第7話 不動産屋のフワリンヌさん
お金を結構な額、手に入れることができた。
ショインさんにランクアップを勧められたけど、断ることにした。
Fランク商人のままでいることにした。
ランクが低いと商人同士で、舐められたりすることがあるとか、他の街に行くときの入門の際に、優先して入れてくれたりとか、ランクアップしない悪い点、ランクアップする良い点を教えてくれた。
無理にランクを上げる必要はない。
だって、納税額増えるだけでそこまで魅力的な良い点がなかった。
わざわざ、貴族のお抱えになる為にランク上げるのもね。
商業ギルドを出た。
「あっ、不動産屋の場所聞けばよかったなー」
しかし、外に出てしまっているから、今更戻るのもなんか恥ずかしい。
「さっきのお兄ちゃん、どうしたのー?」
俺に商業ギルドの場所を教えてくれた女の子。
「家を買おうかなって思うんだけど、いい所知らないかな?」
「知ってるよー。場所分かりづらいと思うから、連れてくー」
女の子が先導してくれるみたいだ。
女の子の誘導の元、商業ギルドを出て、不動産屋についた。
「ありがとねー」
「またねー」
女の子は手を振って人ごみの中に消えた。
わざわざ連れてきてくれたから多めにチップを支払った。
とはいっても500円だけどね。
10分くらいで着いたから10分500円と考えると良いよね?
女の子は、最初驚いた顔をしていた。
その後、ニコッとした顔で喜んでくれたけどね。
「失礼します。お店としても使える、家を買いに来たのですが」
不動産屋の中に入る。
不動産屋の看板には家のマークが書かれてあった。
「はーい」
おっとりした女性の言葉が返ってくる。
不動産屋の受付のお姉さんは、バニラ色の髪でセミロングくらいの長さ、見た目は丸顔でふわふわな雰 囲気を醸し出している。
瞳の色は、ブラウン。
服装も全体的に落ち着いた雰囲気である。
だけど、胸が大きいようで、隠しているのが逆にいやらしく感じてしまうのは俺だけではないはず。
ふわふわな雰囲気だけど大人っぽい感じ。
「あのー。3000万円以下で2階が住む用1階がお店とかで使える家を購入したいのですがありますか?」
さっき稼いだお金での中で3000万円使っても、300万と少しは残る。
3000万円もあったら、家を買えるだろう。
土地だけ買って、結界錬金魔法で家を出すこともできるんだけどね。
わざわざ、そんなことしないよ。
「私の名前は、フワリンヌ・カルアミルクですー。本日はよろしくお願いしますー。はい、ございますよー。それなら、500万円からご用意してますー。安い家はあまり立地とか家の中の状態とか大きさ、日当たりがよくないですー。2000万円でしたらある程度良い物件が、中級層エリアでも用意しておりますー」
フワリンヌ・カルアミルク。
カルアミルクってお酒の名前だよね?
お姉ちゃんがカルアミルクやカシスオレンジを頼む女の子には気をつけてって言ってた。
偏見だと思うんだけどなー。
ミルク、牛乳でコーヒーリキュールを割るカクテル。
20歳だから飲んだことがある。
コーヒー牛乳みたいで飲みやすい。
今日、久々に飲んでみようかな。
俺は、因みに梅酒のロックが好き。
フワリンヌさんの話を聞くに、中級層エリアということは他にもあるのかな?
「自分は、こゆきと言います。よろしくお願いします。中級層エリア以外だと他になにがありますか?」
「はいー。門に近い冒険者ギルドやスラムの子たちのいる下級層エリア、そしてー、商業ギルドに宝石店などのある中級層エリア。領主様のような貴族のかたやお金持ちの人がおられる上級層エリアがございますー。わたしのおすすめは、中級層エリアの孤児院の近くですねー。子どもたちの元気な声が聞こえてきますし、孤児院の子を悪徳奴隷商などから守る為に、孤児院の目の前には騎士所がありますから防犯面でも安全ですー。お兄さん、こども大丈夫みたいですしー。でも欠点と言いますと孤児院の周りには家が建っていませんので、寂しい風景ではありますねー。大丈夫でしょうかー?」
」
俺が女の子に道案内をしてもらっていたのを見ていたのかな?
「あっ、大丈夫です」
お金に困ったら商業ギルドに売りに行くからね。
「すぐに見に行かれますかー??」
「はい。ぜひお願いします」
フワリンヌさんが家に案内してくれることになった。
早速、1件目を紹介してくれるということで俺はフワリンヌさんについて行く。
「えっと……。ご趣味は?」
何かしゃべったほうが良いかなと思い、話しかけた。
「趣味はですねー。お酒ですー。お酒大好きですー」
お酒好きみたいだ。
「もし、家の値段を気持ち安くしてもらえたら、おいしいお酒プレゼントさせていただきます」
もちろん魔力を消費して、出すお酒。
今後、誰かしら年上にお礼を伝えるときにお酒を渡すとして、フワリンヌさんの感想を聞いて、それの参考にしよう。
「わー。それは、嬉しい話ですねー。わたし、甘いお酒が好きなんですけど、ありますかー?」
「ありますよ」
「あるんですか?じゃあ、お値段の方を勉強させていただきますー。楽しみですー。あっ、着きましたー。ここですー」
しばらく歩くと、フワリンヌさんが立ち止まった。
「1件目はここですー」
そう言って、フワリンヌさんは建物を指さした。