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第46話:厄神様はかく助かり

さて、今日が大晦日であり紅白歌合戦が放送される日でありテレビ東京主催の東急ジルベスターコンサートで曲の終了と共に新年を迎えるカウントダウンクラシックが行われる日であることを知らない日本人は独立記念日が7/4であることを知らないアメリカ人や9/2であることを知らないベトナム人やカノッサの屈辱が1/25に始まったことを知らないキリスト教徒くらいマズイと思います。

ジルベスターとカノッサは完全に作者の趣味ですが。


なので別の出来事を探すと、今日は1966年に「鉄腕アトム」が放送を終了した日、らしいです。

すげーよアトム。まだ親も生まれてないよ。


と、かなりの無駄知識でスペースを埋めたところで、今度こそ藤阪服従日(後編)をどうぞ。

「へぇー………」

「商店街の底力ってとこか」

 駅前の商店街。デパートの脅威をものともせずかなりの賑わいを見せる店々には確かに通行人を惹き付ける魅力的な品物が並んでいた。

「あ、直樹。これ見て! なかなか綺麗じゃない?」

 店頭に並べられているアクセサリーをとって見せてくる。確かに似合うな。

「……あ……そ、そう……?」

 何故か黙りこくる藤阪。何か変な事を言っただろうか。

「おい藤阪」

「うーん……」

 アクセサリーを見て答えやしない。値段を見るとまあ良心的な値段だった。藤阪からそれをひったくって会計に持っていく。

「あ、ちょっと! なにやってんのよ!」

「3200円になりまーす」

「はい」

「聞いてんの!? コラ直樹!?」

「ありがとうございましたー」

「ほれ」

 袋に入れられたアクセサリーを藤阪に渡す。

「……あ、ありがとう……」

「いらなかったら妹にもあげてくれ」

 何故か殴られた顎をさすりながらウィンドウショッピングを続け、商店街を一通り見終わった頃にはもう茜色の空が街を覆っていた。

「さて、帰るか」

「……今日一日、ろくな命令が出来てない気がする」

 気のせいだ。

「いや、でも、最後に1つくらい……」

 勘弁してくれ。この状況はどうしても1週間前とかぶる。

「それじゃあ――」

「ようおふたりさん。お熱いねえ」

「羨ましいなあ!」

「幸せ料ってことでおれらにちょっと金をめぐんでくれないかなぁー?」

 背後から声。振り返ると、またもや馬鹿どもがいた。

「……この状況をなんとかしなさい」

 言われなくともそうしたいわ。

 

 

「テメエ、二股かよ」

「は?」

 路地裏に連れこまれると、リーダー格らしい男がいきなり謎の台詞を放った。

「この前のクソ強い女といい、隣の女といい、偉いべっぴんを2人もたぶらかしてんだ。金くらい払ってもらわないと不平等だ」

 なんだその滅茶苦茶な理屈は。

「へー……凛と……」

 そんなことにいちいち気をとられてる場合じゃないだろ。目が怖いぞ。

「な、直樹さん! わたし人を呼んできます!」

 助けを呼ぶのはいいがお前が見える奴に巡り合えるとは思えないぞ。

「おい馬鹿、俺に腹立つのは俺がお前らに腹を立てている以上自然かもしれんが無関係な人間を巻き込むな。だから馬鹿なんだ。この馬鹿」

「……お、お前、そろそろ死ぬか?」

「藤阪を解放したら考えよう」

 藤阪が無事ならまあ氷河期を迎えた財布くらい軽いだろ。その後どんな目に遭うか想像したくないが。

「……女を放してやれ」

「わかりました」

「あ、こら、ちょっと離しなさいよ三下!」

「黙れチクショー! 三下で悪かったな! ってこら、暴れんな!」

 声が段々遠ざかっていく。ギャーギャー騒ぎながらも藤阪はきちんと解放されたようだ。

「な、直樹さん……前……」

「ん?」

「さて、覚悟はいいなテメエ?」

 なんてことだ。不良がかなり怒っている。怒らせたのは誰だ。俺だ。

「男を代表して、テメエを伐つ!!」

「目的変わってないかちょっとー!?」

「きゃあーーー!!」

――そこまでだ!

