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第47話:厄神様はかく憑きけり

あけましておめでとうございます!


本日1月1日は鉄腕アトムが放送開始した日です。

元旦に始まって大晦日に終わったんですね〜。


今回は話が一段落したので説明的な話をちょっと。

なのでだいぶメタ視点です。


では、どうぞー!

「あけましておめでとうございます!」

「あけましておめでとう」

「うむ、おめでとう!」

「……いや、まだ5月なんだけど」

 

 

「そういえば」

「……? どうしたんですか? 直樹さん」

 藤阪と駅前をぶらぶらした日から数日後、試験勉強をしながら、先週のこの辺りに風邪でえらい目に遭っていたなと思っていると、ひとつ妙な点を思い出した。

「お前、先週風邪ひいたよな」

「は、はい……」

「その時に俺が作ったお粥を美味そうに食べてなかったか?」

「はい。とってもおいしかったです」

 いや、味の感想はいい。お前、飯は食べられないんじゃなかったのか。

「……そういえばそうですね……」

「それについては俺が答えよう」

「うわ、なんだ」

 突然死神が割って入ってきた。

「いやな、どうやらいくつか読者を誤解させている点があるようなのだ。これを機会に少し説明をと思ってな」

「読者? 誤解? 何の話だ?」

「気にするな」

 今はリビングに4人集まっている。俺と死神は試験勉強、厄病神と玉藻は一般常識の勉強だ。

「むむむ……さっぱりわからん……。こんなものがわかってどうなるというのじゃ」

 玉藻は政治経済の教科書と睨み合いをしながら多くの教師にとって最大級に厄介な問いを発している。教養だ、つべこべ言わずに読め。

「むう……」

「それで、どういうことだって?」

 死神に尋ねる。

「ああ。幽霊のように実体のない存在は基本的にこの世の物には干渉出来ない」

 要は触れないし話も出来ないってことか。

「だがそれはあくまで原則だ。例外も存在する」

 この状況がまさに例外なんだろうな。

「まず、己の存在を知覚出来る者には触れることも話すことも出来る。逆に言えばぶつかってしまうし、話を聞かれてしまう」

 碧海やお前らなんかがそうか。

「次に、今のお前達のように契約関係にある場合。その場合、宿り主に干渉出来るのは勿論、宿り主の所有物にも干渉出来る」

 なんとなくそんな感じはしていたな。服もトライアングルも買ったら触れるようになった。

「そうだったんですか……」

「お主も知らなかったのか……」

「さらに、魂を持たない所有物、例えば家や道具は幽霊の意志で触れることもすり抜けることも出来る。試しにやってみよう」

 そう言って立ち上がる死神。こうして見ていると全く分からないがこいつもステルスモードが使えるんだったな。

「見ての通り、不可視の状態でも、壁に触ることは可能だ」

 コンコン、と壁を数回ノックする。音も鳴っているようだし、達人クラスのパントマイムではないようだ。

「だが、意識を集中させると――」

 フワッ、と、死神の姿が消えた。

「よ、黄泉さんが……」

「なんでお前が驚いておるのじゃ」

「――このように、物体に干渉されない移動が出来る」

 壁から死神の半身が現れる。俺はふと魔法学校に通じる列車の搭乗方法を思い出した。

「小夜、やってみろ」

「わ、わたしがですか!?」

 だからなんでそんなに驚いてるんだ。最初に会った時も壁抜けしてただろ。

「あ、あの時は、全然意識なんてしてなくて、ただ中に入らなきゃって……」

「それでいい。物体を貫通しようと意識しながら向かっていくんだ」

「……わ、わかりました! やってみます!」

 壁めがけて突進していく厄病神。

――ガン!!

「……ひ、ひたひ……」

「……思いっきりぶつかってるんだが」

「……意識すると出来なくなるタイプか」

「そこはかとなくばかの匂いがするの」

「う、うぅ……みなさん、ひどいです……」

 額を押さえてうずくまっている厄病神は放っておいて次の話へ。

「で、食べ物についてはどうなんだ」

「そこだ。俺がかつて宿り主と契約関係にあった時は食事というものをとらなかったため定かではないが、恐らく材料がお前の物であれば出来上がった料理もお前の物と見なされるのだろう」

 つまり、俺の家にある材料で作った料理なら食べられるかもしれないってことか?

