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第81話:厄神様はかく射ちけり

えらく遅くなってしまいました。

試合形式を調べるのに意外と時間がかかった、ということでどうでしょう?


……さて、前回のあとがきに関してなのですが、どうやら自分の考えが想像以上にアホだったようで、読んでくださっている一部の作者様にかなりの不快感を与えてしまっていたようでした。

この場を借りてお詫び申し上げます。本当に申し訳ございませんでした。


5万人突破は本当に嬉しいことだったのですが、もちろん2万、3万、4万を突破していたことに気が付いた時も小躍りしたくなるほど嬉しかったので、今後とも見捨てずお付き合いしていただけるなら幸いです。


では、第81話をどうぞ。

 さて、ここで弓道の試合形式を簡単に説明しよう。

 的の大きさは100cm、要は1mで、それを60m離れた場所から射る。的に矢が当たりさえすれば真ん中に当たろうが矢が折れようがどうでもよく、実に分かりやすい。

 女子の場合、まず代表として4人がスタメンになる。

 そしてその4人を順に大前(おおまえ)弐的(にてき)落前(おちまえ)(おち)とし、4本1セットでそれぞれのチームが交互に弓を射っていく。

 具体的に言えば、Aチームの大前が4本射ち、Bチームの大前が4本射ち、次にAチームの弐的が4本射ち……となっていくわけである。

 そしてBチームの落まで射ち終わると一連の流れが終了し、これを3回行う。

 要は1人12回射ち、そのチームの合計命中数を争うのだ。終わり。

「あの、後半の説明がちょっと……」

「知らん。そんなことより碧海の試合を見るぞ」

 

 

 さて、そんなこんなで試合会場に到着した俺達は、観客はあちらと警備員によるまさかの別離を強要され、断腸の思いで観客席へと移動したのであった。

「なに? 試合前に一言かけることも出来ないわけ?」

「当たり前だ。関係者でもない奴らがホイホイ部屋を出入りしてたら集中できないだろ」

「くーっ! 袴姿の弓道部員を間近で見たかったー!!」

「同感だよまったく! どうだい黄泉君!? あとでこっそり覗きに行かないかい!?」

「せっかくだが遠慮しよう。俺自身はあまり袴に興味はない」

「あのー、そういうことを大声で話すとちょっと……」

「神楽さんたちはあちらで見ていてください。会場を出るまで私たちのグループに話しかけることを禁止します」

 ……同感だ。もちろん市原に。

 

 

「お、始まるみたいね」

「そうだな」

 碧海たちが試合会場に入ってきた。どうやら碧海は落、最後を務めるらしい。

「相手の高校は我が校の弓道部と代々争ってきた力の持ち主のようです。今回は碧海さんがいるので問題はないかと思われますが、油断はできません」

「へー。舞ちゃんずいぶん調べてあるんだな」

「興味があったので」

 となると、あとは他の3人か。よく見ると碧海をスカウトしたあの後輩も混じっていた。しかも大前(しょっぱな)

「大丈夫でしょうか……?」

「口だけじゃなければいいんだがな……」 

 

 

 1Rが終了し、試合は互角の展開を見せていた。

 相手校はなかなかの腕前で、全て命中させた奴こそ1人だったものの他が3本命中・同じく3本・そして2本命中であり、合計12中となった。

 対する我が弓道部も碧海は当然のように全部を的中させ、意外にも後輩が同じく4中、残る2人が惜しくも3本命中と2本命中。合計で13中であった。

 ちなみに4本全て命中したときは相手チームでも全員が拍手を送るのがマナーだそうだ。


 そして2R目。

 相手校の大前は4中。対するこちらは後輩が1本外して3中。

「あー、外しちゃったわねー」

「プレッシャーに負けたか?」

 ついで弐的、相手が3中、こちらも3中。

「ここで4中ならば流れを戻せたのだが」

「無茶言うな。維持できてるだけでも大したもんだろ」

 落前は相手が若干態勢を崩して2中、こちらは見事4中した。

「やりましたね」

「はっはっは! 我が校の辞書に敗北という言葉はないのだよ!」

 欠陥品だな。

 そして落。

 相手は態勢を立て直すことができなかったのか、最後の1本を外して3中に留まった。

「よし! 今じゃ、いけ! 力の差を見せつけてやるのじゃー!」

「た、玉藻さん、落ち着いてください。声が聞こえてしまいます」

「結局一番白熱してるし」

 碧海の番になった。

 静かに弓を引く。

 その姿はそのまま切り取れば超1級の絵画になりそうだった。

 そして、射る。

――ズダン!

 ……矢は、的の外側を貫いていた。

「…………」

「……あ、あれ?」

「な……なにをやっておるのじゃー! そこで外し――ムグゥ!?」

「落ち着け」

 碧海はとりたてて動揺している風もなく次の矢を構えていた。が。

「よくない兆候だな」

「……やっぱり、お前もそう思うか?」

 2射目。

 外した。

「……っ!」

 今度ははっきりと碧海の表情に変化が表れた。俺が今まで何度か見たあの表情だ。

「ふむ、どうやら彼女は的に何かを重ね始めているね!」

「はい? なんじゃそりゃ?」

「いやいや、そう思っただけさ! そんなに気にしないでくれたまえ!」

 恐らく神楽の言う通りだろう。

 碧海が今回の話を引き受けた時に言っていたことを思い出す。

 

――私は今の環境に甘えていた。

――あの吸血鬼は聞けば遥か昔からあそこに住んでいたらしい。

――その存在を知ることが出来る立場にいながらお前を危険な目に遭わせ、あまつさえ自分自身闘いに敗れてしまった。

――……退魔士としての怠慢が原因に他ならない。

 

 碧海は、的を妖怪――いや、個人的な推測ではネーベルに重ねている。

 だがそれは、おそらく最も碧海がやってはいけないこと。

 そして、最も碧海にやってほしくないこと。

「……くそ……」

「え? ど、どこに行くんですか直樹さん!?」

 死神、ついてこい。

「……そう言うとは思ったがな」

 

 

 碧海は結局4本全て外してしまったらしい。普通は交代すべき時なのだろうが、次は絶対に当てるからという碧海の強い主張で交代はせず、その代わり一旦休むそうだ。

「……というわけなんで、碧海のところへ行かせてください」

「ダメだダメだ! 関係者以外立ち入り禁止だぞ!」

 ここは俺達が最初に別れた所。警備員が今ほど邪魔に思えた事はない。

 という訳で。

「がっ……」

「すまない。少し眠っていてもらおう」

 背後からの手刀で警備員を気絶させた死神。俺達はそのまま進んでいった。

 ……これ、犯罪だよなあ。


直「本当に試合形式、あれであってるんだろうな?」

厄「でも、直樹さんがお話してましたよね?」

直「ああ。カンペ持ってな」



さて、さらに続く、しかも続き方が微妙な感じですがこれにはちょっと事情がありまして。

詳しくは次回のあとがきをご覧ください。


さて、最初の説明。

作者の情報力ではあれが限界でした。違ってるって人がいたらこっそり教えてください。


では次回に続きます。

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厄神様とガラスの靴
こっそり開設。
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