 その時、突然頭上から声がした。

「なん……ギャフッ!?」

 声の主は見上げようとしたリーダーの顔面に着地、リーダーはそのまま崩れ落ちた。

「み、三橋さーん!!」

「て、テメエ! 何者……だ……?」

 華麗に現れたのはバイクのフルフェイスメットを改造したような謎の物体を被っている学生服姿の男。

「地域住民を困らせる悪事の数々、この超人戦隊ヒトジャナインジャー・レッドが裁いてあげよう!!」

「名前ダサーーー!? ていうか語呂わるーーー!?」

 激しく同意。

「テ、テメエ、何者か知らんが三橋さん踏んでただで済むと――ギャハッ!?」

 不良が謎の男に襲いかかろうとした時、もう一人別の男が背後から回し蹴りを放って沈黙させる。

「だ、誰だテメエ!? この変な奴の仲間か!?」

「ハッハッハ! 彼はヒトジャナインジャー・ブラック! 僕の仲間さ!」

「俺はブラック。暗い過去を持った男だ」

「なんか設定入ってるーーー!?」

「ゆくぞブラック! 今こそ超人戦隊ヒトジャナインジャーの力を見せてやろう!」

「いいだろう」

 

 1分後、不良達は訳の分からない連中に壊滅させられていた。

「なんなんだ……?」

「お強いんですね……」

「よかったね! これで大丈夫だよ!」

「ではさらばだ。いつかまた会うこともあるかもしれない」

「あの、神楽さ――」

「おおっと! 僕達は超人戦隊ヒトジャナインジャー! それ以外の何者でもないよ!」

 だったら一日中そのフルフェイスメット付けてろ。

「そうだったんですか! ごめんなさい、勘違いをしてしまいました!」

 ……おい。

「はっはっは! 間違いは誰でもあるよ! それではさらば!」

 ヒトジャナインジャーとやらは5階建てビルの屋上まで飛び立っていった。

「ヒトジャナインジャーさん……格好いいです……」

「疲れた……」

 

 

「あ、直樹。随分賑やかだったけど、大丈夫だったの?」

「いやまあ、なんとかな」

「…………?」

 気にしない方がいいと思うぞ。

「……帰るか」

「そうね」

 

 

「それじゃ、また明日ね」

「ああ」

 藤阪の家の前で別れる。

「結局命令なんてほとんどなかったな」

「わ、悪い!? 人権を尊重してやったのよ! ありがたく思いなさい!」

 はいはい、ありがとうございました。

「ったく……。じゃあ最後の命令よ。目閉じて後ろ向いて、今からいうこと全部聞かないようにしなさい」

「意味が分からん」

「いいからやる!」

 訳が分からなかったが、言われた通りに後ろを向いて目を閉じる。

「き、今日はその、ありがとね」

 たぶんこれを聞くなと言っていたんだろう。だが耳に入ってしまうものはしょうがない。

「変な奴から助けてくれたときも……ちょっとだけ格好良かったわよ」

「……え?」

「ほ、ほんのちょっとだけね! 全体で見たらプラマイでマイナスよ! じゃあね!」

「お、おい!」

 後ろを向いた時にはもうそこに藤阪の姿はなかった。あいつめ。

「……よかったですね。感謝されて」

「……厄病神、なに怒ってるんだ?」

「怒ってません」

「いや、怒ってるだろ」

「だから怒ってません」

 

 

「死神、お前今日どこにいた」

「家にいたぞ。玉藻もそう証言してくれる」

「う、うむ! 今日は一日2人で退屈に過ごしておったぞ!」

 ……ま、いいか。


前回あとがきで「グダグダ」といった意味が分かったかと思います。グダグダ。

昨日今日となんか空気がアホなのはきっとネットでギャグマンガ日和を見てたからでしょう。


「超人戦隊ヒトジャナインジャー」は何かというと、まあ神楽が周辺の治安維持のために立ち上げた生徒会直属の部隊です。

現在メンバー2名。


ちなみに明日、1月1日は元旦であると同時にキューバの解放記念日です。

カストロ率いるキューバ革命が達成された日。

後のキューバ危機へと発展していく重要な出来事ですね。


ではでは、来年もぜひともよろしくお願いします!

よいお年を〜!

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厄神様とガラスの靴
こっそり開設。
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