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第38話:厄神様はかく解きけり

「かく過ごせり」を更新しました。

裏を知るキャラは油断するとすぐシリアスに行ってしまうのでキツイです。

まあだいぶほのぼの出来てると思うので見てやって下さい。

では第38話です。

「今日で中間試験の2週間前です。きちんと計画的な対策をしていって下さい」

 朝のHR。担任がテストのことについて話をする。そういえばもうそんな時期か。

「狭山」

「直樹」

「………分かりきってはいるが一応用件を訊こうか」

「「ノート写させて」」

 ………そうだな。こいつらが無駄な悪あがきを開始する時期だったな。

 

 

「よし、これでなんとかなるな」

「あのな、教師の話も聴かないで点が取れるほど学校は甘くないぞ」

「赤点にならなければいいのよ」

「そういう問題じゃない……」

 放課後。学校近くのコンビニは藤阪や桜乃と同じようにノートのコピーをする生徒が長蛇の列を作っている。少しは自分で授業を聴け。

「いやー、狭山のノートは授業聴くより分かりやすいからな。これ、このまま参考書として売ればクラスの連中から金取れるんじゃないか?」

 阿呆なことばかり考えてるんじゃない。そんな思い上がったこと出来るか。

「直樹のノート見るだけで教科書一切開かず赤点脱出できるあんたがどうかしてると思うんだけど」

 確かにな。それだけでそんなにとれるんだから真面目に授業を聴けばもっと成績も上がるだろうに。

「オレは必要最低限の努力しかしないんだ。文句だったら一夜漬けで平均点超えられるようなテスト作る教師に言うんだな」

「ったく……」

 

 

「ということがあった」

「何が言いたい」

 ここは我が家。リビングで死神に向かって話をする。

「正直お前が赤点をとろうが何しようが知ったことじゃないが、まあ同じ家で生活しているよしみだ。赤点回避くらいは出来るかどうか確かめたい」

「赤点とやらをとったところで何の問題もあるまい」

 何をほざくか。何の問題もないなら赤点という言葉は成立しない。

「直樹さん、それで、この紙はなんですか?」

 今回の範囲をまとめた疑似試験だ。これで満点とれれば平均点くらいはいくだろ。

「普段からこんなものを作っているのか」

「こうでもしないとあいつら毎回ノートのコピー見て終わりにするからな。もののついでだ」

「随分とお人好しだな」

 そんなわけあるか。くだらんことを言ってる暇があるなら解け。

「いいだろう」

 

 

 で、30分後。

「なんというか、ここまで両極端でいいのか……?」

「俺の責任ではない。分野が違うだけだ」

 地理・歴史は満点。政経や英語、国語系科目も正答率8割を超えているが、数学は全滅、理科も法則の発見者や原子の構造などの知識問題しか答えられていない。

「死神さんって文系のお仕事だったんですね……」

 関係あるかそんなもん。

「今の人間はこんなもので序列を競っておるのか。間抜けなことをするの」

 そうかもな。だがそうだからといって他に簡単な競い方もないだろ。

「それで、俺は何をすればいいのだ」

 まずは教科書を読め。というか教師の話を聴け。

 

  

