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異世界生活4日目が来ない件  作者: リーハ 510
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2ループ目 ― 異世界ってどんなところ? ―

「よく来た、異次元の者よ。知りたいことは余がすべて教授してやるぞ」



すみませーん。僕、全然状況を理解できてないです。



目が覚めると僕は真っ白な空間にいた。

本当に真っ白。物は何もない。

人(?)は存在していたが。

そう、今まさに僕の目の前にいる10歳ぐらいの褐色の肌をした少女だ。



すその方が広がった白いワンピースを着ていて金色の王冠とイヤリングを付けている。少し恐怖を覚えるくらい整っている顔立ちと堂々とした態度もあいまって、どこか神々しく感じた。


いや、「神々しく」なんてものじゃなくて本当に神様なのかもしれない。

要するに只者ではなっかた。どう考えても。



「早く質問をするのだ、異次元の者よ」





「あの、あなたはどういったお立場でしょうか。神様ですか」

「その質問には答えることができない」



いきなり出鼻を挫かれた件。

すべて答えるとはなんだったのか。



「僕は元にいた世界に帰ることができますか」

「知らぬ。おぬしを召喚した主に訊くがよい」



すべて答えるとはなん(ry

あとショウカンってあの召喚ですか。



「もっと訊きたいことがあるだろう!ここはどこだとか!」

「この白い空間はどういった場所なんですか」

「貴様、余を愚弄するのか!貴様が召喚されたこの世界のことを訊くのだばか者!」



…………。



「私が召喚されたこの世界はどういった世界なんですか」

「ふむ良かろう。余が直々に話してやるから心して聴くのだぞ」



少女は満足そうに鼻を鳴らして腕を組んだ。



伝えられることが限られているなら相手に自由に質問させるべきではないと感じました。

なにはともあれ、威厳が薄れた神々しい少女はこの世界のことを説明してくれた。



どうやらこの次元は魔力を糧に魔術師や召喚師、魔族や魔物などが生きているハイファンタジーな次元らしい。

ハイファンタジーっていうのは僕の立場から言わせて貰えばの話だけどね。



で、その次元の中に世界が数多く存在していて、その世界の中でも僕が召喚された世界であるセフィラムは、魔力のバランスが奇跡的な配合でどの世界の生物も生きていくことができるそうだ。

自力では基本異世界に移動できないみたいだけど。


ちなみに他の世界だったら召喚はできないし、無理やり来させたら召喚された者はおそらく微粒子レベルで分解されるんだって。


それに大昔に偉大な召喚師がかけた大魔法のおかげで世界が違っても言葉が通じるらしい。

今も普通に喋ることができてるしね。



そういった理由で召喚師にとってセフィラムは能力が生かせる世界で、逆にセフィラムでしか確認されていない。



また魔術師や魔物は幼いころから安定した魔力の元で育っている分、他の世界と比べて強い事が多いらしい。

どのレベルで強いと言われるのか想像しにくいけど。



「魔力、魔力、まりょく。魔力ってなんですか」

「異次元の者に説明するのはめんどくs…いや難しいのだ。とにかく特別なエネルギーだと考えるのだ」



今本音が出ませんでした?



「僕って召喚師に召喚されたんですか」

「おそらく戦力になりそうも無いおぬしを召喚するつもりなど微塵も無かったと思うがな。何らかの原因で魔力を暴走させてしまったのだろう」



つまり僕がこんな目に遇ってるのって、そのうっかり召喚師さんのせいじゃないですかーヤダー。

戦力になりそうになくて悪かったね。おそらく弱いと思われるゴブリン(仮)にも負けた疑惑があるから言い返せないけど。あれって結局夢だったんだろうか。



僕がムスっとした顔をしていると、彼女は少女とは思えないような声でガハガハ笑って「不運だったな、異次元の者よ」と言いながら背中を叩いてきた。


人が大変な目に遇っているのに少女は上機嫌で、さらに完全に他人事といった態度である。

正直言ってしまうと腹が立つ。

しかしここで怒るほど僕は子供ではない。

冷静に、冷静に。



「まあ、おぬしをこの次元に呼んだ召喚師を頑張って探すと良いぞ」

「手がかりは何かありますか」

「莫大な魔力がある召喚師だぞ」



ん?



「莫大な魔力がある召喚師だと言っている」

「もう少し詳細な説明をお願いします」

「次元を超えた召喚できるぐらい莫大な魔力がある強い召喚師だ」

「…………」

「…………どうした?」



え、それだけ?



「実は余も詳しくは分からん」



それ困ります。





「ユウガオ様、そろそろです」

「うわぉう!」



背後からの突然声に驚いて振り返ると、あの無表情系メイドさんが立っていた。



「おおそうか。異世界の者よ、余を存分に楽しませておくれ!」

「急にどうしたんですか」

「召喚師を探すのだろう?」

「え、はい。」

「この空間にはいないぞ」

「まあそうでしょうね」



セフィラムって世界にしかいないそうですね。



「安心するがよい。おぬしは弱そうだから、魔物の目の前に下ろしたりはせんぞ」

「当たり前ですよね」

「一人で探すのだぞ。大丈夫だな」



全然大丈夫じゃないです。



ん?もしかしてこのまま異世界に飛ばされてしまう流れだったりする?

いやいや、まさかそんなことしないよね!

僕、ゴブリン(仮)にすら殺された疑惑があるんだけど。

このまま異世界に行くことになったら生きていく自信ないんだけど。

良心痛んじゃうでしょ。



「サオトメ、頼んだぞ」

「承知いたしました。ユウガオ様」



メイドさんが僕の腕をつかんできた。なにこのデジャヴ感。



―――これ飛ばされるな。



……こんな時こそ落ち着くべきだと僕は思うんだよね。

たとえ殺人生物がいるような異世界に前知識が乏しいまま行くことになってもさ。

冷静になることは大切だと思うんだ。



え、マズイかな?




僕の視界が白く塗りつぶされていく。

そのとき「ああ、言い忘れておった」とぼそりとつぶやいた少女の声が聞こえた。






「この次元、ループするぞ」




ちょっと待って。

次話から異世界で主人公が探検していきます。

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