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第72話:厄神様はかく授かり

大変おまたせしました。

第72話です。

番外編の更新してたってことで見逃して頂けると有難いです。

それでも遅いわ。


では、神様の悪戯改めお礼から生まれた今回のお話、お楽しみ下さい。


『直樹氏、子供を持つとしたら男子と女子どちらが良いかね!?』

「……は?」

 夜。意味が分からない上に面白くもない電話がかかってきた。

『将来の話さ! 子供は男子と女子どちらが良いかね!?』

「……この電話は現在利用されておりません。おかけになった電話番号を確認して俺の家に二度とかけてくるなロリコン」

『……君、なかなかきついことをさらっと言うね……』

 で、子供がなんだって?

『そうそう! まあ平たく言えば、君は男と女どちらが好きかね!?』

 そういう非常に答え辛い質問の仕方はわざとか。

 なんとなく後ろを振り返ってみる。

「ほら、玉藻さん。口にケチャップがついてますよ」

「ん」

「もっと行儀良く食べろ。汚いぞ」

 …………。

「どちらかと言えば女の子の方がまだ扱いに慣れていそうかもな」

『そうかね! よし分かった! ではまた明日!』

 なんだったんだ。

 

 

 さて、物事に全てきっかけというものがあるのだとしたら、この翌日に起こった事件は紛れもなく先程の会話がネタ振りだったのだろう。それは、朝のHRも終わり、1時限目の準備をしている時のことだった。

 

 

「直樹、次の授業ってなに?」

「英語だ」

「また? 1週間に8時間くらいやってる気がするわ」

 実際8時間もやってるんだから当然だろ。そんなに外人とのコミュニケーションを図って何が面白いのやら。

「まあいいわ。問題当たりそうだったら起こして。寝るから」

「お前な、少しは真面目に……」

「どうしたの? ……って、誰? これ」

 ふと気付くと俺の机のすぐ横にまだ幼児と呼べそうな子供が立っていた。

「5歳くらいかしらね。なんでこんなところにいるの?」

 この学校の警備体制はどうなっているのだ。まさかこの年齢で高校授業を理解できる天才児ではあるまい。

「なんだなんだ? 子供?」

「女の子みたいね」

「誰かの親戚?」

 ここまで高校の教室に存在しえないものもないだろう。奇妙な珍客にクラス中の人間が興味を示して集まってきた。

「教師の子供かもしれないな」

「授業参観にきた母親が連れてきた可能性もある」

「どっちにしても親がそこら辺にいる筈だろ」

 5歳児といえば親の名前くらいは知っていてもおかしくはない、と思う。

「ねえ、お父さんかお母さんはいるの?」

「……うん」

 どこにいるの? と、藤阪が普段からは考えられない程優しい口調で尋ねる。普段からそんなならもう少し好かれるだろうに。

「…………」

 子供がゆっくりと指を差した。その先はこちらを向いている。後ろ?

 振り返って見てみるがそれらしい人物はいなかった。

「……? どういう――」

「ぱぱ」

 …………。

 ……はい?

「えええええ!!」

「狭山が父親ぁ!?」

 待て待て。なんだこの状況は。

「ちょっと直樹! どういうことよこれぇ!? なんであんたに子供がいるの!!」

「落ち着け! 俺は無実だ!」

「おま、お前、オレたちとはもう同じところにいないのかぁ!?」

「うらやましいぞチクショー!!」

「なんでちゃんとつけとかなかったんだよ!?」

「恐ろしい発言をするなぁ! 俺はまだそういうことだって一度も――」

 ……あ。

「……へ、へぇー。狭山くんってそうなんだぁ……」

「一度も……」

「……しまったあぁぁぁぁ!!」

「あ、あんた、そうだったんだ……」

 ええいなんでお前はそんなところに食い付くんだ。大人しくその子供の面倒見てろ。

「そうだな。狭山の子供だしな。やってないけど」

「死ねえぇぇ!!」

 

 

「……一体、何があったのだ?」

「気にするな」

 どこかへ出掛けていた碧海が戻って来ると、教室には下らん思い込みをした男子共の屍が転がっていた。

「直樹、どうするのよ」

「心配はいらん。既にラスボスの見当はついている」

「直樹さん……?」

「ぱぱ?」

 パパ言うな。行くぞ。

 