「へー、黄泉って理系は苦手なの」

「文系がいいからいいじゃねえか」

「だがそれでは駄目らしい」

 次の日、俺達は理系においては天才であるクラスメイトのところへやって来た。ぼかす必要もないか、要は藤阪に教えてもらいに来た。

「今回の範囲は俺も分からないところがいくつかあるからな。ついでに教えてくれ」

「学食1週間」

「…………」

「おい狭山、無言で立ち去るな」

 帰りたくもなるわ。舐めてるのか。そんな法外な料金誰が払うか。

「しょうがないわね……それじゃあ3日でいいわ」

 そういう問題じゃない。

「代わりに藤阪葵の不得意科目を教えればいいではないか」

 お、なかなかいいアイデアだ。

「……そうね。それならまあ悪い話じゃないわね」

 割とすんなり話が通った。意外だな。俺が教える程度じゃびくともしないと思ったが。

「……では俺は神に教えを請うことにしよう」

 なんでだ。

「2対1では具合も悪い。桜乃響、行くか」

「そうだな! 三途川、行くか!?」

 なんだあいつらは。気持ち悪い。

「……行っちゃったわね」

「そうだな」

 正確には俺の横に厄病神がプカプカと浮いているのだが、流石にこの状況で厄病神と話をすることは出来ないだろう。すまん。

「わたしは見学してますね。難しそうです」

 悪いな。退屈なら神楽の方に行ってもいいぞ。

「じゃあ……やる?」

 なんでそんな気乗りしなさそうな口調なんだ。面倒だったらはっきり面倒って言ってくれていいんだぞ。

「そんなわけないじゃない! あーもう、なんなのよあんたは!?」

 なんなんだ。俺に怒っても何も出来んぞ。

「はあ……もういいわ。始めましょうか」

「わかった。取り敢えず物理から頼む」

「いいわよ。それで、今回の範囲ってどこからなの?」

 ……俺も神楽に訊けばよかったかもしれない。

 

 

「――ってわけで、温度がt℃になったとして、ここがこうだから、熱量保存の法則使って計算するの」

「えーと……? そうすると……t=32.2か」

「そういうこと。なんだ、できてるじゃない」

「範囲も知らなかった癖に見ただけで解ける奴に言われてもな」

「さっぱりわかりません……」

 厄病神も絶好調で混乱中だ。確かにある程度知らなきゃ話にならないな。

「見ただけでなんとなく分かるんだからしょうがないじゃない。誰にだってそういうものはあるでしょ」

 才能のない人間はいない、という意味でなら賛成できるが、どんな才能があるかわからない奴だっているんだぞ。その分やっぱりお前は凄いよ。

「あ、あのねえ、あたしのこと喋ってるヒマあったら問題解きなさいよ問題!」

 わかってるよ。なんでそんな怒ってるんだ。

 

 

「――ふう。こんなもんね」

「ありがとう。助かった」

 一通り分からないところを訊き、ついでに問題を解かされ、それが終わった頃にはいい時間になっていた。

「今日は終わりにしましょう。英語は明日よろしくね」

「ああ。教えてもらった分くらいは教えられるといいけどな」

「それじゃあね。また明日」

 じゃあな。

 

 

「結局最後までわかりませんでした……」

「家に帰ったら教科書でも貸してやる。読みたければ読んでみろ」

「ありがとうございます! がんばって勉強します!」

 こいつが勉強する必要も思い当たらないが。まあ一般教養ってことでいいのだろう。

「終わったか」

「ああ」

 死神と昇降口で出くわした。神楽との勉強はどうだったんだ。

「まずまずだったぞ。そっちこそ楽しそうだったな」

 まあな。気楽ではあったな。

「藤阪さんもとても楽しそうでした」

「俺には不機嫌だったり焦ったり忙しいように見えたけどな」

「そうか。よかったな」

「なんでそれでよかったんだよ」

 結局勉強なんてものは楽しんだ奴が勝つんだろう。

 明日に向けて英語の復習でもしておくかと思いながら俺は家に帰った。


文系理系分かれてないとかそういうツッコミは無しの方向でお願いします。

常識的に考えて高3にもなって物理と歴史を一緒に学習する事は滅多にないと思うのですが、そういう学校ということで……。



そういえば、朝起きたらメッセージが届いてました。

盗作疑惑でもかけられたかとびくびくしながら開くと、なんとそこにあるのはリクエスト。

こうこうこういう話をやって欲しい。

ええ。感動しましたとも。

ファンレターと受け取っていいんでしょうか?

いい、と言ってもらえたら狂喜乱舞のあまり階段から転げ落ちるかもしれません。

とりあえずリクエストは全力で実現させて頂きます。

皆さん! こういう話が見たい、と思ったら遠慮なくどうぞ!

メッセージは作者紹介ページの「メッセージを送る」から送れるはずです!

ではでは〜!

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厄神様とガラスの靴
こっそり開設。
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