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第79話:厄神様はかく回りき

さて、更新がだいぶ遅れてしまいました。申し訳ありません。

あ、あと番外編を更新しました。2日ほど前に。


では、後編(?)をどうぞー!

「さてネーベル嬢。ここが凡人たる我々の指す『食堂』なのだが、感想はどうだ」

「私のところと違うの……」

 だろうな。

 

 

 昼休み。

 俺達は宣言通りネーベルを連れて学食に来ていた。それにしても1人の外国人風お嬢様とそいつを案内する集団というものは学校内でもやたら目立つ存在だったらしい。ただでさえ昼食をとる目的の生徒で混む学食はネーベルを一目見ようとする好奇心旺盛な奴らによって混雑度30%増量という地獄絵図のような状況となっていた。飯を食わんなら帰れ。

「で、ネーベル。あんた本当にここで食べるの?」

「怖いの……」

「心配するなネーベルちゃん! このオレが君のために道を切り拓いてやるぜ!」

 馬鹿が1人学食の群れに突撃し、……そして塵となった。

「……い、今一瞬、父上に匹敵するほどの殺気が放出されていたのだが……!?」

「それほどまでに食事に関する執着というものは強いものなのだろう」

 当たり前だ。言っておくがこの学食において割り込みなどという非常識なことをした奴はそれがたとえ校内一の強者であろうと町一番の美少女であろうとお構いなしに死をもって償う事となる。

「それはそれでちょっとどうかと思うんですが……」

 俺もそう思う。

「おい狭山、神楽。これお前らの連れだろ? 割り込みなんてさせるんじゃねえよ」

「悪いね君! 響氏が迷惑をかけた! 僕達は順番通り並んで待つことにするよ!」

 そうだな。それがいいな。

 

 

「あ! センパイじゃないですかー!」

「また余計な奴が……」

 俺達が大人しく神楽に続いて列に並んでいると、どうでもいい奴がどうでもいいタイミングで現れた。お前帰れ。

「ひどいですねー。それが久しぶりに会話した後輩に対する言葉ですかー?」

 久し振りか?

「ナオキ……この人は?」

 相変わらず人の後ろに隠れながらネーベルが尋ねてくる。袖を引っ張るな、伸びるだろ。

「名も無き一般人だ。覚えなくていい」

「……センパイ、ここに来ると最初の出会いを思い出しますねー」

「辻満月といってな、俺のことをよく助けてくれるありがたい後輩だ」

「……どっち……?」

 察してくれ。

「で、その人が今学校で話題のお客さんですかー?」

「もうそんなに有名なのか」

「ばっちりです。案内してるセンパイたちのことも含めて」

 やりにくいことこの上ないな。そもそも俺は名前も知らない他人に注目されるのが嫌いなんだ。

「おお! 僕達は今注目の的というわけだね! これはなかなか面白い!」

「どこが面白いのよ」

「相変わらずこいつの思考回路はわかんねーな」

 さて、こいつは出会った時から弁当であり、今もそれは変わらないのだから、俺達に付き合って列に並ぶ必要はない筈なのだが、気がつくと何故か当たり前のように俺達の集団に入り込んでいた。

「……なにやってんの? お前」

「え? いやー、ネーベルさんでしたっけ? その人に興味が湧きまして」

 藤阪妹と桜乃弟はどうするのやら。

「…………」

「ネーベルさん、先ほど申し上げました、辻満月といいます。センパイに関することなら生年月日からその日の朝食まで何でも知ってますので、聞きたいことがあったらまず私に聞いてくださいー」

 もうどこから突っ込めばいいか分からんな。

「…………」

「……あれー? どうかしましたかー? ひょっとして動作不良?」

 眼球の屈折率がどうイカれればこのお嬢様がメカニカルな構造物に写るんだろうか。

「決めたの」

「はい?」

 さて、例によってシンキングタイムが終了したようだ。辻をびしっと指差すネーベル。

「ミッキー」

「……は?」

「ミヅキだから、ミッキーなの」

「……はい?」

「プッ……! クククク……ッ! み、みっきぃ……ブハハハハハハハ!!」」

「い、いいんじゃないの……っ、似合ってるわよ……プクク……ッ!」

「うんうん、可愛いんじゃない?」

 真面目なリアクションを返しているのは桜乃だけだった。俺と藤阪は笑いを堪えるのに必死でコメントどころではない。

「……あ、あの、ネーベルさん。できればもっとこう、ソフトな感じのが……」

「……みっきー?」

「いやまあひらがなにすれば字面はソフトになりますが私が言ってるのはそういうことじゃなくてですねというかセンパイたちいい加減黙らせますよ」

 怖いから。

「三途川センパイ、碧海センパイ。この人どうにかしてください。人の話聞いてません」

「だそうだ。少し落ち着け」

「あまり人の名前を笑うものではないと思うぞ」

「はいはい、わかったよ……ミッキー。プッ!」

「さあ食堂にお集まりの皆さん! ここにおわしますのは去年私が弁当を盛大にぶちまけたですねぇ!!」

「だあぁぁぁぁ!! ストップストップ!! 悪い!! 謝るから!! スマン!!」

「……2人とも面白いの」

「確かにその通りだね!」

 こらそこ、聞こえてるぞ。

 

