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魔法少女…?  作者: 慧瑠
対車
14/25

ラブでプリティなドリームを

「け…け、賢悟?」


「正義!俺も戦うぞ!」


「お、おう?うっぷッ!」


口元を抑えた正義は、背後から振り下ろされた触手を空いていた手で掴み、そのまま地面に突き立てると電柱に見立て嘔吐。

しかし、嘔吐して出て来るモノもキラキラと謎の光が覆い、正義の口からはキラキラした滝が逆流している様にしか見えない…。


「大丈夫か!相手は、毒も使ってくるのか!」


「rrrrい…や…ちょっとrrrrお前の姿がフーフーきっつい」


途中、宝石の滝を逆流させながら、口端から漏れたソレを指で拭いながら正義は俺を見ようともしない。


いや、分かってん。かなり汚い絵面になってることぐらい。

ただな正義、考えても見ろ。

俺はお前と同じになったんだ。つまり、お前が元はこうだったんだぞ。


フリフリとピッチピチフリフリなおっさんが二人。


「…正義、後でゆっくり話そう」


「ふぅ…俺も聞きたい事があるが…とりあえずは、コイツ等を片付けるぞ」


呼吸が落ち着いた正義は、ピチフリなおっさん二人に恐れと戸惑いで攻撃をしてこなかったであろう敵を見据える。

俺も正義と背中合わせになり、改めて敵を見た。


バイクと車それぞれの車体に中々に鍛えられた足が生え、個々で無数の触手を蠢かしている。

サイズはバラバラ。でかいのも居ればちいせぇのも居る。

今んとこ一番でけぇのは、最初に突っ込んできた車型か。


「奴等の動き、見えるか?

見えないなら、敏捷に振っとけ。振る分が無かったら俺のとっておきで振れる様にしてやる。

言ってる意味、わかるだろ?」


背中から正義が言ってくる。

もちろん理解してるさ。


敵から目を逸らさずに、変身用スマホを手に呼び出しポイントの確認をする。

すると、一通のメールが届いている事に気付き、それを開くと…


~~

友の為に、過酷な運命を受け入れた汝に敬意を評し、褒美を送ろう。

~~


その文字と共に、ポイントが追加されていた。


「なんか、ポイントが送られてきおった」


「程度は」


「500」


「十分。

どうせ、熟練度なんかレベルなんかで全部振れないだろうから、目が追いつかねぇなら敏捷に振れるだけ振っとけ」


「ふむ。つまり、この速度に対応できるなら振らんでもいいと」


どうするか。と悩んでいると、しびれを切らした敵が触手を振り回しながら取っこんでくる。

直線的な移動。振り下ろした触手は、確かに目で追うには些か速いが…対応するのならば目だけで追う必要は無い!


「甘いわッ!」


「おせぇよ」


見ずとも正義が問題ないのは先程の戦いで知っている。

今は、自分に集中。

振り下ろされた触手の動きは目で追う事はできないが、風を割く音から来る方向は分かる。

距離が縮まれば、肌を撫でる風が厚くなる事も感じる。

ならば、後は己の肉体に任せ迎え撃つ!


振る項目は決まった。

筋力 耐久


意思一つで直接スマホに振れずとも操作はできるらしい。

急速に減る余りポイントと伸びる筋力と耐久のグラフ。

その事を確認している暇が無くなった俺は、後はできていることを信じて向かってくる触手に向け裏拳を放った。


軽い破裂音と共に、俺に振り下ろされていた触手は弾け飛ぶ。

変身した後のステータスは凄まじいな。本来でもこんなに力が出るとは思わなかった。


思った以上の結果に自然と口角が上がってしまう。


「変態衣装のムキムキなおっさんが、ニヤつくとか事案ものだぞ」


「なら同罪だな」


数体分の触手を全て弾き流し地面に突き立て敵の行動を封じた正義が、ニヤついた顔で敵の上から見ていた。


「敏捷には振らなかったんだな」


「筋力と耐久に振った」


「筋肉装甲を硬くしたか…」


「長所は伸ばさんとなぁ」


腕に力を込めれば、筋肉が喜んでいるのが分かる。

心なしか、いつもより美しく輝いている様にも見えてくるな。


「賢悟」


「ふんっ!」


正義の言葉に反応して左肩を前で突き出し、ショルダータックルの構えで力を込める。

そして、正面から突っ込んできていた車型の敵を正面衝突。

衝撃は身体に走るが、俺の足はピクリとも動かず、その間に溜めた右拳を正義の拳で凹んだボンネットに叩き込んだ。


その衝撃でめり込んだ前方。法則に従い車体は垂直になろうとした所に正義の蹴りが追撃として決まり、車体は廃車同然の有様へとなる。


その時、俺の脳内で一つの言葉が浮かんだ。


なるほど…ある一定以上ダメージを与えると浄化ができるのか。


「汝に愛を!夢は希望に!らぶでぷりてぃなどりーむを届けよう!'浄化昇天'」


俺の言葉に呼応する様に拳が輝く。


輝く拳を廃車に叩き込む。

すると、巨大な車体は光となり天へと登っていった。


これが俺達が与えられた使命。それを遂行する力。


「…いちいち言わなくても、思うだけで一応浄化できるぞ」


「初めては技名を言うのが礼儀と言うものだろう。

後は、気分と気合の問題だ」


「一瞬なるほどと、謎理論に納得しそうになった」

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