見つける。
紙本出版をすると決意したサトリ、だが作家先生はリスクは無いがタダより高い物はないと告げる。
その真意とは……手動だった
※今回は専門用語が多いですがご容赦を「POD=紙本出版」「EPUB=書籍フォーマット」「PDF=文書フォーマット」とご理解ください
PODでの紙本出版方法:
[でんでんコンバーター]でEpubを作成したなら電子書籍の販売はそのまま出来る。
[でんでん2POD出版(β)]の連携サービスを使ってそのままEpubをPDF化できる。
PDFファイルがそのまま【原稿】になる。
あとは【表紙原稿】【背表紙原稿】【裏表紙原稿】の画像を用意すれば完成だ。
後は原盤登録して販売開始。
ね? 簡単でしょ?
「ええっと[でんでん2POD出版(β)]ベータテストに参加を押して……
メールアドレス登録してアップロード!」
「暫く待ってるとメルアドにPDF変換されたデータが届く。
Epubでカバー設定した表紙はPDF化された時に自動的に外される。
注意が必要なのは裏表紙。
電子書籍だと画像挿入として裏表紙画像入れてるが、PODでは表紙・背表紙・裏表紙セットで別につけるので削除したものを変換しないと二重になってしまう」
「届いた! うんうん……ほーほー」
「Epubとはまた見え方違うだろ? 改行位置とか改頁ずれは再度設定しなければいけない。
ただ、Epubと違うのは清書の【重要度】が極端に高いということだ」
「清書の重要度が高い? どういう意味?」
「POD出版は、原稿原盤の登録という意味合いを持つんだ。
後から変な所が見つかって、原盤作り変えまーす! は不可能ではないが簡単に出来ない」
「そのこころは?」
「修正再登録は5000円かかる」
「ふぁっ!? 原稿登録無料じゃなかったの?」
「登録無料でも修正は別だ。
書籍IDの割り振り紐付けそのままに原盤を変えるからだろうな。
PODの構造そのものがよくわからんがAmazonの仕組みを使うってのがポイントなのかも」
サトリの元原稿清書が始まった。
Epubの時と同じようにPDF変換された結果と見比べながら修正していく。
WEB小説という物は、多少の見直しはしても投稿更新が最も優先される。
誤字脱字を指摘され直し続け、それでも時間がある時に見直すと修正点の多さに絶望する。
無論時間などあっという間に溶けていく。
あっという間に暗くなり始め、腹も空いてくる。
サトリに確認し二人分の夕食を作り始める。
[モヤシと三種のキノコサラダオーロラソース和え]
[バタートースト目玉焼き乗せ]である。
オーロラソースはマヨネーズとケチャップにウスターソース少々
隠し味に醤油を入れるのがうち仕様である。
「夕はん出来たぞ」
「いただきまーす」
シャクッ モムモムモム パクッ
「あーん、垂れてきちゃった」
ぺろぺろ
うーんえっちい。
独身男性の部屋で女子高生が指に垂れた黄身の中身を舐め上げる。
どんなAVだ。
「もやしのシャキッとした食感とキノコの弾力ある歯ごたえが……」
「食レポチャレンジやめろ」
「はーい……うまいー、ママより料理うまい独身のおっさん。
でもなんか朝食っぽくない?」
「サトリママさんの食事で太ったって愚痴ってたろ」
「うちのママの黄身って硬いんだよねえ」
専業主婦の日々家族を養う食事と、男の料理を比べてはならない。
計量をろくにしたこともないのに、レシピの[適量]を[てきとう]にするのが男だ。
かと思えば、凝り始めると無駄に詳しくなり不手際を許さない。
目玉焼きで言えば、生焼けは言語道断。
黄身が固まるほど火を通すのも許せない。
他の全ての調理を止め、目玉焼きの熱通しタイミングに集中する。
完璧な目玉焼きは言ってみればそれだけだ。
白身が全体に白くなったタイミングで火を止め蒸らす。
黄身の目がうっすら曇ってカラザまで固まったら皿によそる。
この固まり切っておらず火の通った黄身こそが最高に旨いのだ。
当然味付けは塩胡椒のみである。(異論は認める)
余談だが、以前振られた理由が目玉焼きという女がいた。
メシウマを自負している奴で、実際色々旨かったのだが目玉焼きだけは黄身が硬かった。
何度言っても治らず「じゃあ自分で作れば!?」とのたまったのだ。
お言葉に甘えそれ以降マイ目玉焼き専用フライパンで最高の目玉焼きを作り続けた。
奴もそれを食していたのだが、当然ダメ出しが出来る筈もない。
やがて「あんたのそういうところが嫌になったのよ!」と吐き捨て振られた。
理不尽だ。
「何が理不尽よ、そりゃあ今でも独身なわけだわ」
「なんで!?」
海外に多いターンオーバー(タマゴ両面焼き)だけは認めません。




