第4話 商業ギルドカード /ショインさん
中世ヨーロッパ時代に似ているらしい第7世界。
商業ギルドは大きい建物みたいだ。
外から見るに、3階建てのようだ。
中に入る。
窓口が3つある。
2つは、キレイな受付員さんたちが座っている。
もう1つは、おじいさんが座っている。
迷うことなく、おじいさんのところに向かった。
綺麗な女性、得意ではないんだよね。
コンビニでもきれいな人や可愛い人のいるレジよりも、そうでない人の方へと行ってしまう。
少し、こわい。
女性はこわいものだと、姉に常々言われている。
笑顔の裏には何かあると思ったほうが良いと。
「こんにちは。商業ギルドに登録したいのですが、よろしいでしょうか?」
「はい。大丈夫です。どうぞ、おかけください」
おじいさんは、受け付けの前にある、イスをすすめてくれた。
「ショインと申します。商業ギルドには、初めてのご登録でしょうか?」
俺に話しかけながら、羊皮紙?と羽ペンとインクをテーブルの上に置くショインさん。
「はい。初めてです。自分の名前はこゆきと言います」
第7世界では、苗字があるのは貴族だけだとシェリー様に教えてもらっている。
「かしこまりました。でしたら、こちらに必要事項のご記入と、商人カード代と登録料合わせて、大銀貨1枚の10000円をお願いします。毎月、月終わりに商業ギルドへ10000円を税として納めてもらいますので、よろしければ、そのままご記入ください」
小銅貨が10円。大銅貨が100円。小銀貨が1000円。大銀貨が10000円といったところかな?
にしても、毎月1万円を納めるということは、この世界は4季がある日本と変わらないとシェリー様は言っていたから、納税だけで年間12万か。
大学生感覚だと、高く感じるね。
「はい」
了承の意味で返事をする。
筆ペンに黒インクを垂らして、必要事項を記入していく。
名前と性別、年齢、商人として販売するメインの品物。
商人として販売するメインの品物については、商業ギルドが何か仕事を斡旋する場合などに、使用するみたい。
たべもの・服・宝石・武器防具・絵画・日用品……などとカテゴリーが書かれていた。
それに〇をつけるみたいだ。
名前をこゆき、性別を男、年齢18歳、商人として販売するメインの品物には、日用品に〇を記入した。
〇をつけてないと販売してはいけないとかではないみたいだ。
あくまで、商業ギルドが把握したいだけ。
「本日、売りたい品はございますか?」
記入した用紙を渡し、数分後、商人カードを受け取った。
その間に話した内容は、商人ランクは商業ギルドに収める税で基本的に、上がり下がりする。
【Fランク】 毎月1万円 年間12万円
【Eランク】 毎月10万円 年間120万円
【Dランク】 毎月30万円 年間360万円
【Cランク】 毎月100万円 年間1200万円
【Bランク】 毎月500万円 年間6000万円
【Aランク】 毎月1000万円 年間1億2000万円
【Sランク】 毎月2000万円 年間2億4000万円
商業ギルドは、準公務員みたいな感じらしく、商業ギルドに納税された分は領主の懐へと入るみたい。
そのため、高ランクの商人は優遇されるらしい。
お金の力ってやつだね。
商人は、収納魔法に似ている、マジックバッグと言われる品、荷物を積んで他の街に行ったりして商売をする馬車、そして店舗などを持つのが主流みたい。
2店舗以上店を持つと○○商会と名乗って良いようだ。
Fランクの商人は、店を持っていることが少ないため、商業ギルドに売りに来ることが多いらしい。
そのため、ショインさんは俺に聞いてきたのだろう。
「えっと、でしたら、こちらを」
日用品と書いたので、タオルとハンカチ、青りんごの香りの香水を出してみることにした。
売れなくても困らない。
俺が使うから。
とりあえずテーブルの上に並べた。
「これは布でしょうか?それと、こちらは、香水でしょうか?」
ショインさんはテーブルに並べられた3つの品を見て驚いているようだ。
タオルとハンカチのことを布と指差し、青りんごの香水を香水という。
「えっと、そちらの2つの布はタオルとハンカチです。モフっとしている布は、タオルと言いまして水浴びやお風呂、顔を洗った後などに拭いたりする品です。そして、タオルよりも薄い品はハンカチと言って、汗を拭いたり、手を洗った時などに拭いたりして使います。そして、最後の香水は行使であっています。青りんごの香りがします」
青りんごあるよね?
シェリー様は、植物とかは、地球と似たものがあると言っていた。
そのようにベースとして世界を作ったみたい。
呼び名は違うかもしれないとは言っていた。
「触ってもよろしいでしょうか?」
「はい」
わざわざ、許可をとるショインさん。
それが普通なのだろうか?
「これは素晴らしい」
「お待たせしました。あっ!!」
『素晴らしい』というショインさん。
トレーに乗せて紅茶を運んできていた女の子が『あっ』と言って転ぶ。
商業ギルドには喫茶店がテナント店舗として入っていて、茶葉の品質を知る為に、試しに紅茶を頼んでおいた。