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パンドラキーズ  作者: やマシン?
黒と白の国
8/11

斧と日本刀の救い

においは進むごとに香りを強くする。それは強制的に行われる現実。進む事に焼け焦げたようなにおいも混じるようになってきた。


 景色は変わらない。いや…これは?


 誰かの手が見える。


 木の後ろ。


 誰かが。いや、誰かの手は確実にある。


 横の警戒は解かず。後ろの音にも注意して確実に近づいていく。イツキがいる事は後ろに感触があることで知る。草木を踏む音は、自分とイツキをのぞいて聞こえてこない。


 踏みしめる地面に力が入る。傍に近づき、最初に見えたのは…頭だ。色は黒。


 よく見ると。見たことがあるような印象がある。


 そう言えば、演説していた将軍のような人。その人であった。あのようなたいそうな演説をしてこのざまですか。とは言わないでおこう。この人もそれなりには頑張ったんだな。ナムナム…と。


 しかし妙だ。


 この将軍の傷あとは、どう見ても何かに貫かれた後。しかも細い…銃弾のようなもので撃たれたような感じだ。鎧は刃物に切られたように刀傷がある。つまり、そのような道具をもった何者かと戦っていたという事だ。


 演説の内容だと、盗賊の退治をしにここまで来たという事だが、実は別な目的があった?なんのだ?


 町が目的なのはあり得ない。


 こいつらの言っていることは黒髪至上主義と呼べるような考え方だ、村の半数が黒髪なのにもかかわらず、なぜ武力を向ける?


 輸送?


 それもあり得ない。


 周りには彼みたいな死体が数人ほど転がっているが、荷車のような類は見つかっていない。しかもあの演説でこれはないだろ。あんなたいそうなことして、実は輸送でしたとかだったらほんとに笑える。





 「また…ですか…」


 


 イツキは何か知っているのか?


 しかし、イツキの口から言わせるのは酷か?震えているしな。こればかりはタッキー…じゃない。センセー…でもない。町長に聞くしかないだろ。事情知ってそうだからな。


 この先はあの広場か。


 そう思い、後ろを見た瞬間。


 そいつと目が合った。


 反射的に銃を向け、後ろで真っ先に食われそうになったイツキを引く。バランスを崩した五樹は俺の胸に倒れてちょうど収まる。次は俺の頭とでも思ったんだろう。大きく口を開き、俺を食おうとするが…


 バン


 その前にごちそうが待っていた。


 ゆっくりと落ちてそいつも俺に寄りかかる。重い。耐きれずにドミノ倒しのように、後ろに寄りかかってしまう。その結果、サンドイッチのハムとレタスのように俺とイツキは挟まれてしまった。


 「無事か?」


 「ハイ…」


 全く。なぜ気づかなかった?


 …注意不足なだけだな…。


 重荷をどかしイツキを立たせ、よっこらせとついでに立つ。


 そして、前に進んだんだ。






 進む事に鉄の匂いは強くなり、あたりの死体も増えていく。 


 黒髪ばかりの死体に、白髪も少しずつだが混じるようになっていき、その傷跡も、様々な種類に増えていく。


 山賊に食われたのであろう傷跡。魔法で焼かれたのであろう傷跡。そして盗賊に食われた後。


 その手に持つ武器の種類も見えてくる。


 杖に火縄銃のようなもの。剣に斧に様々な武器。それが死体の横でただただ沈黙している。ひどい光景だ。





 つまり、黒と白の戦いがあった。


 この場所で。


 しかし、なぜだ?


 相手の国に攻めるという構図であれば、このようなところに死体があるはずはない。白の国の近くが戦場になるはずだ。森のなかの戦闘になるはずはない。もし敗走して逃げた…という感じか?それだと将軍があそこにいた理由もわかるが…しかし、山賊の次とアイツは言っていた。有言実行しなかったのか?





考えていても仕方ない。


 俺たちの目的は無事に帰る事だけだ。寄り道と余計な思考は必要はない。その夜軽易な思考のせいで先ほど危ない目にあったんじゃないか。だから考えることはやめにして進もう。





 平地を出て森に入った瞬間。


 なんかいっぱいいた。


 それは白の国の軍隊でもなく、黒の国の軍隊でもない。


 山賊だった。






 「後ろを警戒して。」


 


 五樹のそれだけ言い。山賊の群れを警戒しながら観察する。奴らはこちらに気づいたのか、どんどんどんどん歩きながら近づいてくる。まだ走る気配はない。ただゆっくりと、確実に近づいてくる。その数は数十、いや百。団体様でこちらに向かってくる。


