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魔法少女…?  作者: 慧瑠
対車
10/25

出社

「’戦国は世紀末で時は逆さで止まる’?変わった番組だな」

「それ、最近学校の男子に人気のアニメだよ」

「へぇ、どんな内容なんだ?」

「えっとね、ニートだった高校生男子の主人公が戦国時代に飛ばされて、核兵器をぶっ放しちゃったら世界が世紀末状態に、主人公は罰としてオリオン座の傷を背中に刻まれちゃうんだけど、その傷は実は特殊な能力を秘めてて、逆立ちしている間は時間が止められるんだよ。

だけど、主人公は片腕を失って逆立ちができなくなって、力を取り戻す為に自分に合う義手を探す旅に出るって内容。

能力にも制限があって、壁を使ったり誰かの手を借りたりして逆立ちしてもダメ、自力で逆立ちしないといけないらしいよ」

「なんか、凄まじくゴチャッとしたアニメだな。

最近のは分からんなぁ」


-正義と智佳- テレビ欄を見たら…

その日の朝、智佳の話しを聞きながら朝食を取り、智佳を見送った後は、結菜から渡された帰りに買ってきて欲しい物が書かれたメモを見て晩御飯を当てて見たりと時間を過ごし、8時前になった所で会社へと向かった。



「おはよう」


「「「おはようございます!」」」


「おはようございます代理。

出社早々で申し訳ありませんが、広報部の広瀬ひろせさんから新人研修教育プログラムのマニュアルについて見直しの要望が来ています」


会社に着き、自分の部署へと移動し挨拶をすると、先に出社していた部下から挨拶が返って来た。

自分のデスクに着くと、もう五年程の付き合いとなる部下の倉見くらみが報告をしてくる。


「またか…先月見直して修正したばかりだろう」


「それも広瀬さんにお伝えしましたが、これでは育たん見直せと…先月修正後のマニュアルで既に研修中で四人が辞めていますから、広瀬さんもピリピリしていましたよ」


「そういや報告来てたな…。

面接時の採用とフォロー担当誰が出たっけ」


「四人とも私が担当しました」


倉見が担当したなら、ハズレを引いた訳でも無いだろう。

仮に引いていたとしても四人もとは考え難い。

彼女は、観察眼にも優れているし他の点でも非常に優秀な部下だ。となれば、マニュアルに問題があるか…本当に全員ハズレの根性無しだったか、広報部自体の問題か。


どれにしろこちら側の問題だと言い張ってくるだろうなぁ。


「ま、分かった。もう一度見直しをしてみよう。

広瀬部長には俺から言っておくから、他には何かあったか?」


「生産管理部の藤堂とうどうさんが、新商品の算段と試作品が出来たとの事で発表したいから日程の調整をと連絡が来ています」


「部下使わずに工場長が直接?珍しいな」


「日程を決めてくれたら、自分も発案者と一緒に発表したいとの事でした。

相当、今度の商品は気に入っているみたいでしたよ」


「みたいだな。

設計も兼任してるってのに藤堂さんは根っからの理系と言うかなんと言うか…良く働くよ。

とりあえず、日程の調整は倉見に任せても平気か?」


古賀こが君と一緒にやっておきます」


「それじゃ、それで頼む。

一応決まりそうだったら教えてくれ」


「はい」


とまぁ、こんな感じで報告から仕事が始まる。

うちの部長は、どんなコネを使ったのか常務取締役に昇格してしまい、たまたま仲の良かった俺に部長の白羽の矢が立った。それが10年前。

未だに代理と呼ばれ自称している理由は、その常務取締が俺の事を今でも代理代理と呼ぶので何時の間にか定着してしまった。

俺も会議の時とか。もはや癖で代理と言いそうになる始末だ。


置かれていた書類に目を通せば、人事異動の書類や昇給報告の書類が。


ん?この昇給書類、経理通してないじゃん。これも連絡しなきゃいかんなぁ。


「あ、そう言えば代理。

走る車の噂知ってます?」


「んー?あぁ、一昨日ニュースで見たぞ」


そう声を掛けてきたのは、ホワイトボードで各部署のスケジュールを確認していた古賀だ。


「あー、私も見ましたよ―」


