第3話 無職で生きたい人生だった
杉野は小鳥の鳴く声で目を覚ました。
大きく背伸びをすると自分が今おかれている状況を理解する。
(そういえば俺、妖精の家に居候してんだっけ)
階段を降りるとバターのいい香りが鼻に広がる。
「あっ!おはようございます!杉野さん」
あさイチでも美少女は美少女だな。
杉野は目の前に置かれたパンと目玉焼きに思わず涎を垂らす。
「いただきます!」合掌し、バターがたっぷり塗られたパンにかぶりつく。
昨日から何も食べていない彼にとってそれはご馳走であった。
「美味しーですかー?」
「おぉ、上手い上手い。料理も出来て優しくて美少女なんて、シルフィはいつでもお嫁に行けるなー」
おっと、そんな事を言うのは女性に対して失礼か?
しかしシルフィはニコニコしながらありがとうございますぅ〜と頬杖をつく。いいんかい。
「それで、早速なのですが」
「うん?」
「働いてください」
えェェェェーーーーーーーー...。
「当たり前じゃないですか!働かざる者、食うべからず、ですよ!」
「働くって何したらいいんだ?俺何もこの世界のこと知らないし、職業も分からないぜ?」
「それなら大丈夫です!私の仕事を手伝って頂く予定なので」
仕事を探さなくてもいいなんて、こんな素晴らしいことがあるのか。
「で、仕事って何してるんだ?」
「幸せ屋です。」
...ん?
「え、え、ん?な、何て?」
「幸せ屋です、世界中の生きとし生けるものを幸せにするんですよ!」
金を取って人をしあわせにするってなんだろう、、
「仕事場は2階なんですよ」
そうして案内された部屋はそこまでの広さでは無いものの、綺麗に整頓された書類などを見ると仕事場と言うだけの所ではあった。
一部で物が錯乱しているが。
「此処で色々なお悩み相談や依頼を、受けているんです。そうですね、この場所の名前は〜〜〜」
シルフィはうーん、、、と考えた後、ハッと思いついたように顔を上げる。
「幸せ事務所です!」
いや、今考えたんかい。