 状況によって、構えたものの安心感は違うようだ。


 この拳銃にあった安心感はこの人数では無駄のように見える。集団戦は最低でも二人だったのに…


 追いかけっこが始まったのは


 最初の山賊が蹴る音からだった。






 迫る木はもう気にしない。それが慣れというものなのか、足は的確な場所に土を踏み、思考はどこに行けばこちらが歩きやすく、どう行けば撒きやすいかどうかを判断してくれる。イツキが転ばない事を祈ることと、早く撒ける事だけは神様に祈っておきたい。神様がいるのであればだが。


 


 「ハッ…ハッ…っつ!!」





 呼吸音だけが耳に聞こえる。振り向き数を減らすという作業もかんがえたが、正直そんな体力を減らす余裕はない。走ることに全力を尽くす。それだけだ。


それから少し経った後。


 滝をとおり抜け、別な広場に入る前だ。


 腹が痛くなった。全力で走った時のあの痛みだ。それにより少しスピードが落ち、イツキがこちらを見るが、すまないこればかりはしょうがない。


 先頭の一人が襲い掛かるが、避けた行為の先にある木の餌食になる。それ以外の奴はまだ健在だ。


 この広場を抜け、谷を添っていけば町の入り口のあの滝に行く。そこまで行けば…







 「まだ行くなよ。」


 


 二人組が逃走者になり、追跡者が複数という構図になったのは、黒と白と灰色の戦いが終わって、一時間ほど経ってからの事であった。森を走る二人の少年少女に追いつこうとする成人男性。しかも半裸。どんなエロゲーかな?





 「さすがにここだとあけpも早いね。しかも、それに気づいていない感じだし。ほんと余計なことを考えるからダメなんだよ。」


 「ほんとに合鍵なんだな。イツキと同じ、似た者同士というわけか。」


 「セーフティーでは鍵の力が使えないからね。それに運動能力も著しく低下するし。文化部でもそれなりには早くなるさ。」


 「カギは…使っているみたいだな。飛び道具か?」


 「あれは銃っていう道具で、ほら、彼女も使っていた。」


 「あれか。確かに似ているが、なんか小さくないか?」


 「だって彼女が使っていたのは、ライフルっていう種類の銃だもん。まあカギに種類もくそもないけどね。ねえ町長。パンドラ様の言葉。覚えている?」


 「箱庭にパンドラの箱を置き、それを開けることによって願いをかなえる。諸君は鍵であり箱だ。鍵に合った箱を開ければ願いをかなえよう。しかし、鍵に合わなかった場合。箱が開けられた場合。は諸君らは死ぬことになる…だったか?」


 「一言一句その通り。そこからこんなことが始まった。あそこではない、見知らぬ場所に来てね。」


 「死んだのか?」


 「誰がだい?」


 「願いをかなえたんだろ?誰を殺した。」


 「…言えない。」


 「あの声を聞いたあとか?」


 「…まあ…ね。だから願いを言えた。見つけることができた。」





 昔の話はこりごりなんだけどな。


 あの感触を思い出しちゃう。吸い込まれるように入って…





 「俺の合鍵は、まだ力を出せない…が、状況が追い込まれればチャンスがあるかもしれん。手伝えよ。」


 「それは、あの子のためかい?」





 「…ああ。


     …イツキのためだ。」














 「イツキ!走れ!」


 大きな声で言って五樹を前に。


 平地であるから隠れるようなものなど何もない。いや、ポットはあるが、あそこに隠れても意味はない。それならば、腹痛の俺はここで食い止め、イツキは走って逃げたほうがいい。効率がいい。


 どんどん向かってくる山賊たちに、銃を向け、先頭の一匹の足に狙いを絞って撃つ。


 バランスを崩したのか、5~6匹一緒に坂道を下って行った。ドミノのように…しかしすぐに別な奴らが向かってくる。


 後ろを見るとイツキは止まっていた。


 「何してる!走れ!」


 大声でそう怒鳴るが、イツキは走るどころか歩きもしない。相変わらず、奴らは走って向かってくる。





 「でも…」


 「はやくしろ!」


 


 でも、の後の何かを言う前にそう声を荒げた。後ろを見る余裕はない。向かってくる山賊たちの足を中心にうちつづけ、できる限りまとめて倒せるようにする。後ろの足音は、躊躇はしながらも、だんだんと遠くに行ってくれた。


 さすがに、もう山賊はいないだろ。俺の目の前にこんなにいるんだから。


 ダン!


 8発目。


 だんだんとこいつが軽くなっているのが少しだが分かる。つまり玉切れはそろそろ。


 ダン!


 9発目。


 そろそろ潮時か。こいつらをどこで撒くかという難点があるが、その点は…後でだ。


 腹は、突っ立っているうちに少しだけだが回復した。逃げ切れるかは分からないが、走ることは出来る。


 ダン!


