プロローグ
俺、田中雄太は普通の高校生活を送っていた。
時間停止能力を持っていること以外は・・・
ただ、時間停止能力を持っているといっても悪用することはなかった。使った時は家に忘れ物をしたり
睡眠不足の時やテストの前の一夜漬けの時ぐらいでくだらない内容で使っていた。
なぜ悪用しなかったのかは人間として使ってはダメだと思っていたから。
そんな普通な男子高校生だった俺は、学校で授業を受けている際突然気を失った。
何時間たっただろうか。朝目が覚めた時のだるさと共に目が覚める。
「やっと気が付きましたか?」
身に思えの無い声が聞こえる。
あたりを見渡してみると白い部屋の中に俺がいるだけ、声の主は見当たらない。
「私を探しても見つかりませんよ、人間に姿を見せることは禁じられているのです」
「人間にって、お前は人間じゃないのか?」
「えぇ、私は女神です。時間がないので簡単に説明します。あなたは時間停止能力の使い過ぎで
死にました。老衰です」
「老衰ってお前、俺は高校生だぞ、なんで老衰なんだよ」
「時間停止中もあなたは動けたでしょう?あなただけ時間が進んでいたのです。あなたは寝るとき時間を
停止させ丸1日寝ていたり、忘れ物を取りに行く度にゲームをして学校に行ったりしていましたね
なので老衰なのです。見た目はかわいそうなのでそのままにしてあげましたが体の機能は徐々に
衰えていました。さて、あなたを異世界で生き返らせてあげます。今までの生活から考えると
とても耐えられないでしょう。
なので、3つスキルを上げましょう希望通りのスキルにしましょう」
「いろいろ話がぶっ飛んでいるが、まぁ欲しいとしたらやっぱり
時間停止能力だよな
あと老衰しないように時間停止中は不老能力それも仲間もかかるバフがいい
3つ目は、最強の回復魔法かな」
「時間停止で死んだというのに懲りない人ですね。いいでしょうその3つを上げます。
転移はランダムなのでご了承ください。それが戦場の中心だとしても・・・」
また、目の前が真っ白になり気絶する。
草のにおいととともに目が覚める、目の前に現れたのは見渡す限りの草原だ
「ランダムとは言っていたが草原だとはな、服装は高校の制服のままみたいだな
鞄の中に財布と携帯があったんだが、まぁ使えないだろうしいいか」
現状を整理するため独り言をいいながらしばらく歩いていると大勢の掛け声と鳴き声が聞こえてくる
目の前に出てきた崖を見渡すと崖の下でモンスターと鎧を着た兵士らしき人たちが争っていた。
「戦争か?二つの勢力があるが人間が劣勢みたいだ、もし加勢するとしたら人間側か、
まぁただの高校生だった俺が戦えるわけがないんだが、時間停止を使えば何とかなるかもしれない
とりあえず、時間を止めて近づいてみるか、行くまでに全滅してても困るし」
先ほどのうるささが嘘かのように静まり返る。崖を迂回して人間側に近づき後ろのほうで指揮を
とっている人に声をかける。
「今どういう状況ですか?」
当たり障りのないよう警護で話しかけて見て気づいたんだが言葉は通じるのだろうか
「誰だお前は民間人は早く街に戻っていろ!」
「すいません、旅人でして街はどちらの方向ですか?
あと、少しは戦えると思うんですができることないですか?」
「そうか旅人か、今は少し劣勢なのだ、できるなら力を借りたいが
武器は何を使うんだ?」
まぁ話の流れで戦うことになってしまったが自分の実力を試すにはいい機会だろう
敵もヒト型じゃないしモンスターだ、VRゲームだと思おう。
「武器は、自分で用意しますので大丈夫です」
そう言って時間停止を使う
最前線の戦死した兵士の使っていた剣を拾い上げモンスターの喉に突き刺していく
ついでに回復魔法の威力も確かめよう。
手足がない人や重症の人を優先し治れと念じると元に戻っていく
「これ、人前で見せたらヤバイんじゃないか?」
まぁやってしまったことは仕方ないモンスター全部に剣が刺さっていることを確認し
時間停止を解除する。モンスターがバタバタと倒れていき数匹生き残ってしまったが兵士がとどめを刺しているので時期終わるだろう。
戦場だったところでうろうろしていると、兵士に声を掛けられる
「兵士長が呼んでいます。ついてきてください」
言われるがままついていくと兵士長が腕を組んで待っていた。
「加勢してくれてありがとう、どうやったのかわからないが君がやったのだろう?
これで街は滅亡しなくてすむ。この謝礼については私が保証しよう
一緒に馬車に乗って町へ行くか?場所わからないんだろう?」
「ぜひ乗せていってください!」
兵士の人たちと一緒に馬車に乗り街へと向かった