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~宝玉物語~ストリーム  作者: 三矢ターニャ
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4話 異世界フローテクス


 集落への襲撃が止み、金髪の少年と共に現れた初老の男性の案内により、拓也は集落の中心にある一際大きな建物へと訪れていた。

「申し遅れました。私はこのリマージ村で村長をしております、バレルと申します。」

 そう言って、村長のバレルは拓也にお茶を差し出す。

 どうやらここはバレルの家のようだった。建物は木造建築で、その中は昔ながらに感じる和風な造りとなっていた。そこに腰かける拓也は、バレルに手渡されたお茶を一口だけ飲む。普段お茶などは飲まないが、そのお茶は苦味もなくとても飲みやすい味だった。

 ホッと一息をついた拓也は、自分が名乗ってないことを思い出し慌てて自己紹介をする。

「あ、俺…自分は拓也って言います。氷堂拓也です。」

「ヒョウドウ…と言うのがファミリーネームですかな?」

 拓也はその問いに静かにうなずくと、バレルは確信を得たように続ける。

「やはりあなたは、異邦人…。こことは違う別の世界からの来訪者では?」

「いや…確かに知らない場所なんですけど…俺にも何がなんだか…。」

 未だ現状を理解しきれていない拓也の様子に、バレルは近くの本棚から一つの本を取り出し、その本の内容をざっくりと語りだす。どうやらそれは、百年以上前に起きた歴史を記した本のようだ。


 ざっくりであるが分かった情報を上げると、まずここはフローテクスと呼ばれる世界であること。夢で聞いた用語と一致することに鳥肌が立ったが、そこは今は置いておく。

 フローテクスには三つの大きな島があり、今拓也がいるのはその内、南西に位置し"ティーク"と呼ばれる国に統治された"トラトス島"であるとのこと。

 次に歴史のことだが、かつて宝玉に選ばれた12人の宝玉使いが世界を救った。ということと、その宝玉使いは拓也と同じように、苗字つまりファミリーネームが前に来る特徴があったということ。フローテクスではファミリーネームは後にくるのが基本とのこと。そして12人の宝玉使いは全員が別世界からの来訪者であり、拓也が迷い込んだ時と同じあの丘から訪れたというのだ。そのことから、あの丘は"来訪者の丘"と呼ばれているらしい。

 本にはもっと詳細が記載されているようだったが、バレルは拓也にわかりやすいように要約してくれていた。

「そしてタクヤさん、あなたも恐らく…宝玉に選ばれた宝玉使いでしょう。」

「俺が…?もしかしてこれが…?」

 説明を終え、一息ついてから続けたバレルの言葉に、タクヤが思い出したようにポケットから青い玉を取り出す。先の傭兵とのやり取りの中で放った輝きは今は特に感じられない。

「それは…氷の宝玉ですか。この島の南端にある洞窟に祀られていると噂されていたはずですが…?」

 これをどこで?と問いかけるバレルに、タクヤは頭を掻きながら答える。

「元いた世界?で拾ったんです。それで気付いたらあの丘に…。」

「あなた方の世界の方で?そんなことが…。」

 にわかには信じがたいといった表情をするバレルに、タクヤも困惑する。

「俺…元いた場所に帰りたいんですけど…どうすれば…?」

「宝玉のことは今でも詳しくは知られていません。ましてや異邦人なんて、先ほどの歴史でしか語られたことのない存在ですので…。」

 考え込むようにしてバレルは眉間に人差し指を当てる。

「おそらく、状況から察するに宝玉が関係しているでしょうから…他の宝玉を探して旅をしてみてはいかがです?」

 そう提案するバレルに、タクヤは焦り反論する。

「む、無理ですよ。そんな知らない場所を旅するなんて!」

「確かに、多少は過酷な旅になるかも知らませんが…剣の心得の方はおありでしょう?」

 その言葉にもタクヤは大きく首を横に振る。

「それは…困りましたね…。そのままで帰る手段が見つかるとも思えませんし…。」

 どうしたものかと頭を抱える二人。と、金髪の少年がバレルの家に入ってくる。バレルがタクヤを家に迎える際、少年は負傷者を他の数人と共にどこかに運んで行っていた。

「バレル村長、負傷者の手当て落ち着きました。」

 命に別状がある者はいない旨を報告する少年に、バレルは頷き返した後、ひらめいたような顔をして口を開く。

「そうだ、ちょうどいいレイジ。この方に剣を教えてあげてくれないか?」

 そのバレルの唐突な言葉に、レイジと呼ばれた金髪の少年は面を食らった顔をして声を荒げる。

「こんな一大事に、何を訳の分からないことを言ってるんです村長!」

「まあ落ち着きなさい。焦る気持ちはわかるが…。」

 バレルはレイジをなだめるように優しく声をかけると、タクヤの事情を一通り話す。

 話を聞き終えたレイジは、自分を落ち着けるように息を吐き、口を開く。

「お話はわかりました。ですが、いつまた盗賊が村を襲ってくるがわからないこの状況で…。」

「まあ待ちなさい。宝玉使いがいるとわかった以上、あちらも容易には手を出せないはずだ。」

 バレルのその言葉に納得したような表情を見せるレイジ。しかしレイジはすぐ真剣な面持ちになり、人差し指を立ててタクヤの方を向き、一つ条件が、と口を開く。

「剣を教える代わりに、あなたには盗賊の討伐に協力していただきます。」

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