 10発目


 平地に来てまで俺を食おうとする奴の眉間に入れる。そいつはゆっくり倒れ、ほかの奴の邪魔になり、一緒に倒れる。


 ダン!


 11発目


 その山を通り過ぎ、向かおうとする輩に向かって撃ち、その行動を意味の無いようにする。それでも這い上がろうとして、俺に向かってくる輩がいる。それにしてもゾンビのようだ。どれだけ腹が減っているんだ。そこら辺の死骸でも食っていろよ!おとなしくさ!


 ダン!


 12発目


 山から出ようとした奴を死体にする。足を打たれて埋もれた奴は、死んでいるように動かない。当たれば死ぬのか?


 そしてだんだん腕が痛くなってきた。反動を逃がすために曲げたりしているのだがそれでも痛い。そして肩も痛い。


 ダン!


 13発目


 そろそろ大丈夫かと後ろを見るが、イツキはいなくなっていた。これだけ倒していれば大丈夫だろう。


 もう少し、減らすか。


 痛む両手をぶるんとさせ…


 構えなおした。


 








 「ハッ…はッはッ…」


 ほんとに任せてよかったのか。


 あの状況での凜さんの判断は、本当に正しいのか。いや、そんなことよりも早く町長を連れてこなければ。凛さんが殺される。


 あんな化け物を殺すことができる凜さんはすごい。本物の特別な人だ。村長と同じ、この世界ではない特別な人。私と同じ名前の五樹さんもそう。この世界における特別。そう考えると私は特別ではあるが、ほんとに特別なのだろうか?


 早く。


 そう足をせかすが、思い通りに動いてくれない。


 呼吸が、胸が、足が疲れる。


 走りたくないと体が言っている。しかし走らなければ凜さんが危ない。足を止めることは絶対にしてはいけない、しかし…


 「あ」


 足を取られた。


 そこからは何か時間が遅く…私は…転んだ。


 


 筋肉が痛い。


 治ったはずの切られた傷が痛い。


 治ったはずの焼かれた腕が痛い。


 何で痛い?そんなのは決まっている。私に自分を守るだけの力がないから。だから怪我をする。痛みを感じる。


 立とうと全身に力を入れる。幸いにして立つことはできた。しかし私はフラフラで、歩くことしかできない。しかもそのたびに痛みを感じる。


 「あ」


 目の前。


 先ほど逃げていたはずのアイツがいる。


 あれで全部ではなかった?もっといた?


 さまざまな疑問が頭の中で自問自答されていく。しかし明確な答えが出ない。ただ一つだけ、私はここで死ぬ。これだけが結論に達して…


 笑った顔が近ずく。


  思わず後ろに下がり、そして転ぶ。


  そしてそいつは…転んだ私の頭を…


 






 14発目


 これでほとんどが死んでくれたらいいんだが、その通りにはならない。撃たれた奴以外はみんなぴんぴんし、ごちそうである俺に向かって這いずってくる。ホラゲーかよ!


 突っ込みどころに困らない事はいいことなのか?


 いや、今の状況はいいことではない。つまり突っ込みどころが多い事はいいことではない。そしてボケているのは相方でも、友人でもない。ただの変態だ。


 走りだそうと後ろに下がろうとした…が。急に走り出した先頭の一匹が俺にのしかかり、俺の頭を…する前に銃口を口に入れ何とか食われないようにする。そしてくらえ。


 ダン!


 その瞬間。


 拳銃が消えた。


 その瞬間、疲れが体にのしかかる。しかも俺は倒れて…この状況はやばい。


 倒れた盗賊から何とか抜け出し、何とか走り出す。後ろを向いている暇はないが、たくさんの足音がこちらに向かって走り出しているのは聞ける。腹痛は治った。しかし、疲れが。異様な疲れが俺の体を襲っている。これはまずい。


 地面を蹴る足に、力が入らない。


 後ろを振り返ると、あいつらはすごい速度で俺に向かってきて、追いつかれそうになる。たまらず先頭の足を撃とうと銃を出現させ狙った時…バランスを崩した。転んだ。


 おれのみに起こった不幸はそれだけだった。


 しかし、不幸は。確実性のある不幸は、これで終わらなかった。


 彼らが近ずいてくる。


 それでも足を崩し、どうにかしようと奮闘し…


 そして…







 火の玉が降ってきた。





慣れが多いほど驚きはない

 マンネリ化するほど世界は楽しめない

 しかし、マンネリ化しなければ

 世界を保つことはできないんだ


 次回 パンドラキーズ


 二番


 それは、僕の大切な名前


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