第64話:厄神様はかく断り
どうもこんにちは。
最近某ポケットなモンスターにはまっているガラスの靴です。
しかも金銀。
実は自分、生まれてこのかた四天王を倒したことがないんですよ。
途中で飽きてしまうので。
そんな常識外の飽きっぽさを誇る作者の書いた作品ですが、頑張って更新を続けたいと思うので、これからもよろしくお願いします。
では、第64話です。
「ちっす」
「……あ、こんにちはー」
「……?」
それは梅雨もさなかのある日の放課後。俺がいつものように部活に行くと、辻の様子がいつもと若干違っていた。
「何かあったか?」
「え? 別になにもありませんけど」
「……そうか」
本人が何もないというのだから何もないのだろう。練習を開始することにする。
「……はぁ」
「……何かあったか?」
「え? 別になにもありませんけど」
「……そうか」
無視だ無視。どうせまた脈絡もないことを考えているに違いない。
音出しを開始する。楽器の上達には日々の基礎練習が不可欠だ。
「……はぁーー……」
「……何か、あったかね? 辻くん?」
「うわ、誰ですかそれ。気持ち悪いですよ」
「……いっぺん殺してやろうか」
よく見ると辻の手には手紙のようなものが握られていた。なんだそれ。
「え!? い、いや、なんでもないですよ!?」
「どこをどう見ればなんでもないんだ。祖国から手紙でも届いたか?」
「……折ってもいいですか?」
何を!?
「……もー。そんなんじゃないんですよー。アレですアレ。学生の定番」
「果たし状?」
「何年前の学園ドラマの話をしているんですか」
いや、何かこう自然に出てきた。
「何それ、ラブレター?」
「うわ」
ひょいと横から辻の持つ手紙を掠め取ったのは藤阪。ラブレターだって古くないか?
「……って、ラブレター?」
マジか。
「みたいですねー。気になりますか?」
そりゃまあ。どんな心清らかな青年がお前の外見に騙されているのだろうか。
「正直困るんですよねー。靴箱に入っててもなんか汚いし」
「お前、随分と贅沢言ってるな。ラブレターなんてそうそうもらえるものじゃないだろ」
「じゃああげます」
いらん。
「満月、付き合う気はないの?」
「なんでしたら藤阪センパイが行ってみますー?」
「……あんたのラブレターなんだからあんたが責任とって処理しなさいよ。いっそのこと受諾したら?」
「あははー、寝言は寝て言ってくださいー」
何? なんか今一瞬火花が。
「よし! ばれてしまったものはしょうがない! ここはピンチをチャンスに変える私の本領発揮です!」
どうでもいいがさっきから処理とかピンチとか言われてる差出人に対して同情の念を禁じえないのは俺だけだろうか。
「というわけでセンパイ、告白を断る練習相手になってください」
「どういう訳だ」
失礼ながらラブレターの文面を見せてもらうと、どうやら呼び出して告白しようという魂胆のようだ。それで断る練習か。
「だったら拓斗でいいだろ。きっとお前の刀のように冷酷かつ鋭利な断り文句にも耐えてくれるぞ」
「今ここにいるのはセンパイだけじゃないですかー。つべこべ言わずに付き合ってください」
また面倒くさいことになったもんだ。
「……す、好き……です……」
付き、付きあっ……。
「って言えるかこんなこっ恥ずかしい台詞ーーー!!」
「もー! これで何回目ですかー!?」
実を言うともう数え切れないくらいだ。
告白というのが真似事ですらここまで大変なものだったとは。世間の奴らはよくこんな台詞を堂々と言えるものだ。
「……直樹、顔真っ赤」
「煩い! だったらお前が代われ!」
「いやよ。あたしにそんな趣味はないの」
「ほらほら、早く言ってくださいよー」
このやろう、楽しんでるな。
「……好き、です」
それからさらに10分後。
「……付き、付き、付き合って下さい!」
