第1話 目覚めるのは森の中
別の小説を書いている途中ですが新しいのを書きました。どぞ
「あれ?何処だ、ここ?」
目が覚めると、杉野は森の中にいた。
周りは木々が生い茂り、美しい花には可憐な蝶が止まってる。
落ち着け落ち着け!!何で俺はこんな所にいるんだ?一体何があった!?
・・・・・・少し整理しよう。そうだ!こういう時は記憶喪失になっていないか確認するって何かに書いてあった気がする。
俺は杉野。年齢は〜、、、高校生くらいだろ!出身は?、、好きな食べ物は?、苦手なものは?これまでの黒歴史は???
「何にも覚えてない・・・」
うそだろ!?
杉野は思わず頭を抱えた。まさか本当に覚えていないとは、、、
よく考えたら俺の覚えてるの苗字だけじゃん!高校生くらいって!俺本当は50歳のおじさんだったらどうすんの?!
まぁ、この森を出たら何か分かるかもしれない。歩くか。
〜34分後〜
「何処だ?ここ?」
上下右左も分からない一面緑の中、杉野は森をさ迷っていた。
もう何回も同じ所を通っただろう。
これ以上歩いても無駄だと悟った杉野は、また草の上に寝っ転がった。
あー、気持ちいいなー寝そう。
杉野が心地良い木々のざわめく音をBGMにウトウトしていると
「何してるんですか?」
ひょこっと小さな何かが杉野の前に現れる。
「うおおおぉぉぉぉ!??」
杉野は思わずガバッと起き上がると、その小さな何かを凝視した。
う、浮いてる、、
目の前にいたのは羽の生えた、小さな少女だった。
小さいと言っても、小学生や幼稚園児など比にならないほどだ。せいぜい紙コップ程度の身長である。
しかし見た目はとても可愛らしい。
ピンクがかった白色の髪に、大きな桜色の瞳。白い肌に瞳と同じ色のふわりとしたワンピースが良く似合う。そしてその背中には、綺麗な羽がついていた。
杉野が驚きのあまりだんまりをキメていると少女は、不思議そうに話しかけてきた。
「あのぅ、どうしましたー?大丈夫ですか」
夢じゃないよな?
杉野は思わず目を擦った。しかし、紙コップサイズの少女は飛んでいる。
もしかしたら記憶がないだけで、今までは常識だったのかもしれない。
杉野はそう思い、勇気を出して話しかけた。
「いや、ごめんな。女の子が宙に浮いてて、ちょっとびっくりしたってゆうかーー・・・・・・」
うわぁぁぁぁぁ女の子首傾げちゃってるよ!やっぱ常識だったんじゃんハズ!!
「当たり前じゃないですか。私は妖精なんですから」
恥をかいた杉野の頭にとんでもない言葉が横切る。
「・・・待て。今、なんつった?」
「だーかーらー、私は妖精なんですから飛んでいるのは当たり前じゃないですか!」
妖精。聞いた事がある言葉だった。ただ、仮想や想像の世界での話だと思っていた。しかし何で俺は実際には居ないと思ったのだろう?
杉野の混乱した頭はもうオーバーヒートを起こしていた。
「あの、本当に大丈夫ですか?お医者さん、行きます?」
もうこの際この妖精に全てを打ち明ける他ない。でないとこの森からも抜けられる気がしない。
「実は、、」
杉野は自分の身に起きたことを全て話した。
妖精はふむふむと頷きながら彼の話を聞いた。そしてこう言った。
「それなら、私と一緒に暮らしましょう!」
は?と俺が言う前に彼女は手を叩き家の説明を始めた。
「いやいや、君年頃の女の子だよね!?いいの?こんな見ず知らずの男と一緒に暮らして!俺こんな見た目だけどおっさんかもしれないんだぞ!?」
そうだ、女の子と一緒に住むなんてとんでもない。
万が一何かあったら警察に捕まる予感しかしない。
杉野の心配を他所に女の子はまた言葉を綴った。
「大丈夫ですってーw私こそ、こう見えても500歳なんですよ」
ん?んんん??
「えええぇェェエエ工!ごっごひゃくさい!?」
その顔で!?小学生でも通るような顔で!?まぁ小さいけど。
「妖精は、だいたいこの位で見た目の若さは止まるんですよー♪だから、おばぁちゃんと暮らしていると思って!ね?」
おばぁちゃんだと思えばまぁ、いいのか?
「なら、お願いします?」
杉野がそう言うと妖精はパァァァと顔を明るくし、笑顔でこちらこそと手を握った。
天使か。
「あっ!自己紹介がまだでしたね。私はシルフィです。えーと・・・」
「俺は杉野だ。よろしくな」
杉野は小さな同居人にあいさつをした。
「それじゃあ、早く森を抜けましょう!」
「あれ?お前なんで森にいたんだ?」
「キノコ集めです!」
「キノコ、、、」
「さぁ、行きましょう!」
杉野は笑顔の彼女に手を引っ張られて歩いた。