 

「さて! ではいよいよ本日一番のビッグサプライズといこうか!」

「ビッグ……」

「サプライズゥ?」

 昼休みも終了する間際、とある事情で精神的に疲労の極地に達していた俺の横で神楽がそんなことを言う。頼むからこれ以上おかしなことをしないでくれ。

「さて葵君! いつものメンバーでまだネーベル氏と会っていないのは誰かね!?」

「あたしの妹」

「オレの弟」

「…………」

 あ、固まった。きっと違う答えを期待していたんだろうな。

「……ゴホン! 直樹氏! どうかね!?」

「ウチの担任」

「…………そ、それ以外に何かないかね、黄泉君……?」

「玉藻」

「玉藻? 誰それ?」

「いやいやいやいやそんな奴知らないよななあ死神!?」

「家に」

「はいはいはいはいほら死神も知らないってよいやあ一体誰なんだろうなぁ!?」

「センパイ明らかに不自然ですよ……」

 黙っとけ。

「な、直樹さん……。神楽さんが大変なことになっているので、そろそろやめた方がいいんじゃ……」

 それもそうだな。それにこれ以上すっとぼけると本人に悪いような気がしてくる。

「じゃ、ネーベル。あとひとり、お前と気が合いそうな奴のところに行くか」

「うん。わかったの」

「さ、狭山。神楽は放っておいていいのか?」

 放っておけ。どうせ1分もすれば蘇る。

 

 

「……ネーベルさん、ですか」

「そうだ。ほらネーベル、自己紹介」

「……ネーベル=フォン=カルンシュタインっていいます……」

「私は市原舞といいます。以後お見知りおきを」

「……舞っち」

 何故市原だけ普通?

「……その名前には若干賛同しかねますね」

「え〜と……じゃあマイマイ」

 さらにおかしくなった。

「それなら結構です」

「いいんだ!?」

「だんだん舞も龍一の思考回路に毒されてきてるわよね……」

「ていうか元から似たもの同志なんじゃねえの?」

 後ろで藤阪と桜乃が好き勝手に憶測を繰り広げている。

「『リンリン』にならずに済んで助かったな」

「……まったくだ……」

「いただきなの」

「な、なに!? べ、別にいいぞ! 今のままで!」

「リンリン」

「ぐっ……」

「……計画通り」

「な、なに!? それを狙って言ったというのか!?」

 時々こいつらの関係がよくわからなくなってくるな。

「ちなみに神楽センパイはなんて呼ばれてるんですかー?」

「うん!? 僕は『リュウ』と呼ばれてるね!!」

 もう誰も『いつからそこに』とか突っ込まないんだな。

「なんだか、わたしたちのせいですっかり賑やかになってしまいましたね……」

「そうだな」

 まわりの1年生も何事かとこちらを見ている。これは俺の推測だが、恐らく普段から市原はあまりこうして談笑をしている姿を見せないのだろう。

「で、そういえば神楽、何がビッグサプライズなんだ?」

「ああ、そのことかね!? まあすぐにわかるさ!!」

「またそれか。どうせ数日後にならないと――」

――ガラッ。

「はい皆さん。午後の授業を始めます……って」

 いつの間にチャイムがなったのか、女性教師が教室に入ってきた。

「あ、やば」

「す、すみません! すぐに帰りますんで――」

「――ネ、ネーベルさん?」

 ……は?

「あなた、ネーベルさんよね。……このクラスの」

 どうやら事態は、俺の予測の遥か上空を悠々と飛び越えたようである。


直「…………」

厄「……生徒、さん?」

藤「……どういうこと?」

神「そのことについては次回に少しだけ説明するとしよう! 今は気にしないでいてくれたまえ!」

舞「それは無理だと思われますが」



えーと……

すいません!

なんかグダグダと書いてたら一番肝心なところが入りきらず!

次回に説明しますので、少々お待ちください!

ではでは、次回をお楽しみに!

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厄神様とガラスの靴
こっそり開設。
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