「そうだ。試してみよう」

 

 

「で、できました……」

「……」

「重いな……」

「これ、駄目だったら誰が食べるんじゃ……?」

 既に夕飯は済んでいるので簡単な夜食になりそうなものを、といって出てきたのはフレンチトースト。重い。

「まあいい。食べてみろ」

「は、はい。いただきます……」

 フォークを持ち、トーストに突き刺す。そのまま持ち上げ、口の中へ――

「……あ、あの、皆さん、そんなに見ないでください。恥ずかしいです……」

「いいから食え」

「うぅ……」

――パクッ。

 口の中へ入れた。

「……?」

――モグモグ。

「どうやら食べられるようだな。味はどうだ?」

 死神が尋ねる。

「えっと……味、しません……」

 

 

「幽霊は本来食事からエネルギーを吸収しない。だから空腹感もないし味も感じないのは当然だと言える。そうなるとやはり特別な条件が必要なようだな」

「だからってなんで俺が作る必要があるんだ……」

「あのお粥はお主が作った物ではないか。知らぬ内に怨念でもこもっていたのではないのか?」

「それを言うなら手伝ってたお前の方が確率高いだろ」

 厄病神が風邪をひいた時と類似した状況を、ということで俺と玉藻でお茶漬けを作ることに。

「ほら、出来たぞ」

「俺達の分はないのか」

 あるわけないだろ。食いたいなら自分でなんとかしろ。

「い、いただきます……」

 再び口の中へ。今回も食べることは出来たようだ。

「あ、おいしい……」

「……やはりな。お前が作った料理なら材料の加工も宿り主がやったことになり、料理という存在そのものがお前の所有物になるのだろう」

 もっと簡単に言え。とどのつまり俺が作った物なら味を感じられるってことだろ。

「その通りだ。では次の実験に行こうか」

「実験って……」

「お主、だんだん楽しんできておらぬか?」

 玉藻の追及にも構わず話を続ける死神。

「幽霊は市原舞のような霊媒体質の者以外にも憑依すること自体は可能だ」

「まさか……」

「小夜、狭山直樹に憑依してみろ」

 やっぱり。

 

 

「な、なんだかとっても動きにくいです……」

「だろうな。狭山直樹、そちらの調子はどうだ」

 地球外生命体に体を乗っ取られた感じだ。目も見えるし耳も聞こえるが腕は勝手に動くし声も出ない。

「反応なし、か。正常だ」

「反応がないと正常なのか?」

「ああ。言ってみれば受信は出来ても送信はできないようなものだ。小夜はどうだ」

「舞さんの体をお借りしたときより……体が重くて……うまく言えませんけど、水の中みたいに動きづらい感じです……」

 俺はまったく動けないんだぞ。贅沢を言うな。

「波長の違う人間相手ならそれが普通だろう。完全に波長を合わせられる市原舞のような人間が特別なのだ」

 死神は暫く厄病神イン俺を動かせた後、10分程経ってからようやく憑依解除の許可を出した。

「疲れました……」

「今日はもう早く寝たほうがよいのではないか?」

「狭山直樹、お前はどうだ」

「……特に変わった所はないな」

 別に痛む所もない。

「……そうか。なら今日はもう寝よう。目覚ましは30分早く設定しておけ」

「……?」

 結局その日は後半まったく勉強出来ずに終わった。

 

 

 次の日。

「あんた、随分辛そうね」

「どうせ夜中まで勉強やってたんだろ。……って、意識はあるか?」

「……なんとかな……」

 起きた直後に筋肉痛が全身を襲い、何とか学校にまで辿り着いたものの勉強など出来るものではなかった。

「ご、ごめんなさい……。わたしのせいで……」

「小夜の責任ではない。しかし試験は明日だ。体調管理には気を付けろ」

 誰のせいだと思ってる。治ったら殺してやると思いながら俺は一日痛みの中で苦しみ続けた。


ひとまずこういった世界観です。


これで今までの謎やおかしな所は大部分説明つくと思いますが、それでも矛盾してるところがあったら教えて下さい。

作者自身頭良くないので………。


では、次は試験の話です。


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厄神様とガラスの靴
こっそり開設。
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