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プロローグ

 凄く眠い。

 もうすでに夜になっているから寝てしまえばいい。そう、寝てしまえばいいのだがしかし、明日は休みなのだ。だからこそ、せっかくの休みの夜に寝てしまう等勿体無いと思えてしまう。

 手元のコントローラーを操作しつつも、欠伸がさっきから止まらない。

「明け方までゲームし過ぎた所為だな……」

 昨日発売されたゲームを学校が終わった後に一目散にゲームを買いに走った。その時から間違えてしまったのかもしれない。

 ゲーム情報は公式サイトをチェックした。ARPGだったが、チェックした限りあまりシナリオが長くないと踏んでいた。その上システムも多くないと踏んでいた。

 見誤った。

 物語の導入こそコンパクトに話が纏められていた。しかし、操作可能になってからは話が見る見る内に大きくなっていた。唖然としながらも、適当にキャラクターを操作していれば話が進んでいってしまう。だからか、気が付いた時には明け方で、でもゲームは止める事ができず、結局学校に行く前までゲームをやり続けてしまっていた。

 おかげで授業は今日受けた授業のほとんどは寝ていた。そして、帰ってきたかと思えば、即座にゲームを始めていた訳だったが、ちゃんと眠れてない事もあって時々意識が飛んでしまっていて思うようにゲームが進められなかった。

「止めようかな」

 そう呟きつつ、時計を見るとまだ八時を過ぎた所だった。

「もったいなさ過ぎる……」

 一先ず、ゲームはセーブして止めた。意地になってゲームをしても楽しめる気が一切しないのだから仕方が無い。しかし、まだ寝るには時間が早過ぎるので自分の部屋からノソノソと出た。

 リビングまで歩いていく途中で今帰ってきたのか海が玄関に居た。

「おう、おかえり」

「ただいま」

 そして、ふわぁーと欠伸が出た。眠気は思いの他取れないらしい。

「随分眠そうなんだね?」

「昨日出たゲーム深夜までやってたからなー」

 また、欠伸が出た。やばい、本格的に眠い。

 海に目をやると呆れ顔でこっちを見ていた。

「はぁ、お兄ちゃんもある程度分別持ってゲームしなよ。そんな事やってたらいつか身体壊すよ」

「こんなのゲーム買って来た時くらいしかないから問題ないよ」

「そんな事言いながら、この前も夜更かししてたじゃん。声漏れてたよ」

「どうしてそれをお前が知ってるんだよ」

「うぐぅ!」

 どうやら図星だったようだ。ばつが悪い様な顔をしたのは俺は見逃さなかった。

「夜更かしは肌の天敵だぞ?」

「良いもん!気にしてないから!」

 そう言いながら、そっぽを向いて玄関を上がった。

「うん?少しお疲れ模様?部活とかやってたっけ?」

 少し顔に疲れが見える。しかし、海が運動部に入ったという話は聞いていない。まぁ、入ったとしても言うつもりなんてないのかもしれないが。

「今日は日直だったの!今日に限ってなんかやる事あるし!」

 少し殺気立っていた。おそらく、面倒毎をおしつけられたのだろう。ご機嫌斜めな妹には触れずに放置が正しいのだが、あいにくもうすぐ母さんが飯を作り終えようとしていた。

「もうすぐ、飯だぞ」

「分かってる!」

 そういうと、洗面台の方に歩いていった。そんな態度にカチンと来ながらも何も言わずにいた。とにもかくにも、機嫌が悪い奴を変に刺激すると面倒臭いのだ。ずっとやっかまれるし、こっちのテンションも下がるし良い事が無い。

 ため息一つついて、リビングに向かった。台所をみると、もうすでに料理は終わっていた様だった。

「ああ、来たならご飯装って」

「はいよー」

 炊飯器を開けると、モクモクとした水蒸気が舞い上がった。

 ご飯は白い艶がおいしく炊き上がっている事を連想させた。しばらくすると、海もリビングに来たが未だ少し不機嫌顔だ。

 ご飯がテーブルに並んだ所で全員が掌を合わせた。

「「「いただきます」」」

 三人が同時にいつもの決まり文句を言った。親父は今日も仕事で遅い様だ。いつもお疲れ様である。

 しばらく食べていく内に眠気が襲ってきた。

「何左右に揺れてるのよ」

 母さんは訝しげに俺の方を見た。

「いや、ちょっと寝不足でさ」

「徹夜でゲームをしてた癖によく言うよ」

 海はこちらにベーと舌を出していた。余計な事を。

「そんな事してるのなら、ゲーム捨てるわよ」

「い、いや、それはご勘弁を。しないから!もうしないから!」

 そんな弁明をのたまいながらも、眠さは限界を迎えていた。そして、左に倒れそうになった時に急に激痛が走った。どうやら、海の頭に頭突きをしてしまった様だった。あまりの痛みに目を瞑ってしまった。

「大丈夫!?結構大きな音したけど!」

「う、うん、大丈夫……」

 ふと、いつもよりも声が高いような気がした。しかし、眠気がそろそろ限界だ。頭をぶつけたとて眠気が無くなる訳ではない。そろそろ、頭がボォーッとして何も考えられなくなってきた。

「もう!大地は早く寝なさい」

 そして母さんに言われた通り、目に映った俺を部屋に連れて行って、自分も眠っていた。

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