「いいですよー」
「ちょっと待てーーー!!」
「あ、しまった」
「『しまった』で済むかーーー! 俺の羞恥心と覚悟を返せーーー!」
俺の数十分の努力は水泡に帰した。しかもなんかだんだんギャラリーが集まりだしてきたし。
「すみませーん。それじゃもう一回お願いします」
「好きですっ! 付き合って下さい!」
「いいですよー」
「好きです! 付き合って下さい!」
「いいですよー」
「好きだ! 付き合ってくれ!」
「いいですよー」
「やる気あんのかキサマーーー!!」
「おお、辻先輩が狭山先輩の告白をOKしたぞ」
「ついに付き合うのかー」
「よかったですね、狭山先輩」
「ああ! 事情を知らないギャラリーがあらぬ誤解を!」
このままでは収拾が付かなくなってしまう。
「……満月、ここまでよ」
「お?」
気付けば藤阪が辻の正面に。
「満月、あたしと付き合って」
「お断りしますー」
……あ。
「なになに? どういうこと?」
「もしかしてこれ、本当の告白じゃなかったんじゃないの?」
「そういえばさっき、断る練習がどうとか」
「なんだ、演技かー」
ギャラリーは興味をなくしたかのようにぞろぞろと散っていった。ついでに誤解も解けたらしい。
「終わっちゃいましたねー」
「やっと終わった……」
「ほら、とっとと行って断ってきなさいよ」
「そうですねー。それじゃーいってきまーす」
嵐が去った後のようだ。
「しかしあいつ、真面目に断る気があるのか」
さっきのを見てると、冗談で『はい』とか言いそうで怖い。
「……なにあんた、気になるの?」
「そりゃまあ多少は」
「……じゃ、覗きにいくわよ」
「は?」
「ずっと前から、好きでした!」
「うわ」
「ちょうどだったわね」
校舎裏にはこんな平和的な利用方法もあったんだな。辻に告白しているのは確かサッカー部でルーキーとか言われてる青年だったはずだ。詳しい事は知らないが。
「俺と付き合って下さい!」
「勘弁してくださいー」
「…………」
「…………」
「…………」
今、なんとおっしゃった? あの馬鹿は。
「え? あの、せ、せめて『ごめんなさい』とかじゃなくて?」
「いやー残念ながらお付き合いするメリットが感じられないのでー。あなたの名前も知らないのにそういうの困るんですよー」
「あ、あの、同じクラスなんですけど……」
「あ、すみません。知りませんでした」
「……鬼だな」
「……悪魔ね」
「それじゃー失礼しますー」
「……はい……。……お気をつけて……」
真っ白に燃え尽きた青年を残してスキップで校舎に戻っていく辻。お前いつか刺されるぞ。
「……あたしたちも、行きましょうか」
「強く生きろよ……」
名も知らぬルーキーに心の中で励ましを送りながら俺達は音楽室に戻っていった。
「お前な、もう少し断り方ってものがあるだろ」
「あれ? センパイ見てたんですか?」
あれじゃ相手も可哀想だ。
「そんなに気にしなくても平気ですよー。ああ見えて他の女子にはもててますからー」
それ、逆に女子からの報復が怖くないか。
「ま、なんとかなると思いますよ。個人的に今日の返事は100点満点でしたからー」
……やれやれ、俺は知らんぞ。
辻「やった出れたー!!」
藤「出たと思ったら主役さらっていくし」
直「まるで装填に時間のかかるバズーカ砲だな」
ネ「まだ出てないの……」
厄「つ、次のお話で出れるんじゃないでしょうか?」
どうして1日は24時間なんでしょうか。
いや別にそれでいいんですけどね。言ってみたかっただけです。
でも実は最近目の下のクマがとれません……。
さて、次回ですが、なんと未定です。
あ、こいつバカだって思いましたね? 自分もそう思います。
まあ恐らく碧海さんのお話になると思います。恐らく。
ではではー!
出来る限りまた明日お会いしましょー!