 

「お! どうした直樹氏――ぼはぁ!?」

「これはアレか? 嫌がらせか? 俺が白衣を選んだのがそんなに憎かったか?」

「ち、違う! それは違うぞ直樹氏!」

 何が違うというんだ。

 教室で他のクラスメイトと雑談をしていた神楽を例によって蹴りとばす。そのままずるずると俺の教室まで引きずり、クラスメイト共の前に放り投げた。

「なにこれ?」

「見れば分かるだろ。真犯人だ」

「なんでよ」

「なんでって、こいつが連れて来たからに決まって……」

 そこまで言ったところで、全員が俺に不信の目を向けていることに気が付いた。

「お前な、いくらなんでもそれは苦しいぞ」

「正直あんたの子だっていう方がまだ信じられるわよ」

「人の責任にするとは、これが今の若者の姿か」

 どいつもこいつも好き勝手言いやがって。神楽が神だと言わずに信じさせるのは難しいか……。

「えーと、あのな……」

 何かないか、何か。

「……そうだ!」

「無駄だよ直樹氏! 僕がそんな子供を連れて来たなど誰も――」

「ロリコンだからだ!」

「…………」

 教室を静寂が覆った。

「……あの、直樹氏?」

「なるほど。それなら」

「響氏!?」

「信憑性が強いわね」

「あ、葵君まで!?」

 桜乃や藤阪が納得する声によって周りのクラスメイトにも犯人=神楽という式が完成していった。

「連れて来ちゃ駄目だろ」

「ロリコンは犯罪者の中でも馬鹿にされやすいからな。気をつけろよ」

「市原さんがいるのに、まだ足りないのかしら」

「き、君達それはないんじゃないかな!?」

 自業自得だ馬鹿め。

「……で、結局誰の子供なんだ?」

「当然直樹氏の子供だ!」

「タンマ」

「ああそっか! 狭山の子供を神楽がさらってきたのか!」

 納得するなボケナス。どこまで行けば俺の無実は証明されるんだ?

「母親は誰なのだ」

「良いところに気付いたね黄泉君!」

 少なくとも俺にとっては誉め所ではないな。

「この子に直接聞いて見ようではないか!? 母君を指差してみたまえ!」

 その子供は神楽の言葉に頷くとゆっくり指を動かし、……藤阪を差した。

「……あ、あたし!? え、え!?」

 なんの冗談だこれは? 笑えないぞ。

「あと」

 子供はそう呟くと再び腕を動かし碧海を差した。

「わ、私か!? そ、そんな馬鹿な!?」

「あと」

 で、今度は俺……の後ろの厄病神。

「わたしですかっ!?」

「「想像妊娠!?」」

「はいどっちも黙ろうな。あと桜乃はあとで話がある」

「オレだけ!?」

 最後にその子供は教室のドアを差した。そこには誰も――

「センパイセンパイ! 遂に私との愛の結晶が産まれたって本当――」

「まま」

「――あ、あれ? 本当なんですか? マジで?」

 ……いたよ。正直今回一番来て欲しくなかった奴が。

「誰かが」

 もはや誰も何も言えなくなった教室にその子供の声だけが響いた。

「ままなの」

 痛くないオチがいいかな。

 何故か、そんなことが頭をかすめた。


玉「あれほど更新を待たせて連続モノとはの」

直「死んだ方がいいな」

桜「個人的にはお前に死んで欲しいです」

舞「それで、本当にあの子供は誘拐してきたのではないんですよね?」

神「心配はいらないよ舞君! 既に本人の許可は得ている!」

死「……成程。随分粘ったのだな」

松「子供と延々交渉を続ける白衣の高校生……」

直「通報ものだな」



流石に連続もので2日も3日も空けると今度こそ愛想尽かされそうなので次回は明日か明後日に更新します。頑張って。


オチが読めた方は分からない振りをして楽しむといいんじゃないでしょうか?


では次回をお楽しみに〜!

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厄神様とガラスの靴
こっそり開設。
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