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第52話:厄神様はかく救えり

本日1月6日は色の日。

まんまです。

それからシャーロックホームズの誕生日でもあります。


しばらく訳の分からん話が続いたので今日はお気楽な話で。


では第52話をどうぞー。


「三途川くんはお休みですか」

 次の日学校に行くと、死神の席には誰もいなかった。

「狭山くん、三途川くんから何か聞いていますか?」

「あ、はい。あいつ風邪気味だったんで休むそうです」

 担任に適当な事を言ってやりすごす。これで単なる遅刻だったらどうするか。

「黄泉さん、どうしてしまったんでしょう………」

 ひとまず一番事情を知っていそうな奴のもとへ行くか。

 

 

「やあやあ直樹氏! 来てくれると思っていたよ! 少しいいかね!?」

 教室に入るといきなりの登場だ。話が早くて助かる。

「短刀直入に言おう! 黄泉君は暫く僕の元で預かっておくよ!」

 いつかのと言うべきかいつものと言うべきか、屋上階段の踊り場で話をする。預かるってどういうことだ。

「実は黄泉君なんだが、昨日ちょっと焦り過ぎてしまってね! 今は僕の家で休養中だ!」

「待て待て。話がさっぱり見えな――」

「直樹氏! 今回ばかりは君の巻き込まれ体質に多少なりとも呆れてしまうよ!」

「神楽さん……?」

「そのうち分かると言いたいところだが、分かってもらっても困る! ああ困る!」

 意味が分からん。

 今日の神楽は普段と何か違う。強引なのはいつもの事だが、焦っているというか何というか。

「とにかく、黄泉君はもう2、3日で元気百倍だ! それまで君も大人しくしていたまえ!」

「……よく分からんが大人しくしてればいいんだな」

「その通り! 小夜君! 直樹氏が妙な事をしでかさない為に厳重に監視してくれたまえ!」

「は、はい! わかりました!」

 俺は死刑囚か。

 ひとまず死神も大丈夫らしいし、教室に戻るか。

「……さて、これで大丈夫かと思ったが……困ったぞ!」

「……何が困ったんだ」

「おお! 聞いてくれるか直樹氏!」

 そりゃあすぐ隣で聞こえよがしに叫ばれちゃな。

「実は――」

――キーンコーンカーンコーン。

 神楽の話は2文字で中断した。

「おおっとチャイムか! では直樹氏、小夜君! 詳しい事情は昼休みに!」

「行ってしまいましたね……」

「なんなんだ……」

 

 

 で、昼休み。

「直樹、学食行かないの?」

「ちょっと神楽が話があるらしくて……」

 神楽の教室に行こうと席を立つ。

――ピーンポーンパーンポーン。

『生徒の呼び出しだ! 3‐Dの狭山直樹氏! 同じく碧海凛君! 話がある! 生徒会室に来てくれ! 繰り返す! 生徒の――』

 

 

「私情で校内放送を使うなあぁぁぁ!!」

「ぎゃああああああ!!」

「直樹さん! 乱暴はいけません!」

「いや、しかし、狭山の気持ちも分からなくはない……」

 誰だ生徒会室の隣に放送室を作ったのは。

「で、なんで碧海まで?」

「ゲフ……じ、実は……」

 神楽の『困った事』とは、生徒会の政策に関することらしい。

「こう言いたくはないのだが、小夜君と黄泉君が来て以来、我が校の生徒が付近住民に迷惑をかけることが増えてね!」

 やかましい。馬鹿が馬鹿やるのをこっちのせいにされてたまるか。

「まあまあ落ち着きたまえ! そこで数日前、生徒会はその対策を実践してみたんだよ!」

 まさか……。

「そう! 超人戦隊ヒトジャナインジャー! 君達にも見せただろう!」

「えー! あの人たちがですかー!?」

 やっぱり。

「狭山……何の話かさっぱり分からないのだが……」

「安心しろ。誰一人として理解してない」

「どうだったかね小夜君!? 僕らの活躍は!?」

「……? 『僕たち』……?」

 まだ気付いてなかったのか。

「……い、いや! 間違えた! 僕らではなくヒトジャナインジャーの活躍はどうだったかね!?」

「とってもかっこよかったです!」

 秘密なんだ。

「神楽が秘密のヒーロー役をやっている、ということか?」

「驚異的洞察力だな。その通りだ」

「だが今! ヒトジャナインジャーは存続の危機に瀕している!」

「え!? どうしてですか!?」

 神楽の熱弁はまだ続いていた。観客は1人だけだが。

「ヒトジャナインジャー・ブラック! 彼はとある戦闘中に重傷を負ってしまったんだ!」

「ブラック……?」

「死神のことだ」

「けがをしてしまったんですか!? 大変です!!」

「そこで君達の出番というわけさ!」

「おっと時間だ。見たいドラマがあったんだ」

「まだ昼休みだぞ」

「煩い! もうオチは読めた! これ以上厄介事を増やしてたまるか!」

「直樹さん! それはダメです!」

 厄病神に引き止められる。

「な……なに?」

「町の人たちが困っているんです! それを助けてくれる人が困っていて、わたしたちが助けられるのなら、助けてあげましょう!」

 ……マジすか。

「直樹さん! 凛さん! 手伝ってあげましょう!」

 

 

「なんだテメェら!?」

「町の治安を乱す者を許すことは出来ない! 地域住民を困らせる悪事の数々、この超人戦隊ヒトジャナインジャーが――」

「やっちまえ!!」

「――ぎゃあああああ!!」

「……碧海、助けてやれ」

「あ、ああ……」

「ヒトジャナインジャー・レッドさん、大丈夫でしょうか?」

 前口上が許されるのはテレビの中だけだ。演説の間神楽を守っていた死神がいない今、神楽は登場するたびにボコボコにされていた。

「終わったぞ」

「流石だな……」

 あっという間に不良連中を倒した碧海が戻って来る。ちなみに訳の分からんコスチュームを着ているのは神楽だけだ。

「お前さ、本当に神様か?」

「ぼ……僕は戦闘専門じゃないからね……。多対一は黄泉君の仕事だ……」

 つくづく使えない神である。

「レッドさん、大丈夫ですか?」

「はっはっは! 大丈夫だとも! この僕があれしきの攻撃にやられるとでも思っているのかい!?」

「はい! 無理はいけません!」

 お、神楽が沈んでいく。

――ピーピーピー。

『レッドさん。うちの生徒が他校の生徒に八百屋の裏へと連れられていったと通報がありました。至急向かって下さい』

「こちらレッド! 報告ご苦労ドクター・マイ! 今すぐ向かう!」

 復活した。それにしてもこの男、ノリノリである。

「地域の平和を守るため! 地域の暮らしを守るため! 超人戦隊ヒトジャナインジャーは今日もゆく!」

 え、終わり?


厄「ブラックさん、早く元気になるといいですねっ」

直「あと2、3日もすれば復活すると思うぞ」

舞「私の出番はあれだけですか?」

辻「私なんてここ最近メインで出てないですよー」

藤「あんたは服従日にはっちゃけすぎたからでしょ」



はい。

辻ファンの方々、ごめんなさい。

メインの話はもう暫く待って下さい。


次回は休日編です。


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厄神様とガラスの靴
こっそり開設。
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