忘却
煮立ったようなあぶくが
しかし触れると冷たく
溢れ出しそうな水面が
靄をたたえうごめいて
燃え尽くしたような荒廃が
酷く優雅で哀しく
割れ落ちた文明の証が
無知の慟哭で風になり
紡ぎだした糸の苦しみが
あぶくを静かに燃やして
ついに溢れた水面の
魚をひとつ殺した
なんと愚かな夢だろう
眼の奥で育つ街のよう
朽ちた果てた影の残骸は
優雅さを確かに除かれ
破片に宿った文明は
哀しみを知で満たすという
なんと無邪気な夢だろう
手のひらに見る映画のよう
たとえ私が魚でも
こうして地べたで生きたであろう
心と一緒にここでこうして
たとえ私が鳥でも
こうして地べたで死んだであろう
心と一緒にここでこうして
無論私は人だから
こうして地べたで泣くよりほかない
心はいつかの場所に残して