と、俺の後に会話に混ざってくるのは新人の伏水ふせみ

他の部下から聞くに、何やら二人は付き合っているそうだ。

社内恋愛は禁止されていない。なんせ、社長が社内恋愛で結婚してるからな。

古賀め、俺に声を掛けた癖に伏水と盛り上がるとは、いい度胸してるなコイツ。


そんな感じで基本、私語を禁止してないし仕事さえ終わらせきるならのスタンスな俺が部長な為か部署内では会話が絶える事があまり無い。

煩くなりすぎれば、もちろん注意はする程度だ。


外では、皆しっかりしてくれるし、署内の噂を聞いた広瀬部長が文句を言ってきた事もあるが、やる事はやってるし部下も働きやすいと言ってくれる為にスタンスを変えるきもない。

皆、本当に外ではピリッとキリッとするもんだから俺の方が戸惑うぐらいだ。


「それにしても、広瀬部長からのどうするかな…。

正直、先月の今月でマニュアル変更とか、向こうが困ると思うんだが。一度、見に行った方が早い気もするなぁ」


「私が行ってきましょうか?」


積まれていた書類が半分程に減った辺りで、倉見から報告があった広報部の書類を見る。

変更したばかりなのにと悩んでいると、独り言が漏れていたのだろう。お茶を持ってきてくれた子が言ってきた。


「見てくるって?」


「私が、広報部に潜入捜査に!ほら、私まだ新人ですし広報部とか別の部署の方にはあんまり知られてないじゃないですか」


何故か目を輝かせながら言ってくる。彼女は、半年前に入ったばかりの三木みき

伏水の知り合いで、どうですか?と伏水に言われ倉見と面接して取った子だ。


潜入捜査という単語でウキウキしているのか、ものっそい見てくる。


「あー…うーん」


「いいんじゃないんですか?三木ちゃんを広報部に送っても。

正直、広報部の内情を知らないのが今の一番の問題かと」


どうやら倉見も賛成の様だ。隣では三木も頷いているし、頼んでみるかな。

常務取締を通せば、上は通るだろうし。


「なら、三木には広報部に行ってもらう。

本来なら、三ヶ月掛ける研修期間だが、ある程度こちらで教えた上で一月ひとつきの研修として広瀬部長と話してみる。

改善点を上げるためと言えば、嫌々でも承諾してくれるだろう」


「ふふふ…任せてくださいよ!稀月代理!

この三木みき 穂香ほのか、バシッと潜入捜査してきます!」


なんか、すごいヤル気だな。

あー、伏水から刑事ドラマとかアニメとか好きって言ってたから、潜入捜査ってのでウキウキしてるのか。


「一先ずは広瀬部長と話しを終えてからな。

大変だと思うが、頼む」


「はい!」


元気よく返事をした三木がスキップ気味で離れていく様子を横目に、三木を送り込む為の報告書を作成しようとした所で、俺の携帯が鳴った。


携帯が鳴るなんて珍しい。結菜が何か書き忘れたのだろうか。


「マジか…」


届いたメールを確認すると、賢悟からだった。

その内容は、走る車の目撃情報のまとめで、一昨日より前にも目撃情報はあったらしく、先日の事故で初めてニュースに取り上げられたとの事。

そして、その走る車は今も目撃情報が報告され、昨日の目撃情報は隣町だったらしい。


つまり、今この周辺に来ている可能性がある。そうなれば、人的被害が出る前に処理しておきたい。

智佳や結菜が巻き込まれては一大事だからな。


俺は賢悟からの報告を見終えると、窓の外を見た。


まぁ、そんなタイミング良く現れる事はなく、至って普通だ。


三木が淹れてくれたお茶を飲みながら一息つくと、再度携帯が鳴る。また賢悟からだ。


「は?」


その声に、近くに居た古賀や倉見がこちらを見るが、それよりもメールの内容だ。

届いた内容は至ってシンプル。


『鉄弥が走る車に攫われた』

重要人物の予定は無いですが、私が忘れないように…



広瀬ひろせ 浩二こうじ 広報部部長

藤堂とうどう みつる 工場長兼設計部長


人事部

倉見くらみ 百合ゆり

古賀こが 水樹みずき

伏水ふせみ はな

三木みき 穂香ほのか

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