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第40話:厄神様はかく迫られ

どうもこんにちは!

今日はかの有名なチャールズ・チャップリンの死んだ日――

え? 違う?


それじゃあ今日は北九州市のある再開発ビルにある百貨店がいずれもこの日に閉店しているという北九州市デパート受難の日――

……ええ。悪あがきだということは分かっているんですよ。


果たして昨日今日でいくつのドラマがあったのでしょうか。

まったくもって考える気にすらなりません。


では不平不満もこのくらいにして記念すべき第40話をどうぞ。

「いや、美味かった。ご馳走様」

「お粗末様ですー! お口にあったようでほっとしましたー」

 いやいや、あれは本当に美味いぞ。金取れるんじゃないか?

「お金はセンパイだけから頂きまーす」

「おい」

 にしても、てっきり辛子とか入れられてると思ったんだが、全然そんなことなかったな。

「あー! 失礼ですねー! 私は食べ物では遊ばないんですよー!」

「そうなのか。意外とそういうところはしっかりしてるというか」

「そうなんですー。これはもうおしおきしかありませんねー」

 何をするつもりだ。

「それじゃあ今度は女物の服なんかをー」

 すいません。本当に勘弁してください。

「……な、直樹さんの女装……」

 厄病神、お前も黙ってろ。

 

 

「今日は楽しかったよ。何しに来たか分からん感じもするが」

「あははー。それは言いっこなしですよー」

 結局、その後はおかしな命令もなく、トランプなんかの普通のゲームをして過ごした。罰ゲームに女装がかかった時は焦ったが、なんとか最低限の尊厳を保ったまま、夕方辻の家を後にし、今は駅まで辻に送ってもらっているところだ。

「あ、センパイ、あそこの公園行きませんか?」

「なんでわざわざ公園なんて行くんだ。トイレでもしたくなったか?」

「えーと、すみれと拓斗と舞さんにさっきの写真を添付して……」

「すまない。俺が悪かった」

「わかればいいんです。今日は絶対服従なんですから、逆らわずについてきてください」

 はいはい。仰せのままに。

 

 

「いやぁー、夕日が綺麗ですねー」

 公園に入ると辻は突然ベンチに座ろうと言い出した。こいつに脈絡がないのはいつものことだが。

「なんで夕方になると空が赤くなるんですかねー?」

 そんなもん波長のせいに決まっているだろ。

「あーあー、センパイにはロマンというものがありませんねー」

 ひどく不愉快になるな。現実主義のどこが悪い。

「時にセンパイ、今日は一日中私に服従なんですよね?」

「それがどうした。言っておくがこれからも〜、みたいな命令は却下させてもらうぞ」

 そこまでやってられるか。今日一日だって色々あったんだ、これ以上やったら死んでしまう。

「それじゃあ、他の命令ならオッケーなんですかー?」

 死ねとかも不許可だぞ。現実的な命令を頼む。

「じゃあ現実的なら何でも聞いてくれるんですねー?」

 なんなんだ。さっきからやけにしつこいな。

「いいんですね?」

 分かった分かった。聞いてやる。

「なら……」

 木々が揺れ、辻の顔が夕日で照らされる。

 

 

「キスしてください」

 

 

 …………は?

「……お前、何言ってるか分かってるか?」

「当たり前じゃないですか」

 いや、そんな自信満々に言われても。

「……キ、キスって、あの?」

「他に何があるんですか。鱚とか言ったらぶん殴りますよ」

 待て。なんなんだこれは。あれか、ドッキリか。

「……物凄くその可能性が高いな……」

「……何をブツブツ言ってるんですか。早くしてください」

 そう言うと辻は目を閉じて唇をこちらに向けてきた。

「お、おい……」

 ドッキリか? ドッキリなんだな?

 既に日は落ち、顔も見えなくなってきた。辻が今どんな顔をしてるかも分からん。

「…………」

 辻はいつまで経っても動く気配がない。

 ドッキリだよな。そうじゃなかったらしばくぞ。

 覚悟を決めて辻の肩を掴む。一瞬体がビクッとなったが無視だ。

 ゆっくりと顔を近づけていく。おい、ドッキリだったら早くしろ。さもないとマジでいくぞ。

――バクン、バクン。

 静まれ心臓。動くと撃つぞ。

 いかん、かなり錯乱してきた。そうこうしている間にもどんどん顔は近づいていく。もうお互いの吐息がかかる距離だ。

 どうした撮影係。遅いって。遅い遅い。これは重大なミスだぞ。もしかしてこれはあれか? 仕掛人だと思っていた方も実はターゲットだったとかそんなやつか?

 

 

「…………」

 

 

 あー。

 無理だ。俺には出来ん。

 

 

 へたれとか言うな。いくら命令されたからといって、後輩の女子の唇を奪っていい権利が俺にあるとは思えない。

 そう思って顔を離そうとした瞬間。

 

 

「やめにします」

 辻が目を開いて立ち上がる。

「え……」

 何か後ろめたい気分になってしまうのは俺のせいじゃないはずだ。そうだよな。

「いやー、センパイがどれほどの覚悟をもって今日来たのか確かめようと思ったんですが、センパイってかなりのチキンですねー」

「チキンとか言うな。当たり前だろ。キ、キスしろって言われて簡単に出来るか」

 辻はもう何事も無かったかのように後ろを向いて伸びをしている。俺はまだベンチに座ったままだ。今の姿はさぞかし間抜けなことだろう。

「あははー、命令違反ってことでひとつ貸しが出来ましたねー」

 今日だけでひとつどころじゃなく弱味が出来た気がする。

「それじゃあ、駅まで行きますかー」

「あ、ああ……」

 

 

 その後、公園に入る前と全く変わらない態度で駅まで送った辻は、呆然とする俺を残して家に帰っていった。

「……なんだったんだ……?」

 何がしたかったのかよく分からん。あんな所を知人に見られていたらと思うと――

「……や、厄病神、さん?」

「はい、なんでしょう?」

 爽やかな返事に恐る恐る振り向くと、これ以上ないくらいの穏やかでなおかつ鳥肌が立つような笑顔を浮かべた厄病神がそこにいた。

「忘れてた……」

「直樹さん、辻さんが止めなかったら最後までいってましたよね?」

「な、なんのことかな?」

「さて、どういうことかゆっくりきかせてください」

 待て、それは誤解だ。俺は途中でやめようと――

「そうですか。それならいいんです。わたしは直樹さんのことを信じていますから」

 いや、その目は信じてないだろ。

「や、厄病神。俺は断じて……」

「断じて?」

 ……駄目だ。余計なことは言わない方がいいと全身の鳥肌が告げている。

「い、いや……なんでもないです……」

「そうですか。やっぱり否定はしないんですね」

 どうしろというのだ。

 結局、ずっと背後からの笑顔に堪え続けるというある種拷問に近い思いをしながら俺はやっとの思いで家まで帰りついた。

「遅かったな。絶対服従は楽しかったか?」

「もう嫌です……」


ラブ米が豊作だ!

ヘタレの香りでいっぱいだ!


いやー、最初はあのままいってもらう予定だったんですが、主人公が途中で嫌だと申しましたので。

今回の話がクリスマスに来たのは辻の執念でしょうか?


とりあえず辻はごまかしてますし、主人公もごまかされてますので今後も関係がギスギスすることはないです。


ではでは、1週間近く感想がなくてそろそろMPが尽きかけているガラスの靴でした。

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厄神様とガラスの靴
こっそり開設。
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