第55話:厄神様はかくはぐれり
どうもこんにちは!
明日1月10日は110番の日!
警察のダイヤルである110番ですが、今までイタズラでなく電話したことある人ってどのくらいいるんですかね?
では第55話をどうぞー!
昼休みの学食。
いつもと同じく昼食を確保にくる生徒で賑わっており、人間の三大欲求を甘く見すぎた設計のせいで移動もままならない。
「どうだ、藤阪と桜乃はもう食べてるか?」
「えーと……はい、周りの席も埋まってしまってます」
「やっぱりか……」
殺人的な混み具合の中で席をとっておくのはタブーとなっている。誰かと一緒に食べたいならそれ相応の努力がいるのだ。
「しょうがない、今日は1人で……」
「セーンパイっ!」
「お?」
ポン、と肩を叩かれ振り返ってみれば、嫌になるほど見慣れた後輩の顔があった。
「奇遇ですねー。こんなところで会うなんてー」
何が奇遇だ。
「それより、私に何か言うことはありませんかー?」
「言うこと?」
「はい!」
考えてみる。
…………。
「この前はいきなり帰って悪かった。部長はなんか言ってたか?」
「ブーッ! 違いまーす。部長は烈火の如く怒り狂ってましたが」
……部活、行きたくないな。
「違うのか」
「はい。違います」
再び考える。
…………。
「そして誰もいなくなった」
「意味わかんないこと言ってるとはっ倒しますよ?」
すまん、分からん。
「もー! 高2ですよ高2! 行事があるじゃないですかー!」
ああ。
「修学旅行か」
「そうです! それです! やっとわかりましたね!」
無駄に偉そうだな。
「しゅうがくりょこう、ですか?」
毎年の高2が行う行事だ。行き先は京都。3泊4日の旅となる。
「で、言うことって?」
「だからー! 後輩が旅行に行っちゃうわけですよー。何かありますよね?」
…………。
「土産は生八橋で頼む」
「そんな京都土産の定番は知りません」
知ってるじゃん。
「もっと、こう、あるじゃないですかー!」
そんなこと言われてもね。
「……行ってらっしゃい?」
「……まあ今回はこの辺で妥協しますかねー」
「なんだ妥協って」
そんなことをしている内に列がだいぶ動いていた。俺達も移動する。
――ドン。
「うおっ……?」
横から押されバランスを崩してしまった。運の悪い事に足もとられ転倒一直線だ。
「危ないですよ?」
やばいと思ったところをひょいと戻された。なんですか今の?
「なにって、センパイが転びそうになったから戻しただけです」
戻しただけって、男子高校生の体重いくつだと思ってるんだ。
「とりあえず拓斗くらいならネックハンギングツリーまでいけますけど」
いくな。
「ほら、センパイの番が来ましたよー」
おばさんに食券を渡して料理を貰う。今日はハンバーグ定食にした。
「先いってるからな」
「わかりましたー。 すぐいきますー」
いや、わざわざ一緒の所に来なくてもいいんだぞ。
「来ちゃいましたー」
はいはい。
「む、なんですかその投げやりな返事はー。後輩に慕われてるんですからもっと嬉しがって下さいよー」
わー嬉しー。
「……センパイって拓斗より軽いか試してみていいですか?」
「ごめんなさい」
「そうそう。分かればいいんです」
「修学旅行、明日からか」
「そうですよ?」
俺達も去年行ったな。あの時は大変だった。
「そうなんですか?」
「俺達と松崎が同じ班になってな」
「うわぁ」
藤阪と松崎が同じ部屋に決定したときは本気で桜乃と旅行の無事を祈ったぞ。
今思えば碧海がお土産の木刀をずっと眺めていたのも頷けるものがあるな。紆余曲折を経て今は自衛用として俺の部屋にあるが。
他のクラスでも神楽が史料館の館長を超越した説明をしたりして、色んな意味でやかましい旅行になった。
「じゃー私たちも負けていられませんねー」
張り合うな。他人に迷惑をかけるような馬鹿だけはするなよ。
「あははー。いくら私でもそこまではしませんよー。迷惑かけるのは身内だけです」
それはそれでどうだろう。
「まあ私たちのグループで一番危ないのはすみれですからねー。拓斗もいるし、そこだけ注意してれば大丈夫でしょう」
藤阪妹と桜乃弟もいるらしかった。賑やかそうだな。
「ふっふっふ、授業が公認免除になる4日間、思う存分遊んできますー」
遊びに行くわけじゃないからな。修学旅行だぞ。
「どっちでも一緒ですよー。あ、デザートのカップゼリーくださいね」
なんてことだ。
「直樹さん、もう買うものはありませんよ?」
「ああ。ちょっとな」
放課後。部活は非常に心苦しいが自主休暇とさせて頂き、俺はとある人物を探しに駅前へと来ていた。
「意識していれば、あれほど目立つものもないな」
疑問に思う事があった。
俺が駅前に行くのは日課でもなんでもない。全くの気まぐれだ。
それなのにあの日、俺を待ち受ける事が出来たのは何故か。
「これは狭山様。まさかあなた様からいらっしゃるとは思いませんでした」
簡単だ。毎日駅前にいればいい。俺が来たときにすぐ会えるよう。
「話がある。お嬢様に会わせて欲しい」
さて、どういう話が聞けるのか。楽しみだ。
直「サブタイトル考えてて思ったんだが」
厄「なんでしょうか?」
直「なんでこんな面倒臭いサブタイトルにしたんだ」
厄「そ、そうですか?」
直「主語と述語が合ってないのも多いし」
厄「え、えっと……」
直「明らかに作者の失敗だよな」
厄「……ごめんなさい……」
直「い、いや、お前のせいじゃなくてだな……」
厄「直樹さんが主人公なのに、わたしなんかがタイトルをとってしまって……」
直「そ、そんなこと気にするな! ほら、行こうぜ!」
厄「うぅ……」
どうもこんにちは。
ガラスの靴です。
さて、久し振りのほのぼの話&辻さん。
リハビリのつもりで書いたら書きやすいのなんの。
自分にはこういうのがあっているんだなと再認識しました。
さて、毎日更新ですが、ネーベルに関する話が終わったら暫くの間お休みさせて頂くかもしれません。
最近かなりいっぱいいっぱいになってしまったのと、このままだと話の質そのものが危うくなりそうなので、きりのいいところまでいったら休憩をとろうかと考えております。
もちろん書けそうならば続けて書きますが、読者様の反応次第でしょう。
まことに身勝手な判断申し訳ございませんが、これからもお付き合い頂けたらと思います。
ひとまずネーベルさんの話が一段落するまでは毎日続けたいと思うので、明日もお楽しみにー!
ではではー!